8月3日、比江島慎がオーストラリアリーグ(NBL)のブリスベン・ブレッツへの移籍会見を味の素ナショナルトレーニングセンターで行った。比江島の会見前にブリスベン・ブレッツの2018-19シーズンのスケジュール、比江島が今後Bリーグと日本代表でプレイする可能性について下記の通り発表があった。
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ブレッツは10月11日にアウェイでの開幕戦を戦い、2019年2月16日のホームゲームでレギュラーシーズンが終了となる。チームがNBLのプレイオフに進出し、ファイナルまで残った場合は3月末まで試合が行なわれる。Bリーグの登録期限が2月末日であるため、ブレッツがプレイオフに進出した場合は、2018-19シーズンに比江島のBリーグでのプレイは実現しないこととなる。また、バスケットボールは海外への「期限付き移籍」がなく、FIBAのルールとして海外移籍を行なう場合「レター・オブ・クリアランス」という、選手がいずれのチームとも契約がないことを証明する書面の提出が必要となる。そのため、比江島と栃木ブレックスとの間にはすでに契約はなく、比江島とブリスベン・ブレッツとの契約が締結していることが発表された。
ブレッツがプレイオフに進出できなかった場合は、比江島とブレッツとの2018-19シーズンの契約がレギュラーシーズン終了後に満了となり、2月末日のBリーグの登録期限内に比江島はBリーグチームと契約が可能となる。また、比江島が日本代表に選出されるか、実際にプレイするかは別として、NBLのスケジュール上では、FIBAバスケットボールワールドカップ2019 アジア地区2次予選Window5に参加が可能である。Window4はシーズン前であること、Window6はNBL公式サイトにプレイオフスケジュールの発表が現状ないため、比江島が日本代表としてプレイできるかは現段階では未定である。
【FIBAバスケットボールワールドカップ2019 アジア地区2次予選スケジュール】
Window4
9月13日 カザフスタン vs 日本
9月17日 日本 vs イラン
Window5
11月30日 日本 vsカタール
12月3日 日本 vs カザフスタン
Window6
2月21日 イラン vs 日本
2月24日 カタール vs 日本
※左側がホーム
【会見の質疑応答抜粋】
――ブレッツのヘッドコーチ(HC)は、オーストラリア代表のHCでもあるアンドレイ・レマニスさんですが、すでにHCとお話をされましたか?
「契約をするときにテレビ電話で2度くらい会話をしました。監督さんも(自分のことを)気に入ってくれているみたいですし、自分もオーストラリア代表とやって、素晴らしいバスケットを出来るなと実感しています。そこ(レマニスHCのチーム)でやることによって、もっともっと成長できると実感しています、と話をしました。(HCには)ワールドカップだったり、東京オリンピックにむけて、もう一段階成長したいという意思を伝えました。私が責任を持って、『成長できる環境を与えられる』と言ってくれたのでブレッツに決めた、と話をしました」。
――オーストラリアのバスケットボールの印象を教えていただけますか?
「フィジカルがヨーロッパのチームと比べても1ランク上だと思います。ヨーロッパに似たキレイなバスケット、上手さだったり、速さだったりがあると思うので。そのなかでやっていけば、世界と戦っても多少はプレイとして慣れていけると思います」。
――比江島選手が手応えを感じていること、今後さらに成長したいことを教えていただけますか?
「自分の持ち味のドライブや、緩急をつけてゴールにアタックするところは、多少代表戦でも出来たんですけど、もっともっと質を上げなければいけないと思います。Bリーグでマッチアップする選手は自分よりも小さい相手か、同じくらいなんですけど、オーストラリアのリーグに行けば、自分よりゴツくて、速くて、大きい。(ボールを持ったときにマッチアップする選手の後ろにいるヘルプディフェンスを最初に見ると以前に話をしましたが、オーストラリアでは)まず目の前の相手から勝負が始まると思うので、1対1でも、もっともっと磨ける部分があるかなと思います」。
――海外移籍の期待と不安を教えていただけますか?
「Bリーグから海外リーグへ行くという例がないと思いますし、自分がもしオーストラリアで失敗したら、次がないのかな、というところもあると思います。BリーグでMVPを取ってから行くという形なので、日本のレベルを見られるのかなと思います。そのなかでも、しっかりとプレイができて成功すれば、次につながると思うので、そこは(これから海外挑戦する選手たちのためにも)やってきたいと思っています。不安はバスケでいうとフィジカルが強いので、そこで対応できるのかという不安はありますし、怪我もあると思うので、そこにも不安はあります。私生活では、(海外生活を)やっていけるのかどうか分からないですし、料理もできないですし、英語もできないですし。そのなかでも人間として、人としても成長できる環境なのかなと思っているので、そのあたりもチャレンジしていきたいと思っています」。
――オーストラリアでの生活環境はどのようになりますか?
「家はむこう(ブレッツ)が用意してくれて、通訳も一緒に来てくれるので、そこは大丈夫かと思います。食事は自分で何とかしないといけないです」。
――試合中も通訳がいる環境ですか?
「はい、そうです」。
――不安もある中で、海外挑戦決断の勇気を持つきっかけとなったことがあれば教えていただけますか?
「そうですね…。プライベートなんですけど、(4月に)母親が亡くなって。(母親はずっと)背中を押してくれていましたし、いろいろ裏で動いてくれていました。僕が(去年)ポロっとオーストラリアに行きたいなと言って、(母親が)色々と動いてくれていたので、それは後押しになったといいますか、ここで行かなきゃいけないなと思いました」。
公言していた「海外移籍」を実現させた比江島が素直な気持ちを語ってくれた。
――海外移籍について以前にインタビューにお答えいただきましたが、海外移籍が実現した現在の心境を教えていただけますか?
「まさか、自分でも行けるとは思っていなかったので、海外のチームに受け入れてもらえるということが本当に素直に嬉しいですし、またひとつ成長できる環境があることに感謝をしたいです。それと同時に不安も結構大きいですけど(笑)。でも、行くからには楽しみですし、プレイに関しても、生活に関しても、楽しみな部分が大きいです。(海外移籍を)実現できて本当に良かったと思います」。