チームへの愛を語り続けていたリビオン・ベルと、信じていたスティーラーズ【後編】

Mike DeCourcy

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2018年シーズン、ベルがどこかのチームのユニフォームを着て現れることはない。スティーラーズは彼に、サラリーキャップの8%相当で、サラリーキャップ合計金額の1憶7,720万ドル(約200憶円)を全選手に等分にした金額の4倍でオファーをしたにもかかわらず、思いがけない展開となった。また、ベルがフランチャイズタグ指定を拒み続けたことで、2017年夏、2018年夏、そして今シーズンの第10週までに断った金額も、驚くべきものになった。

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さらに驚くべきことに、これまで機会を与えられる度、ベルは2018年シーズンもプレーするつもりであると示唆してきたが、最後のチャンスでも、まだそういう発言をしていたということだ。夏の間、彼の代理人は、“よほどのことが起きない限り”リビオンが開幕戦までにチームに合流し、フランチャイズタグの下でプレーするだろうと話していた。しかし、ベルはチームに合流しなかった。10月のはじめには、ベル自身がESPNに対して、チームに合流すると話しており、10月28日のクリーブランド・ブラウンズ戦に先立ったスティーラーズのバイウィーク中に実現すると報じられた。だが、彼は現れなかった。今度は、他球団に獲得されるのを回避し、自分が望むチームでプレーできるように、トレード期限の10月30日が過ぎるのを待っているのでは、との報道があった。何事もなく時間は過ぎていった。彼の方にも何も動きはなかった。その後、彼がビーチサンダルを鞄にしまい、マイアミからピッツバーグへ戻って来たことから、火曜日のデッドラインに先立ってサインするのではないかと期待された。だが、見事にはずれ。

「フットボールが恋しいよ」10月上旬、ベルはESPNにこう話していた。「もし戻ることができたら、俺のすべてを捧げるつもりだ。今でも試合に出て、スティーラーズのみんなと一緒にスーパーボウルを優勝したいと思っているよ」。

スティーラーズはベルのことを高く評価していた。彼のことを高く評価するあまり、いつしか彼を過大評価するようになった。彼を過大評価したことで、2017年には、一年あたり、当時のランニングバックの最高額を50%も上回る額が支払われる契約を提示した。その後もベルを過大に評価した結果、2018年には非独占的フランチャイズタグではなく、独占的フランチャイズタグを貼り付けた。非独占型であれば、ベルは他のチームとも交渉が可能になるが、契約に至った場合は、スティーラーズにドラフト1巡指名の権利が2つもたらされることになっていたのだ。だが、ベルを失いたくなかっただけでなく、彼を高く評価していたがゆえに、彼と公平な契約をしたかったのだ。そして2018年、ここでも彼を過大評価して7,000万ドル(約79憶円)の5年契約という、さらに高額なオファーを提示したが、ベルはこれを拒否した。

ベルには明らかに欠点があったが、それでもスティーラーズは彼を高く評価していた。5シーズンのうち2シーズンを出場停止処分が科された状態で迎え、2015年のシーズンはじめには2試合、2016年には3試合欠場した。また、3シーズン連続で、プレーオフの試合のほとんどあるいは全試合を欠場した。結果的に、彼はスティーラーズがプレーした全試合の4分の1近くを欠場しており、プレーオフ進出決定後に彼を温存させた2試合を除いてもこの数である。後に伝えられたところによると、昨シーズンのジャガーズとのプレーオフ前から契約について言及しており、試合までの一週間、彼は公の場で自身の契約状況について不快感をあらわにしながら過ごした。直近のシーズンで、彼は30ヤードを超えるランを一度もマークしていない。

それでも、スティーラーズが諦めることはなかった。

ベルがスティーラーズに対して望んだ金額で、他のチームから2019年あるいはそれ以降も続くオファーを提示されることも考えられる。最低でも4,500万ドル(約50憶7,600万円)の3年契約となるだろう。そして、彼と彼を持ち上げていたメディアはそれを“勝利”と呼ぶだろう。

だがそれは偽りだ。ベルが再度出場停止処分を科されるといったような、ばかげた行為にでなければ、ベルはスティーラーズにいながらその金額を得ることができたのだ。そうすれば、彼はその金額を得るために、貴重な一年を犠牲にすることはなかったのだ。

彼が無駄にしたシーズンとこれまで失ったカネを取り戻す唯一の方法は、最初の3年で、一年あたり2,000万ドル(約22億5,600万円)が支払われるような契約を、誰かに投げかけてもらう他ない。NFLには、彼にその額を払える人間がいるだろうか。きっといるだろう。だが、実際に払うような人間は果たしているのだろうか。

(完)

原文:Le'Veon Bell claimed he loved the Steelers, but he had a funny way of showing it

翻訳:Yurika Hirano


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Mike DeCourcy

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Mike DeCourcy has been the college basketball columnist at The Sporting News since 1995. Starting with newspapers in Pittsburgh, Memphis and Cincinnati, he has written about the game for 35 years and covered 32 Final Fours. He is a member of the United States Basketball Writers Hall of Fame and is a studio analyst at the Big Ten Network and NCAA Tournament Bracket analyst for Fox Sports. He also writes frequently for TSN about soccer and the NFL. Mike was born in Pittsburgh, raised there during the City of Champions decade and graduated from Point Park University.