レジェンズの馬場雄大が振り返る“確信に変わった”ターニングポイント

及川卓磨 Takuma Oikawa

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『DAILY9』に出演し、NBA挑戦1年目を回想

NBA直轄のマイナーリーグであるNBA Gリーグのテキサス・レジェンズに所属している馬場雄大が5月13日、NBA公式視聴・配信サービス『NBA Rakuten』の『NBA情報局 DAILY9』に出演し、渡米1年目の今季を振り返った。

オンライン中継で番組に出演した馬場は、MCを務めるハリー杉山さん、渡辺早織さん、Bリーグ 京都ハンナリーズの松井啓十郎との会話のなかで、NBA挑戦1年目の自己評価、シュート力向上の秘訣、シーズン当初の苦労、ターニングポイントとなった出来事などについて語っている。

NBAと同様に3月12日からGリーグのシーズンが停止されるまで、レジェンズで今季41試合に出場した馬場は、1試合平均19.6分、6.3得点、2.5リバウンド、1.3アシスト、1.0スティール、フィールドゴール成功率50.3%、3ポイントショット成功率41.1%の成績を記録した。

昨シーズンまでBリーグのアルバルク東京に所属していた馬場は、昨季終了後、NBAサマーリーグに出場し、夏には男子バスケットボール日本代表の一員としてFIBAバスケットボール・ワールドカップに出場。そして今季開幕前にはダラス・マーベリックスのトレーニングキャンプに参加し、プレシーズンゲームにも3試合出場している。

Gリーグ1年目の自らのスタッツについて馬場は、「シーズン中はあまり気にしていない」としながらも、「改めてスタッツを見ると、3ポイント成功率も今までで一番良いくらい。どのスタッツを見ても、自分の課題と向き合ってきた結果」と一定の満足感を示している。

 

大きく向上した3ポイントショット成功率

実際、レジェンズでの今季、馬場は3ポイントシューターとしての才能の片鱗を見せつけた。成功率4割超えは、かつてNCAAディビジョン1のコロンビア大学でプレイした経験を持ち、日本を代表するシューターのひとりでもある松井も「40%を超えるというのがまず素晴らしいと思います」と絶賛している。

「NBAは(3ポイント)ラインがBリーグより遠いですし、ボールも違う。そのなかでしっかり1年目から40%を超えているというのが素晴らしい」。

Bリーグでの最終シーズンとなった2018-19シーズンの馬場の3ポイント成功率(23.5%)と単純比較はできないものの、今季の41.1%という数字は、シューターとして大きな飛躍と言っていいだろう。3ポイントが向上した理由について馬場は「練習量」を挙げている。

「特別なシュート練習とかはないんですけど、1回の練習時間におけるシュートの練習時間がものすごく多い。休憩前にシュートの競争をチームみんなでやったりとか、合間、合間でシュートの練習がすごく多くて、総合してシュートを打つ量がだいぶ変わったかなと思います」。

馬場雄大 Yudai Baba Legends


シーズン序盤の苦労

渡米初年度から成長する姿を見せた馬場だが、チームに加わったシーズン序盤は苦労も多かったようだ。「国も違うし、そもそもバスケのスタイル、すべてが違っていたので、僕の中ではもう、1から重ねていかないといけないという思いでいた」、「最初の頃はどうしても言葉も通じず、置いてきぼりみたいな状態だった」と、当初の苦労について語っている。

それでも馬場は、率先してチームメイトにハイタッチに行ったり、言葉が通じない分、ボディランゲージでコミュニケーションを図るなど、自分ができることを徹底することで、アメリカの水に慣れ、その過程で徐々に自信をつけていった。結果として、チームメイトとも良好な関係を築くことができたという。

シーズン当初は、「結果を出さないことには、周りの選手とも上手に付き合えていなかったという感じだった」が、持ち前の明るい性格と、懸命に結果を求めていく姿勢によって、馬場はチーム内での自らのポジションを確立していった。

「少しずつ試合に出て、結果を残すことによって『お前、明るいやつだな』ということで、僕が点数を決めたときなんかは喜んでくれていましたし、(チームメイトとの)距離感はだんだん近づいていったかなと思います」。


「確信に変わった」Gリーグ・ショーケース

できることを少しずつ積み重ねていくことで徐々にチームに馴染んでいった馬場は、プレイ面でも良い結果を残すようになっていく。ターニングポイントとなったのが、開幕から1か月強が過ぎた12月19~21日にラスベガスで行なわれたNBA Gリーグ・ショーケースだ。

馬場は、NBAチームのスカウトたちが一堂に会するこのイベントで2試合に出場し、合計40分出場、10得点を記録した。特に目立ったのが、2試合で6スティールを奪ったディフェンスだ。このときのことを馬場は「確信に変わった」と表現している。

「自分のディフェンスはこの選手たち相手に通用する、ということを確信できた2試合だった」。

結果的に、ヘッドコーチからも「Gリーグ上位を争うようなマンツーマンのディフェンダー」と、その守備力を高く評価されるまでになり、それは馬場に大きな自信をもたらしたという。

馬場雄大 Yudai Baba 2019 G-League Showcase

Gリーグのシーズン停止から2週間後の3月28日にツイッターで日本に帰国したことを明かしている馬場は、番組のなかで「最初、なかなかプレイタイムがもらえないなか、試合を重ねるごとに信頼等も勝ち得て、プレイタイムをもらえた。ここからラストスパート、というところでこういう結果になってしまったので、本当にそこは残念に思います」と、道半ばにしてシーズンが中断となってしまったことに対する悔しさをにじませた。

シーズンが進むにつれて実力を発揮し始め、成長の跡も見せていただけに、その悔しさは推して知るべしだろう。だが、本人は同時に「くよくよしている場合ではない」と、気持ちを切り替えてもいる。

新型コロナウイルスの世界的感染拡大に歯止めがかかり、いつの日かバスケットボールが日常に戻ってきたとき、馬場は再び、成長した姿を見せてくれるはずだ。

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馬場のインタビューの全容はNBA Rakutenで視聴可能。12日には、同じく『DAILY9』にメンフィス・グリズリーズとNBA Gリーグ メンフィス・ハッスルに所属する渡邊雄太が出演した。


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及川卓磨 Takuma Oikawa

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スポーティングニュース日本版編集長。千葉県生まれ、茨城県育ち。2000年日本大学卒。大学在学時を含めて丸14年間バスケットボール専門誌の編集者として企画立案・取材・執筆・編集・誌面制作・マルチメディア運営等に携わる。2013年秋にNBA日本公式ウェブサイト『NBA Japan』編集長就任。サイトやNBA日本公式ソーシャルメディアの新規開設に携わると同時にメディア運営を主導。2022年4月より現職。主な競技経験はバスケットボール、野球、サッカー。