オーストラリアからNBA入りを目指す馬場雄大、八村塁と渡邊雄太から「毎日刺激をもらっている」

及川卓磨 Takuma Oikawa

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「結果を残すことが自分の夢を叶えるために必要なこと」

馬場雄大が1月13日、日本メディア向けの合同インタビューに応じ、新天地オーストラリアで戦う2021年シーズンについて「結果にこだわってやりたい」と意気込みを語った。

昨季NBA Gリーグのテキサス・レジェンズでプレイした馬場は今季、メルボルン・ユナイテッド(オーストラリアとニュージーランドを股にかけるオセアニアのプロバスケットボールリーグ NBL)で新たな挑戦に臨む。

15日に敵地で行なわれるアデレード・36ersとの今季開幕戦を間近に控える馬場は、遠征先からのZoomでのインタビューで「コロナの状況でシーズン開幕が延びてしまったんですけど、その分、チームとしていい準備ができた」と語るなど、開幕に向けて準備万端の様子を伺わせた。

その先の目標であるNBA入りについても、「結果を残すことが自分の夢を叶えるために必要なこと。その覚悟だったり、NBA選手になるという気持ちをプレイで見せれたらと思っています」と、力強く語っている。

オフシーズンに下半身を強化

NBLは通常年であれば10月に開幕するが、今季は新型コロナウイルスのパンデミックによって開幕が年明けまでずれ込んだ。ユナイテッドは12月31日にチームにとって唯一となったプレシーズンゲームをケアンズ・タイパンズと戦い、97-81で勝利している。

この試合に途中出場で21分47秒プレイした馬場は、フィールドゴール6本中4本を成功させて11得点、2リバウンド、1アシスト、2スティールのスタッツを残した。試合映像から感じ取れる馬場の力強いプレイは、長いオフシーズンに取り組んだトレーニングの賜物だ。

馬場は、ユナイテッド加入後の体力測定で「ふくらはぎの筋肉が他の部位に比べて弱い」と判定され、それが「疲労骨折とか怪我が多かった」原因だと指摘されたという。そこで、このオフシーズンは下半身をメインに鍛えるプログラムを取り入れてそれを改善。それもあって、フィジカルの強さに定評があるこのリーグでも、「外国人選手とやっても当たり負けしなくなった」、「ディフェンスで相手を守りきれるケースが昨年にも増して増えた」と感じているという。

また、日本代表のチームメイトで、一足先にNBAで活躍する八村塁(ワシントン・ウィザーズ)と渡邊雄太(トロント・ラプターズ)の活躍からも、大きな刺激を受けているという。馬場は、自身がNBAを目指す理由はこの2人の存在にあるとし、「僕の原動力といっても過言ではない」と語る。

刺激を毎日もらっています

母校・奥田中(富山県富山市)の後輩でもある八村については「(NBA)1年目でも全然物怖じしている様子はなかったんですけど、2年目になってより一層、チームの核として引っ張っているなという印象を受けています」と、最近の八村の印象を説明する。

「プレイを見ても、左手でのプレイが増えてきたりだとか、バリエーションが増えている。オフシーズン、すごくがんばってきたんだなと感じました」。

また、ラプターズの2ウェイ契約を勝ち取り、今季はセカンドユニットの一角として活躍する渡邊については「チャンスをものにしていて、チームの相性も彼とすごく合っていると感じます」と話す。

「3ポイントの確率も上がっていますし、なによりも自信を持ってやっていることが見てとれる。オフシーズンのワークアウトの映像もYouTubeで見たんですけど、相当ハードにやっていた。このオフシーズンをうまく利用して成長したところを、コートで表現しているなという印象があります」。

馬場はそんな2人について「(自分も)がんばらなきゃ、という刺激を毎日もらっています」と語っている。

「これまでやってきたことをすべて総合したプレイを」

NBLは2018-19シーズンより、NBA入りを目指す国内外の選手を受け入れる『ネクスト・スターズ・プログラム』を導入したり、NBAチームとのプレシーズンゲームを行なうなど、世界で最もNBAとの連携を強めているリーグのひとつだ。

また、馬場が所属するユナイテッドは、リーグで5度の優勝(1993、1997、2006、2008、2018年)を誇る名門で、馬場も「チャンピオンシップを狙えるチーム」と語るように、今季は優勝候補の一角と見なされている。

そんなチーム内で、馬場はベンチからの起爆剤として期待されている。ユナイテッド新加入の馬場について、ESPNでNBAとNBLをカバーしているOlgun Uluc記者は「(ヘッドコーチのディーン)ビッカーマンにとってダイナミックな要素になりうる」と1月11日付の記事で記している。

馬場本人は、自身のチーム内での現時点での位置づけを「シックスマン」であるとし、ヘッドコーチからはディフェンスや流れを変えるプレイを求められているという。また、レジェンズでの昨季は3ポイントとディフェンスに特化した“3&D”に近いスタイルだったが、今季はよりゲームを作るプレイもこなす予定だという。今季は、馬場本来の持ち味をより発揮しやすい環境にあるといえるかもしれない。

「日本でやっていたときは、クリエイトをメインでやっていたので、今までの僕のプロ生活で培ってきたことを出せる場がこのオーストラリアという舞台かなと思っている。自分としては新しいことというより、これまでやってきたことをすべて総合したプレイを見せることができたらと思っています」。

馬場擁するユナイテッドの開幕戦(対アデレード・36ers/アデレード・エンターテインメント・センター)は、日本時間15日(金)午後5時30分開始予定だ。


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及川卓磨 Takuma Oikawa

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スポーティングニュース日本版編集長。千葉県生まれ、茨城県育ち。2000年日本大学卒。大学在学時を含めて丸14年間バスケットボール専門誌の編集者として企画立案・取材・執筆・編集・誌面制作・マルチメディア運営等に携わる。2013年秋にNBA日本公式ウェブサイト『NBA Japan』編集長就任。サイトやNBA日本公式ソーシャルメディアの新規開設に携わると同時にメディア運営を主導。2022年4月より現職。主な競技経験はバスケットボール、野球、サッカー。