レイチェル・バリボーは2016年の夏、彼女が大好きなカレッジフットボール界が陥っていた状況について、心を痛めていた。
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何人もの選手の逮捕と、性的虐待やドメスティックバイオレンスを含むベイラー大学のスキャンダルは、カレッジフットボール界全体を巻き込んだ。シリウスXMのESPNUチャンネルのラジオ司会者であるバリボーは、番組が終わったあとで泣き出してしまったことを覚えている。
「あれはとにかく最悪だった」とバリボーは18日、ミネソタ大学に向かう車を運転しながらスポーティングニュースに語った。「私は『いったいカレッジフットボールに何が起きているの?』と考えた。それが私を動かしたの。カレッジフットボールでは本当にすばらしい選手とコーチたちがプレーや指導をしているのに。諸々のニュースは大雑把に表面を捉えているだけで、その実態は正しく伝えられていないと感じた」。
それが、彼女の活動「チェンジング・ザ・ナラティブ(日本語訳:物語を変える)」が生まれたきっかけだ。バリボーがドメスティックバイオレンスやメンタルヘルスなどの問題について学生アスリートたちに語り歩くというこの活動は、21日、2周年の節目に達した。
バリボーは2016年以降、33校を訪れた。彼女はスローガンが書かれたリストバンドを全ての選手に配り、彼女が“キング(ス)”や“クイーン(ズ)”と呼ぶ500人以上の学生アスリートと定期的に連絡を取り続けている。
“キング”とは何か?
「“キング”とは夜、眠ることができる人だ。正しい判断をして、周囲の人たちを良くするためにできるすべてのことをした人のことなんだ」とミネソタ大学3年生のディフェンスライン、ウィンストン・デラッティボウデアはスポーティングニュースに語った。
デラッティボウデアは19日、”チェンジング・ザ・ナラティブ賞”を受賞した。ミネソタ大学のチーム全体が投票した結果だ。当の本人はルームメイトのアントニオ・シェノルトに投票していたが、部屋に戻って来ると受賞したのが自分だと知り、非常に驚いた。
彼はなぜ受賞したのか? デラッティボウデアはボルティモア出身で、法社会学と犯罪学、逸脱論を専攻しており、2015年にボルティモアで起きた暴動と、フィランド・カスティール射殺事件のあと、ミネアポリスの通りで行われた抗議のデモ行進をチームメイトと共に見ている。
2016年、性的暴行事件に関連して10人の選手が出場停止となったことを受けて、ミネソタ大学の選手たちが抗議チームを結成した数カ月後、新たに就任したP.J.フレックコーチの要請で、バリボーはキャンパスで講演を行なった。デラッティボウデアは彼女のメッセージを聞き、何かが変わった。昨夏、彼はチームメイトのトーマス・バーバ―と共に、セントポールの少年院、ボーイズ・トッテム・タウンを訪問した。バリボーが戻って来た時、彼は彼女の動機が本物であることを知った。
「彼女は僕たちに、フットボール選手やアスリートを超越した、さらに大きな存在になってほしいみたいだ」と彼は言う。「子どもの頃から、僕たちはフットボール選手になるという憧れがあった。だから自分たちのことを、フットボール選手としか見ることができていないんだ。でも、フットボールよりも重要なことはたくさんある。前向きな人生を歩み、前向きな方向に進めば、自分以外のもっとたくさんの人生に影響を与えることができる」。
バリボーは自分自身のことを、アナウンサーではなく活動家であると言う。自身が過去に経験したドメスティックバイオレンスの体験を、他者を助けるために活用しているのだ。彼女は自分の活動は一つのテーマには限定されないと言う。
「単に女性をリスペクトし、守り、大事にしようと言っているのではありません」とバリボーは言う。「『夜、鏡に映った自分は何者か?』ということなの。鏡の中で自分を見つめ返すその人物を、誇りに思えますか? 思えないのなら、思えるようにしよう、ということよ」。
チェンジング・ザ・ナラティブは次のステップへ
バリボーは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)に犯され2016年に死去した元NFL選手のケビン・ターナーに敬意を表し、ALSの基金を集めるためキリマンジャロに登った。彼女はメールや電話を通して500人以上の選手と連絡を取っているが、この当時の話をして彼らに刺激を与えつつ、選手たちかに日誌を書いてもらっている。
チェンジング・ザ・ナラティブ賞の活動を開始してから、バリボーは南イリノイ大学のウィズニー・サイモンとアラバマ大学のクレイグ・カニアンガララにも同賞を授けた。サイモンは生まれ故郷ハイチの子供たちを助けたいと望んでおり、カニアンガララはジンバブエに孤児院を建てるつもりだという。デラッティボウデアは3人目の受賞者であり、この賞を少年法制のために役立てる予定だ。
NCAAと共に活動するバリボーは、こうした受賞者に3000ドルの補助金を渡しており、この補助金は非営利団体の立ち上げ資金か寄付金に充てることができる。また、彼女はボランティアで演説法を教えており、希望するアスリートは誰でも受け入れている。演説法を学んだアスリートたちは次々に自身のコミュニティ・スクールでのスピーチを始めている。
「16歳の子供たちはフットボールのスター選手と私のどちらに耳を傾ける?」バリボーはそう話した。「フットボールのスター選手よ。だからこれは非常に多くの点において効果的なの。この活動を始めて以降、常に次のステップを見据え続けてきたわ」。
バリボーの活動はまだ終わりには程遠い。ワシントン州立大学のクォーターバックだったタイラー・ヒリンスキーが自殺によってこの世を去って以降、彼女は精神面の健康に重点を置くようになった。彼女は、自身をアスリートたちにとっての母、おば、姉妹のような存在だと考えており、デラッティボウデアもまた彼女の言葉を心に刻んだ。
「心を打ち明けられるようになって『僕は大丈夫じゃない』と話す。今、多くのフットボール選手に欠けていることはそれだ」。デラッティボウデアはそう話した。「自分が経験していることを年長者に伝えられるようになるんだ。新入生の頃、僕はそうした多くの感情を一人で抱え込んで、誰とも話したくなかった。今は、新入生や他のチームメイトたちに、僕に対して心を開けないとか、話したくないとかは思ってほしくないね」。
今やバリボーもそうした友人の一人だ。そして、彼女は彼らと、更なる関係を築こうとしている。選手たちとのダイレクトメッセージでのやり取りの中で、ある選手から、赤ちゃんのエコー写真が送られてきたという。これには彼女もうれし涙を流さずにいられなかった。
今ではまったく異なる物語(ナラティブ)となっていたのだ。
「この活動がどれだけ有意義なものか、言葉じゃ表現できないわ。これまで全米を回ってきた。時には自腹を切ってね。でも彼らが私を後押ししてくれる。そして、結局これまで何度も同じ結果に行きついてきたの」。バリボーは少し間を置いて続けた。「“キング”なんて高位な呼び名で呼ばれた彼らが、その呼び名に近付こうと立ち上がるのを眺めるの」。
原文:'Changing the Narrative': SiriusXM radio host Rachel Baribeau backs up words with activism
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
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