オーストラリアリーグ(NBL)のブリスベン・ブレッツへ移籍した比江島慎のライバルとは?

Hiroshi Kato

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8月5日、比江島慎はオーストラリアリーグ(NBL)のブリスベン・ブレッツに合流するため、成田空港からオーストラリアへと旅立った。出発前の比江島が海外挑戦を前に、バスケ観、私生活、母親、ライバルについてインタビューに答えた。

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――遂に海外挑戦への出発となりますが、今の心境を教えていただけますか?

正直、今は不安の方が大きいです。(移籍が)決まったときや、契約をしたときはめっちゃワクワクしていたんですけど、実際に近づいてくると、私生活とか大丈夫かなと感じています。改めてYouTubeとか観ると、(NBLは)すごくレベルが高いですし「やっていけるのかな」と、いろいろ考えてしまいます。

――8月3日に行われたブリスベン・ブレッツ移籍会見後は、どのように過ごされていましたか?

ほぼ合宿所(味の素ナショナルトレーニングセンター)にいました。夜ご飯はだいたい外食に行っていましたが、最後は一応日本食とか食べました(笑)。最終的な準備を色々やって、バタバタでした。

――オーストラリア到着後はすぐにチーム練習があるのですか?

向こうから来たスケジュールでは6日に合流となっていました。僕も(チーム)に早く合流したほうがいいと思います。ハワイに行くと、さっき聞いたんですけど。

――チームでハワイに行くのですか?

11日に(チームでハワイに行く)とは聞きましたけど、それも本当に行くのかは分かりません(笑)。

――具体的なスケジュールは、まだ詳しく分からず、6日にチームに合流してからということですね。

はい。

――NBLのシーズンが始まる10月までは、ずっとオーストラリアにいらっしゃる予定ですか?

(代表に選出された場合は)代表に参加して良いということなので、9月に(日本に)帰って来て、試合をやってまたすぐ(オーストラリアに)帰ることになります。

――契約では、日本代表に選出された場合はFIBAバスケットボールワールドカップ アジア地区2次予選のWindow4、5、6に参加できるということですか?

はい、そういう契約になっています。

プレイスタイルへのこだわり

――以前にプレイ中にフェイクを多用するようにしていると伺いましたが、いつからフェイクを意識しているのですか?

小学生からですね。ずっとフェイクをしているというか。自分はずっとデカかったので、小さい選手相手を抜くにはスピードではなく、フェイクというのはそのときから頭にあったので、昔からよくフェイクを使っていました。スピードもあまりあるほうではないと自覚していました。

――以前にミロシュ・テオドシッチ(NBA ロサンゼルス・クリッパーズ)、ポール・ピアース(NBA ボストン・セルティックスなどで活躍)などの技巧派選手が好きだと伺いましたが、子供の頃にフェイクを参考にした選手はいましたか?

特にいないですね。チームメイトや上手い選手を見てっていう感じですね。

――ドライブをする際、目の前にいるディフェンスではなく、そのディフェンスの後ろにいるヘルプディフェンスを先に見るとおっしゃっていましたが、今も同じ意識でプレイされていますか?

もちろんそうですね。スペースがある方に行くために、逆にフェイクをかけて、みたいな感じです。

――オーストラリアに行くことで、「自分よりも大きくて、ゴツくて、速い選手とマッチアップすることが多くなる」とお話をされていましたが、オーストラリアでも、ヘルプディフェンスがどこにいるのかをまず確認する意識は変わりませんか?

もちろん、それは変わらないです。

――今まで国際大会などでマッチアップをして、特にすごいと感じた選手はいらっしゃいますか?

フランスとやったことがあるんですけど、もちろん(トニー)パーカー(NBA シャーロット・ホーネッツ)は次元が違う感じがしました。

――パーカーはそんなにすごかったのですか?

簡単にやってるんでしょうし、手を抜いてるんでしょうけど、めちゃくちゃ速かったです。

オーストラリアでの生活

――私生活が不安とのことでしたが、オーストラリア生活での秘策はありますか?

全然ないですね。バスケで認めてもらうことが一番かなと思っています。(オーストラリアには)日本人も結構多いと聞くので、そこもあまり心配していないですね。偶然(オーストラリアに)友達もいますが、日本人と絡みすぎても駄目だとは思っています。

――オーストラリアでは料理は自分でどうにかしないといけない、と話をされていましたが、以前から料理をすることもあったのですか?

