渡邊雄太「試合に出れなくてもチームメイトのためにやれることをやっていく」|サンダー戦前一問一答(3月15日/現地14日)

YOKO B

渡邊雄太「試合に出れなくてもチームメイトのためにやれることをやっていく」|サンダー戦前一問一答(3月15日/現地14日) image

3月15日(現地時間14日)、ペイコム・センター(オクラホマ州オクラホマシティ)で行われたオクラホマシティ・サンダー戦にベンチ入りするも出場機会のなかったブルックリン・ネッツの渡邊雄太が、試合前に単独取材に応じた。

以下、試合前の一問一答抜粋(すべて日本語での質疑応答。質問は要約)。

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試合に出れなくてもチームメイトのためにやれることを優先的に

——その後、腰の調子はどうか?

渡邊:(痛み止めの)注射を打ってからかなり良くなってると思います。休みだった昨日も、試合に出ていない僕らは体育館で4対4とか5対5とかやるんですが、その時もあまり気にならないので注射が効いたかなと思っています。

——バックス戦に出場した後、主力が戻るのでまた試合に出れなくなると思うと話していたが、ジャック・ボーン・ヘッドコーチとは改めて話をしたのか?

渡邊:いえ、もともと(トレード後)しばらくメンバー固定でやっていくって言われていて、チームも最初は連敗とか嫌な負け方が多かったですが、最近ようやくケミストリーも構築されてきてチームの状態も良くなってきてると思うので、よっぽどのことがない限りローテーションを変えることはないんだろうなとは思っています。

それは僕だけじゃなくて、ほかの選手も同じですし、やっぱりプロとして結果が求められる世界なので、やっぱりここにいる以上、それまでの過程はあまり関係ないというか…。だから、もう仕方ないかなって感じですね。

——今季も残り15試合ほどで、もう少し自分の力を見せたい気持ちもあるとは思うが、来季のことも考えて焦りやフラストレーションは感じていない?

渡邊:そこはもう自分がコントロールできない部分なので、考えないようにしようと思っています。去年は、焦りやフラストレーションがすごくあったんですよ。もっとアピールしないと翌年の契約に繋がらないだろうって思っていたので。実際、今シーズンは無保証でのスタートでしたし。

ただ、今年に関しては、もう結果は十分残していて、数字として残ってる部分があるんで、これで評価されなかったら本当にもういいかなって、ある意味諦めがつくかなと感じています。あとは、自分が試合に出れなくなってるのも、別に自分のパフォーマンスが悪いからじゃないので、その辺も見る人が見たらわかってくれるだろうと思っています。

——ベンチにいて自分が学べることやチームに貢献していきたいことは?

渡邊:こういう難しい状況になったときに選手は2種類に分かれると思っているんです。自分が試合に出れなくてもチームメイトのために手を叩いたり声出したりとかする選手と、『俺はなんで試合出れないんだよ』って言ってふてくされる選手と。

僕はまだ5年目ですけど、今まで見てきて、こういう状況でも一生懸命応援するような選手ってやっぱり長い間リーグに残るような選手ですし、逆にそうでない選手は能力とかあってもリーグに残れてない選手かなって感じているんです。

うち(ネッツ)で言うと、パティ・ミルズなんかは今シーズンはなかなか試合に出ていないけど、ベンチにいるときは常に立ち上がったり、声出したりしてみんなを応援している。もちろん、彼は試合に出てバリバリ活躍してもいましたが、それでも彼がこれだけ長い間いられるのはああいう態度に全部出るんじゃないかなと思います。

だから、試合に出れなくても、僕もチームメイトのためにやれることを優先的にやっていこうと思っています。

しんどくても諦めなかったから今がある、だからそこは変えちゃいけない

——渡邊選手がここオクラホマシティのアリーナで初めてプレイしたのは2019年2月(当時はメンフィス・グリズリーズと2ウェイ契約)で、当時ラッセル・ウェストブルックとポール・ジョージ率いるサンダーを相手にNBAキャリア初(当時)の二桁得点を記録したが、覚えているか?

渡邊:覚えています。10点取りましたよね。確かトレード直後か何かでメンバーが全然いなくて、僕がまとまったプレイタイムをもらえたんだと思うんですけど、あの時は僕の親も来ていて親友も来ていて、本当によく当時の話をするんですよ。こういうしんどい時期になると、親友が『ポール・ジョージやウェストブルックとマッチアップしただけで見てる俺は興奮してたけどな。そこから考えたら、本当にこの5年間の成長具合がすごいよね』みたいな話をしてくれるんです。

僕もその通りだなと思うんです。あの頃もやっぱり試合に出れなくて、Gリーグでしんどい時期もたくさんあったんですけど、あの時に諦めなかったから今があるわけだから、そこは今も変えちゃいけないなと思っています。

——あの頃から紆余曲折あり、崖っぷちながらもNBAで生き残っているし、今季は3ポイントショットで実力も示し、注目もされた。振り返ってみて、ここまでやってこれているのはなぜだと思うか?

渡邊:自分がやらなきゃいけないことに常にフォーカスして、それを1個1個ちゃんとやっていってるからだと思います。今までの4年間は試合に出れない時の方が多かったので、そういう時でも絶対に腐らずに声を出してチームメイトを盛り上げて、(チーム)練習がない時は体育館に行って練習してきました。

この間パティともこの話をしてたんですけど、試合に出れない時ってオフの日も練習しなきゃいけなくなるので体力的にやること多くて大変なんです。試合にはみんなと同じように来て、ユニフォームを着てベンチでずっと試合を見て同じ時間を過ごして、それにプラスして、試合に出れないから体力や技術を落とさないようにいろいろしなきゃいけない。だから、メンタル的にも体力的にも試合出れない今の方がしんどいんです。

ただ、それをずっとやってきたから今があるので、それは今後も変わらずにやっていけたらと思っていますね。

——渡邊選手が試合に出ることを切望するファンにメッセージはあるか?

渡邊:多分、今この状況で僕が一番冷静なんですよ、本当に。僕の親にしてもやっぱり僕が(試合に)出てるところを見たいでしょうし、それはファンの方々も一緒だと思うんですけど、現状を冷静に見た時に、僕は今、このチームのこのローテーションの仕方では出れないんです。

だから、なんていうんですかね(苦笑)、一度冷静に、渡邊雄太になった気持ちで、渡邊雄太への贔屓目をなくして見てもらえればなと、純粋にブルックリン・ネッツを見てもらえればなと思います。そうしたら、余計なストレスが減ると思うので。

取材・一問一答構成:YOKO B


ネッツは次戦、3月17日 午前8時半(現地16日)にニューヨーク州ブルックリンの本拠地バークレーズ・センターでサクラメント・キングスと対戦する。

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静岡県出身。大学卒業後渡米し、オクラホマ大学大学院修士課程修了。2014年よりオクラホマシティ在住。移住前にNBAのオクラホマシティ・サンダーのファンとなり、ブログで情報発信を始める。現在はフリーランスライターとして主にNBA Japan/The Sporting Newsに寄稿。サンダーを中心に取材するかたわら、英語発音コーチも務める。