サンズが渡邊雄太を先発起用すべき理由 ブッカー、デュラント、ビールに並べる最善の選択肢?

Scott Rafferty

坂東実藍 Miran Bando

サンズが渡邊雄太を先発起用すべき理由 ブッカー、デュラント、ビールに並べる最善の選択肢? image

フェニックス・サンズの5人のスターターのうち、4人は決まっている。そこに加わる5人目は、大きな未知数だ。

サンズのフランク・ボーゲル・ヘッドコーチは、2023-2024シーズンに向けてどのように考えているかを明かさなかった。『Arizona Republic』のデュエイン・ランキン記者のインタビューで、ボーゲルHCは「何人か」の選手がチャンスを得るとの見解を示している。

[AD] スポーツ得点王:試合結果を予想して豪華賞品をゲット!

ブラッドリー・ビール、デビン・ブッカー、ケビン・デュラント、ユスフ・ヌルキッチと一緒にスターター候補となるべきひとりが、オフシーズンにサンズと2年契約を結んだ渡邊雄太だ。エリック・ゴードン、ジョシュ・オコーギー、ケイタ・ベイツ・ジョップといった選手たちと先発の座を競うだろう。

各選手がそれぞれのスキルセットをもたらせるが、渡邊を5人目のスターターとすべき理由、そしてすべきではない理由を見ていこう。

なぜ渡邊雄太はサンズでスターターとなるべきか

渡邊はサンズにとって条件のいくつかを満たす選手だ。

まず何より、渡邊は効果的な存在となるのにボールを持つことを必要としない。3人のスターを中心にチームをつくっていく中で重要なクオリティーだ。渡邊はNBAキャリアを通じてユーセージ率が高くない。ペリメーターでのスポットアップシューターとして最も相手にダメージを与える選手だ。

NBA入りした当初はそれほどではなかったが、渡邊は優れたシューターに成長した。昨季はブルックリン・ネッツで58試合に出場し、3ポイントショット成功率44.4%を記録している。リーグで最も効率の良いシューターのひとりだったのだ。オールスターウィークエンドに3Pコンテストに招待されてしかるべきだった。

[AD] スコア遊ライブ:野球・サッカー・バスケほか注目スポーツの試合結果を超速報!

さらにボーナスとなるのが、渡邊がすでにデュラントとケミストリーを築いていることだ。

昨季、渡邊はデュラントのアシストから9本の3Pを沈めている。大きな数字に聞こえないだろうが、彼らが一緒に出場したのは25試合だけだったのだ。デュラント以上に渡邊の3Pをアシストしたのは、ロイス・オニール(10)だけだった。そして渡邊がオニールと一緒に出場した試合(44)は、デュラントと一緒に出場した試合のほぼ2倍である。

渡邊がデュラントやカイリー・アービングと一緒にプレイした経験を持つことは、ビール、ブッカー、デュラントとの相性という点で良い前兆だ。先発出場だろうが、ベンチスタートだろうが、渡邊はそのショット力だけで大きなチャンスを得られるだろう。現在のNBAで有数のスコアラー3人にスペースをもたらせるからだ。

そしてショットの力だけではない。渡邊は積極的で恐れることのない、多才なディフェンダーであることも証明してきた。ビール、ブッカー、デュラントが、いずれも攻撃志向の選手であることを考えれば、より重要なクオリティーである。

ガードを守る上では、オコーギーのほうが合っているだろう。だが、渡邊はサンズにもっとサイズをもたらすことができる。6フィート8インチ(約203センチ)で、ウイングスパンは6フィート10インチ(約208センチ)。ビールとブッカーが守備で取り組む限り、自分のポジションで守る時間が増えるだけに、渡邊は大半のチームとの対戦で自然にフィットできるだろう。

[AD] 注目試合の結果を徹底予想&分析【Free Yuugado Sports】

なぜ渡邊雄太はサンズでベンチスタートとなるべきか

渡邊は攻撃をつくるチームメイトに頼る選手だ。ただそれは、昨季と同じレベルでショットを決められる限り、現在のサンズにおいて問題にはならないはずである。

メンフィス・グリズリーズやトロント・ラプターズに在籍していたころの渡邊は、3P成功率が35.2%だった。昨季の向上ぶりを信じるべき理由はあるものの、彼はある程度まだ限定的なシューターということだ。

渡邊で最も脅威なのは、コーナーからのショットだ。それ以外の3Pは同等の精度がなく、ドリブルからショットを打つことはほとんどない。そしてまだ彼は3P試投が特別に多くはないのだ。昨季は36分間あたり平均5.2本。これはデジャンテ・マレー、リッキー・ルビオ、アイザイア・スチュワートといった選手たちと同等だ。いずれも、ショットの能力が有名な選手たちではない。

Yuta Watanabe 3-point shot chart (2022-23)
(NBA.com)

[AD] 楽天モバイル『Rakuten最強プラン』でNBA全試合見放題! 詳細&申し込みはこちらから

サンズが必要とする3Pの力を渡邊がもたらせなければ、ボーゲルHCはゴードンやデイミオン・リーに向かう可能性がある。ベイツ・ジョップも昨季以上の出来なら、渡邊の出場時間を奪うかもしれない。最初の4シーズンで3P成功率30.4%だったベイツ・ジョップだが、昨季は39.4%だ。

渡邊は守備でインパクトを与えられると示してきた。だが、たとえ攻撃でより限定的とはいえ、オコーギーのような選手にボーゲルHCが傾いても驚きではない。サンズにはすでに十二分なプレイメーク力がある。ステフィン・カリーやルカ・ドンチッチ、ポール・ジョージらを守ってきたオコーギーの経験は、そういった選手たちに対する守備でビールやブッカーの負担を一部軽減させてくれる。

昨季、レギュラーシーズンの26試合、プレイオフの5試合で先発出場したことも、オコーギーの後押しとなる。シーズンを迎える上で、オコーギーが有利な立場に立つかもしれない。

原文:Why Yuta Watanabe is — and isn't — Suns' best starter option next to Devin Booker, Kevin Durant, Bradley Beal(抄訳)

[AD] スポーツ観るならDAZNで。スマホやTVでスポーツをいつでも楽しもう

Scott Rafferty

Scott Rafferty Photo

 

Scott Rafferty is an experienced NBA journalist who first started writing for The Sporting News in 2017. There are few things he appreciates more than a Nikola Jokic no-look pass, Klay Thompson heat check or Giannis Antetokounmpo eurostep. He's a member of the NBA Global team.

坂東実藍 Miran Bando

坂東実藍 Miran Bando Photo

フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。