ブラウンズのJ・ゴードンは、口を動かすよりもまず結果を出すべき

Jeff Diamond

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所属するチームのここ3シーズンの成績が4勝44敗で、自分はその間、度重なる出場停止処分により5試合しか出場していない……。そんな状況下にいるNFL選手たちは、どうやら現実と理想との区別がつかなくなってしまうようだ。

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今、ブラウンズのワイドレシーバー、ジョシュ・ゴードンの思考回路はまさにそんな感じだ。「僕の考えでは、僕らは既にリーグ最高のレシーバー陣だと思う。才能を見ただけでもそう思うね」。彼をたしなめることもできたはずの先輩ワイドレシーバーのジャービス・ランドリーですら、「彼はウソをついていない。我々ができる能力は無限だと思う」と追い打ちをかけた。

問題は、ゴードンとランドリーがキャパやポテンシャルについて話している一方で、GMとコーチ陣が彼らに求めているのは、具体的な成果だということだ。

私がクリーブランドのワイドレシーバー陣、特にゴードンに提案したいのは、まずはその才能を発揮して重要なキャッチを決め、昨年0勝16敗という大失態を演じたチームのレギュラーシーズンの1勝に貢献すること。どん底で低迷する不運なブラウンズを、プレーオフを争うチームに導くことだ。そうすれば、公の場で好きなように議論してもいいだろう。

“不言実行”という昔からの教えに従ったらどうだろう。謙虚になり、褒めるのは他人に任せることが、プロボウルの出場やオールプロ(AP通信主催、記者たちによって選出される)の得票の増加という結果につながるはずだ。

選手たちが開幕前に愚かな発言をするのは、毎年恒例のようだ。それは、昨年、ルーキーながら、NFLのディフェンス陣のスピードは特にすごいとは思わないと言ったレナード・フォーネットのような若手である場合が多い。彼の発言はレギュラーを出場させていなかったペイトリオッツとのプレシーズンゲーム初戦の後に出たものだった。

ジョン・ドーシー新GMの下、戦力がアップグレードしたように見えるとはいえ、ゴードンとランドリーのようにNFLに長くいれば、低迷するチームでは大物選手のように振る舞わない方が得策であることくらい分かっているはずだ。彼らは、ブラウンズではタイロッド・テイラーと全体1位指名のベイカー・メイフィールドによる先発クォーターバック争いが始まっていることを思い出すべきだ。オフェンスコーディネーターのトッド・ヘイリーも新しいメンバーだ。

何よりもまずジョシュ・ゴードンが気をつけないといけないことは、薬物を遠ざけることだ。そして、メディアを攻撃するのではなく、自身のコンディションを最良に戻すこと。ゴードンはNFL規定違反となる薬物使用によって出場停止処分が下されたことが何度もあり、2015年と2016年の全シーズン、2014年と2017年シーズンを一部棒に振った。キャリアの最盛期に離脱していると、プロボウルへの出場を果たした2013年シーズンで1646レシーブヤードを記録したのがはるか昔のように思える。

今年、ゴードンは良好なスタートダッシュを切れるチャンスがある。昨シーズン終盤に復帰を果たし、最後の5試合に出場した。オフシーズン・プログラムには本格的に参加している。集中し続ければ、大型契約を結ぶことができるかもしれない。

話すのは簡単だが、まだまだフィールド上でもフィールドの外でも課題は山盛りだ。

クリーブランド・ブラウンズのゴードン以外のワイドレシーバーを見ると、ランドリーはレシーバーとして圧倒的な強さを見せている。過去4年間の平均レシーブ数は100でプロボウルに3回出場している。しかし、自己最高の成績は2015年の1157ヤード、去年のレシーブ平均獲得ヤードは8.8ヤードだった。5年間7500万ドル(約81億円)、4700万ドル(約50億4000万円)の高額保証付きの巨額契約を締結したが、ランドリーはアントニオ・ブラウン、フリオ・ジョーンズとオデル・ベッカムのようなNFL界屈指のゲームブレーカーに肩を並べるほどの実力はない。

3番手のコリー・コールマンは2015年ドラフト全体15位指名だったが、同じ手を2回骨折したことで最初の2シーズンは13試合を欠場した。コールマンはキャリア通算56レセプションを達成しており、成績の悪い選手としてはまだ位置づけられていないが、彼のプレーに対しての倫理観が問題視されている。

ランドリー(当時はマイアミ・ドルフィンズに所属)、ゴードンとコールマンは昨シーズンで合計1627レシーブヤードを決めた。それに対してピッツバーグ・スティーラーズのトップ3選手、アントニオ・ブラウン、ジュジュ・スミス・シュスターとマーテイビス・ブライアントは合計で3053ヤード。アトランタ・ファルコンズのトップ3選手、ジョーンズ、モハメド・サヌーとテイラー・ゲイブリエルは合計2525ヤードの成績を残し、ミネソタ・バイキングスのアダム・シーレン、ステフォン・ディッグスとラクオン・トレッドウェルは合計で2325ヤードだった。

エースクォーターバックのベン・ロスリスバーガー、マット・ライアンとケース・キーナムたちは2017年シーズン彼らワイドレシーバーたちを支えてきた。今シーズンのブラウンズにとって、テイラー、メイフィールドがエースクォーターバックたちと同じ高いレベルでプレーできるかはまだ分からない。

ブラウンズのおしゃべりなワイドレシーバーたちはNFLでベストチームとして認められるまで強い競争に打ち勝たなければいけない。数あるチームの中でロサンゼルス・ラムズとカンザスシティ・チーフスは強敵だ。

最高のクォーターバックはもちろん重要だ。そして、有能なタイトエンドが距離を稼ぐことでディフェンスを抑えることができ、優秀なワイドレシーバーの選手たちは活躍できる。ブラウンズの先発タイトエンド、デイビッド・ジョクはルーキーだった昨シーズンに386ヤードで32キャッチを決め、今シーズンも更なる成長が期待されている。他にもフリーエージェントのカルロス・ハイド(ランニングバック)と2巡目で指名したニック・チャブも新加入したことで、デューク・ジョンソンと共にチームの攻撃力が改善できるだろう。

ゴードンとランドリーの発言に対して、ジョン・ドーシーGMとヒュー・ジャクソンヘッドコーチは落胆したはずだ。しかし、彼らの発言によって、クォーターバックが抱えている課題について一時的に注意をそらすことができた。タイロッド・テイラーは先発クォーターバックとして公表されているが、もし、ピッツバーグ・スティーラーズに敗戦したら、ファンたちはメイフィールドを先発に起用することを強く要求するだろう。

ゴードンが何を言っても、ブラウンズの本拠地の東側の観客席“ダグ・パウンド”からの熱狂は誰も止めることはできない。

筆者プロフィール

ジェフ・ダイヤモンド:ヒューストン・テキサンズの元プレジデントで、ミネソタ・バイキングスの元副プレジデント兼GM。NFL最優秀役員賞を1998年に受賞。現在、ビジネスとスポーツのコンサルタントを務める傍ら、テレビやネット上のメディアでも活動している。ダイアモンドは法人や市民団体への公演活動や、「交渉とスポーツビジネス/スポーツマネジメント」について大学で講義している。ザ・イングラム・グループの元会長兼CEO。

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原文:In touting Browns WRs, Josh Gordon forgets actions speak louder than words

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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Jeff Diamond is former president of the Titans, and former vice president/general manager of the Vikings. He was selected NFL Executive of the Year in 1998. Diamond is currently a business and sports consultant who also does broadcast and online media work. He is former chairman and CEO of The Ingram Group. Follow Jeff on Twitter: @jeffdiamondNFL