ミネソタ・ティンバーウルブズの上層部は、本当にパワーフォワードのポジションをアップグレードしたかったのに違いない。
トレーニングキャンプ開始を来週に控え、ウルブズは4番のポジションを強化するために大きなことができていない。そこで、ロスター強化を託していたバスケットボール運営部のガーソン・ロサス代表を、9月22日(日本時間23日)に解任した。
Timberwolves/Lynx owner Glen Taylor released the following statement:
— Timberwolves PR (@Twolves_PR) September 22, 2021
“Today, the Minnesota Timberwolves parted ways with President of Basketball Operations Gersson Rosas. As an organization, we remain committed to building a winning team that our fans and city can be proud of.”
43歳のロサスは2019年からバスケットボール運営部の代表を務めてきた。ヒューストン・ロケッツのフロントで17年を過ごした人物だ。ダリル・モーリーがフィラデルフィア・76ersに向かうまで、主に彼と仕事してきた。だが、ウルブズはここ2シーズンで42勝94敗(勝率30.9%)。球団の通算勝率39.4%をも下回り、さらに現在のNBAの30球団でワーストの成績だ。
リーグ史で彼らよりも勝てなかったのは、10球団しかない。そしてそのすべてが今は存在していない。ウルブズは過去15シーズンで10人の異なるヘッドコーチにチームを託した。その15年でプレイオフに進んだのは、ファーストラウンドでヒューストン・ロケッツに敗れた2018年の1回だけだ。
前述のパワーフォワードの話は皮肉だが、ウルブズが何度も何度もリセットボタンを押す理由は決して分からない。ロサスの後任は、彼自身が同部のエグゼクティブバイスプレジデントとして招へいしたサチン・グプタが暫定的に務める。
4番の強化失敗が理由だろうか。おそらく、それだけではない。ウルブズは7月のドラフトで指名権がなかった。アンドリュー・ウィギンズの放出やディアンジェロ・ラッセルの獲得というロサスが主導した取引で、1巡目と2巡目の指名権をいずれもゴールデンステイト・ウォリアーズに譲っていたのだ。
昨シーズン途中にライアン・ソーンダーズに代えてクリス・フィンチをヘッドコーチに招へいしたことは、新たなスタッフを確立しようとしながら、1巡目指名権トップ3のプロテクションを守ろうとするという相反した状況にチームを追い込んだ。そして、13勝40敗から最後5週間で10勝9敗を記録し、ロッタリーでは7位指名となった。ロサスのチームは、「正しく負ける」こともできなかったのだ。
ロサスは2020年のドラフトでアンソニー・エドワーズを全体1位指名した。昨季のNBAの新人でトップだった2人のうちの1人だ。新人王を受賞したのはシャーロット・ホーネッツのラメロ・ボールだったが、エドワーズには将来、スターになるポテンシャルがある。
だが、2019年はドラフトの際にフェニックス・サンズとのトレードでジャレット・カルバーを獲得し、その年に指名したキャメロン・ジョンソンとベテランのダリオ・シャリッチを手放した。2021年のサンズのNBAファイナル進出に貢献した選手たちだ。一方、カルバーはウルブズでの2シーズンで印象を残せず、先月、パトリック・ベバリーを獲得するトレードでメンフィス・グリズリーズに放出されている。
ラッセルのトレードのほかにも、ロサスは2020年2月のトレード期限までに6人の選手を獲得したが、その大半はロールプレイヤーで、残っているのはマリーク・ビーズリーとジャレッド・バンダービルトだけだ。
皮肉なことに、カール・アンソニー・タウンズは先週、『Yahoo! Sports』のインタビューで、2015年のドラフトで全体1位指名されて以降、多くの選手やコーチが行き来したことに言及している。
2016年の新人王で、2018年にオールNBAサードチームに選出され、オールスターにも2回選ばれているタウンズは、「安定し、ともに成長しようとしている人たちと、どこで自分たちが成長できるかを理解できたら素晴らしいことだ」と話した。
タウンズは加入から6シーズンで4人のヘッドコーチと仕事し、その間のレギュラーシーズン通算成績は185勝279敗だ(勝利39.9%)。
トレーニングキャンプ開始を目前に運営部代表を解任するのは、厳しい決定だ。だが、ロサスに何かしら特別な問題があったのか、オーナーが彼に対する信頼を失ったのであれば、正しい決定だろう。2021-22シーズンが終わるのを待つ理由はない。
また、アレックス・ロドリゲスとマーク・ロアの投資グループは、まだグレン・テイラーのパートナーだが、彼らがロサス退任に関わっているとの見方もある。ベテランNBAライターのピーター・ベッシー記者は、ソーシャルメディアでロドリゲスが殿堂入りしているアイザイア・トーマスに関心を抱いているかもしれないと伝えた。ロドリゲスがMLBニューヨーク・ヤンキースで現役だったころ、ニューヨーク・ニックスの社長とヘッドコーチだった人物だ。
Timberwolves Part Ways With Gersson Rosas. Is replacement a Fait accompli? Instincts tell me will hire ARod Lord Thomas 2 run front office. Do not discount the K.G. factor! HOF’s annual presenter (Isiah) was on stage when Garnett got inducted. I smell them reuniting in Minny.
— Peter Vecsey (@PeterVecsey1) September 22, 2021
ロドリゲスとロアが関係しているのなら、そのタイミングや、突然の方向転換というウルブズのパターンと見事に一致している。もしそうだとすれば、ミネソタの雰囲気は「新しいボスに会うが、昔のボスと同じ」となるかもしれない。
原文:Wolves hit reset button again, fire President of Basketball Operations Gersson Rosas by Steve Aschburner/NBA.com(抄訳)