渡邊雄太「KDのパスは僕を信頼してくれているパスだなと感じる」|スパーズ戦後一問一答(11月1日/現地10月31日)

杉浦大介 Daisuke Sugiura

渡邊雄太「KDのパスは僕を信頼してくれているパスだなと感じる」|スパーズ戦後一問一答(11月1日/現地10月31日) image

フェニックス・サンズの渡邊雄太が11月1日(現地10月31日)に本拠地フットプリント・センター(アリゾナ州フェニックス)で行われたサンアントニオ・スパーズ戦後にメディアの取材に応じた。

この試合で渡邊は19分25秒間のプレイで3ポイントショット7本中3本成功を含むフィールドゴール8本中4本成功の11得点に加え、3リバウンド、2アシスト、1スティールをマーク。試合はサンズが残り数秒で相手に逆転ショットを許し、114-115で惜敗した。

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以下、渡邊の試合後の一問一答(すべて日本語での質疑応答。質問は要約)。

バスケットは一瞬で流れが変わるスポーツなので、これもNBA

――最後に逆転を許す悔しい負け方だった。

渡邊:途中までは本当にゲームプラン通りでした。ドライブに対して必要以上にヘルプが反応してくれるチームなので、そこからのキックアウトの3Pだったりを確実に出して、点につなげていけたら自分たちのリズムになります。

途中までは3Pも成功率50%以上で、最後は40%台まで落ちたと思いますけど、良いペースで決めていましたし、完全に自分たちの流れではありました。バスケットは一瞬で流れが変わるスポーツなので、これもNBAですね。

――若いチームに勢いを与えてしまったのか、守備のエナジーが少し落ちたのか。

渡邊:前半良い終わり方をしたんですが、第3クォーターの出だしからチームとしてちょっとダラダラした部分がありました。相手もそうだったので、ゲーム全体がなんとなくダラっとした感じになっていました。

そこから相手のリズムになったり、またこっちのリズムになったりしたんですけど、最後、相手がしっかりと決めるべきところで決めてきたという感じです。

――個人としては、第3Qに2本連続で3Pを決めてチームに流れを持ってくることができた。

渡邊:今の自分の仕事はああいう3Pを決めること。3Qの終わり方をしっかりしなきゃいけないところで、KD(ケビン・デュラント)が僕を見つけてくれました。ああいうシュートは今の自分は確実に決めていかなければいけないところ。あそこは自分の仕事ができたかなと思います。

彼のパスは僕を信頼してくれているパスだなと感じる

――その2本を含め、3本の3Pはすべてデュラントからのアシストを受けたものだった。逆に自身がデュラントの3Pをアシストする場面もあった。2人の間のケミストリーは健在だと感じるか。

渡邊:僕がKDを探すのは当たり前ですよね。一番強いところで勝負するっていうのは基本なので、KDを見つけ、彼にボールを預けて、そこが起点になって、オフェンスが始まります。それは当たり前として、彼が僕をしっかり見つけてくれているというのがすごくありがたいなと思っています。

気持ちが乗っているパスは受け取り手も感じるもの。信頼してもらえているパスなのか、そうでないパスなのかで、やっぱりシュートを打つ気持ちも変わってきますし、そういう意味でも彼のパスは僕を信頼してくれているパスだなと感じることができています。

――第4Q、最後の50秒で再び投入されたことにフランク・ボーゲル・ヘッドコーチからの信頼も感じられた。あの起用の意図はどこにあったのか。

渡邊:最後、ちょっとスモール(ラインナップ)でいくかもしれないから準備はしておけというのは言われていました。うちがまだリードしていましたし、ナーク(ユスフ・ヌルキッチ)も良い3Pを決めていたので、あのままいくのかなとも思っていたんですけど、最後、起用してもらえました。

あそこからの6失点はチームとしての反省点ですね。特に僕が(デビン・)バセルの3Pをシュートチェックにいって、(そのリバウンドをビクター・)ウェンバンヤマが完全にノーマークでプットバックダンク。あのリバウンドを取りきれないというところに、今日の気の緩みが出ていたかなと。

さっきあの瞬間だけ映像を見たんですけど、誰もウェンバンヤマにボックスアウトしていなかったですね。あの時間帯で一番、ボールを持たせたくない選手、リバウンドをいかせたくない選手がゴール下でフリーになっていた。それはバスケットではありえないと思うので、チームとして今日の試合の反省点があの瞬間に出たという感じがしました。

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これから敵として対戦していかなければならないが、自分としてもどういう成長するのかが楽しみ

――ウェンバンヤマとは後半、絡むシーンも多かったが、選手としての印象は。

渡邊:これからがすごく楽しみな選手ですね。あれだけの身長があって、あれだけ動けて、シュートも本当に上手ですし。これからスパーズのコートで揉まれていって、どんどん、どんどん素晴らしい選手になっていくと思います。

これから敵として対戦していかなければならない選手ですが、自分としてもどういう成長するのかが楽しみ。ここ数年くらいでNBAの顔になれるだけの素質は十分にあると思うので、成長は楽しみだなと思いました。

――フィジカル面で大きなアドバンテージがある選手。似たタイプと言えば、ヤニス・アデトクンボか。

渡邊:またちょっと違うかなという感じですね。僕がついていて、味方選手がファウルして、後ろを向いたままアンドワンを決められたプレイがありました。あんなのはこちらからしたらできることはないというプレイ。ああいうことができるというのはやっぱり本当に珍しいことです。

高さだけの選手は今までもいましたけど、あそこまでハンドリングの力があり、シュート力もこれからもっと向上してくると思いますし、どんどん止めるのがしんどくなる選手かなと思っています。今後が本当に楽しみですね。

――チームメイトのボル・ボルより3cm高いが、これまで対戦したなかでも最も大きいのでは。

渡邊:いや、タッコ・フォールが多分一番でしょう。大学の時もフォールと対戦していますし、NBAに入ってからも確かGリーグ、NBAで対戦していますね。身長だけでいうとそうだと思います。

――攻守ともにマッチアップして、自身の感触は。

渡邊:もちろんすごいのは大前提としてありますが、まだ18歳です。もちろんだからといって1対1で止められるとか言うわけではないですが、KD、ヤニスとかあのクラスの怖さがあるわけではないです。

でもこれから成長していくので、さっきも言った通り、2、3年でそのクラスになってくるんじゃないかなと思います。

取材・一問一答構成:杉浦大介


ネッツは次戦、3日午前11時(現地2日)、再びフットプリント・センターでスパーズと対戦する。

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杉浦大介 Daisuke Sugiura

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東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。