【宮地陽子の一戦一言】第28話:ジョエル・エンビード「うぬぼれに聞こえないといいけれど、最初からけっこう簡単だった」

宮地陽子 Yoko Miyaji

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選手やコーチたちの興味深いコメントの背景にあるものはいったい何なのか――? 米国ロサンゼルスを拠点に長年NBAを追い続けるライターの宮地陽子氏が、ある『一戦』で発せられた『一言』の真意を読み解く。

第28話となる今回は、フィラデルフィア・76ersのジョエル・エンビードがロサンゼルス・クリッパーズ戦後に語った言葉の裏側に迫る。

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今日の一戦一言(いっせんいちげん)

ジョエル・エンビードフィラデルフィア・76ers

「うぬぼれに聞こえないといいんだけれど、最初からけっこう簡単だったんだ。年月を経てよくなってきたのは、目の前に何があっても、誰からどう思われようと、支配してやるというメンタリティーだと思う」

ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers)が好調だ。1月17日(日本時間18日)のロサンゼルス・クリッパーズ戦では試合出だしから連続得点をあげ、前半だけで28得点、最終的に41得点をあげた。40得点以上の試合はこれで今季8試合目だ。

エンビードによると、自分がアグレッシブに攻めることで、チーム全体に良い効果があることがわかったので、特に試合序盤では意識してアグレッシブなプレイをしているのだという。

そんなエンビードのプレイについて、チームメイトのタイリース・マクシーは「いつも(スコアボードを)見上げたら40得点取っていたとか、35得点以上とっていたりする。あまりに簡単にやってしまうから『ジョエルは今夜、本当にプレイしていた?』と思ってしまうほどだ」と感嘆する。それだけ効率よく、簡単そうに得点をあげている彼を見て、「これは当たり前のことではないんだ」と自分に言い聞かせてすらいるという。

確かに、エンビードはルーキーの頃から支配的なビッグマンだったが、今では前以上に、すべて軽々とやっているようにすら見える。時にディフェンスを手玉に取るように翻弄してショットを決め、あるいはチームメイトにアシストする。76ersのドック・リバース・ヘッドコーチに言わせると、以前に比べて上手くなったのは、ディフェンスがどれだけプレッシャーをかけてきても慌てなくなったところだという。

「無理に攻めなくなり、時にはディフェンスが寄ってくるのを待っているようにすら見える」とリバースHC。

果たして、本人は以前より色々と簡単にできるようになったように感じているのだろうか。エンビード自身にその質問を投げかけたところ、こんな答えが返ってきた。

「うぬぼれに聞こえないといいんだけれど、最初からけっこう簡単だったんだ」

サイズと機敏さを備えたエンビードにとって、バスケットボールはずっと簡単なスポーツだったのだ。そのなかで一番成長したと自分で感じているのは、スキルよりもメンタリティーの面だという。

「毎晩、いろいろなチャレンジがあり、どんなことにでも適応するためにはすばやく処理するマインドが必要だった。色々なディフェンスのカバレージを見てきた。前に見たのと同じこともあるし、まったく新しいものもある。年月を経て良くなってきたのは、目の前に何があっても、誰からどう思われようと、支配してやるというメンタリティーだと思う」

エンビードの活躍とともに、76ersの成績も上昇中。イースタン・カンファレンスの上位軍団に入っただけで満足することなく、さらに上を狙っている。


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宮地陽子 Yoko Miyaji

宮地陽子 Yoko Miyaji Photo

東京都出身。ロサンゼルスを拠点とするスポーツライター。バスケットボールを専門とし、NBAやアメリカで活動する日本人選手、国際大会等を取材し、複数の媒体に寄稿。著書に「The Man ~ マイケル・ジョーダン・ストーリー完結編」(日本文化出版)、「スラムダンク奨学生インタビュー その先の世界へ」(集英社)、編書に田臥勇太著「Never Too Late 今からでも遅くない」(日本文化出版)