大学生のときは簡単なものは作っていました。クックドゥーとかでしか、やったことないですけどね。今はいろいろなアプリがあるので、それを見ながらやれば料理はできるかな、と思っています。

――アスリートにとって食事は大切だと思いますが、食事のサポートをしてもらえたら良いなと考えることはありますか?

もちろんアスリートなので(食事のサポートをしてくれるかたが)いれば絶対良いですし、アスリートにとって食事管理は絶対必要だと思います。ただ、オーストラリアも1人で行くので、そこも含めて料理とかできるようになれたらいいなと思っています。

※比江島には日本人通訳が同行し、比江島が所属する、スポーツ選手の代理人(エージェント)・マネージメント業務を行う、ステラリアン・バスケットボール株式会社の代表取締役社長であり兄の比江島章氏も今回の渡豪に帯同し、章氏は今後日本とオーストラリアを行き来することになる)。

――趣味や、ストレス解消法はありますか?

趣味はあまりないですけど、ドライブとか好きですね。バラエティ番組などのテレビを観るのも大好きです。

――オーストラリアでも運転をする予定ですか?

車の用意はないと思うので、レンタカーとかしたいですね。

――他のスポーツのアスリートや著名人で、仲良くしている方はいらっしゃいますか?

いや、全然いないですね。僕はシャイですし、人見知りなんで(笑)。

――好きなアーティストは、いらっしゃいますか?

ケツメイシです。全部いいです。

――ケツメイシを聴いてモティベーションをあげていらっしゃるのですか?

そうですね。メンタルがいかれそうなときに聴いています。

母への想い

――海外移籍の決断にお母様の存在が大きかったと思いますが、比江島選手にとってどんなお母様でしたか?

全部頼りっきりで、ずっとひとりで育ててくれました。めちゃくちゃ迷惑を掛けましたし、お母さんがいないと、何もできないレベルの甘ったれている息子でした。性格も僕と正反対ですし、めっちゃ明るくて、元気で、アグレッシブで、めっちゃ尊敬してました。

――お母様の言葉で特に印象に残っている言葉はありますか?

当たり前のことかもしれませんけど、世界のために、子供たちのために、誰かのために、と(お母さんが)常々言っていたので、そこは今でも僕の教訓です。「今まで指導してくれた恩師への感謝を忘れるな」、と言っていたので、今でもそれは忘れずにやっています。

比江島慎がNBLでライバル視する選手

――比江島選手にとってのライバルはいますか?

ライバルではないかもしれないですけど、オーストラリア代表のクリス・グールディング(NBL メルボルン・ユナイテッド)は、映像観ても、対戦しても、めちゃくちゃ上手いです。ちょんまげみたいな髪型の選手です。彼とやりたいって思いがありますね。(オーストラリア代表の写真を見ながら)このかっこいい奴です。

※グールディングは、6月29日に行われたFIBAバスケットボールワールドカップ アジア地区1次予選の日本対オーストラリア戦で、チームトップの22得点を獲得した。さらに、グールディングはNBLの2017-18シーズンではグランド・ファイナルMVPを受賞している。

――グールディングのどこが上手いと感じていますか?

全部です。多分彼もあまりスピードないんですけど、シュートも、パスも、ドリブルも上手いですし、ディフェンスもいいです。何でもできる。

――NBLでの対戦が楽しみですね?

はい、楽しみです。

比江島の決意とファンへの感謝

空港でのインタビューの最後に、オーストラリアリーグでの挑戦について改めて意気込みを語ってもらった。

「(オーストラリアには)自分より上手い奴はゴロゴロいますし、自分より強い奴や、高い奴はゴロゴロいるので、そういった奴らとやるのが楽しみです。スタッツや具体的な数字はないですけど、とりあえず楽しみたいなと思います」。

「目標は試合に出ることです。もちろん大きいことを言いたいんですけど、すごく(NBLは)レベルが高いのは分かっています。まず日本人ですし、どういう対応になるのか分からないですけど、「日本人でも通用するということを証明したい」ですし、試合に出てオーストラリアでしっかりプレイしていきたいなと思っています」。

「本当にたくさんのファンが応援してくれていることが伝わりましたし、ファンの方のために戦って来たいという思いがあるので、ぜひ今後とも応援よろしくお願いします。ありがとうございます」。

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比江島は海外挑戦直前の決意と感謝を述べると、空港まで駆けつけたファンに笑顔で手を振った。比江島は母の言葉を胸に、FIBAバスケットボールワールドカップ2019、東京オリンピックまでにさらに成長し、日本代表として世界を驚かせるべく、オーストラリアへと旅立っていった。

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