マレーとラッセルのトレード案:レイカーズやホークスにとってイエス/ノーとなる理由

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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アトランタ・ホークスのデジャンテ・マレーは、現在のトレード市場で最高の選手だ。そしてロサンゼルス・レイカーズは、最もタレントのアップグレードを必要としているチームだ。

表面上、両者をつなげるトレードは理にかなっている。では、なぜ実現していないのだろうか。

The Athletic』のヨバン・ブーハ記者が報じた、直近で議論されている枠組み、そして両チームがトレードについて考えていると見られることをまとめた。

なぜレイカーズはラッセル&有望株とマレーのトレードにイエス/ノー?

トレード案

レイカーズがマレーとウェスリー・マシューズを獲得、ホークスがディアンジェロ・ラッセル、ジェイレン・フッド・シフィーノ、2029年ドラフト1巡目指名権、4つのドラフト2巡目指名権を獲得。

Lakers Hawks trade
fanspo.com

なぜこのトレードに?

サラリーのために、レイカーズからの放出可能性が最も高いのはラッセルだ。最近はプレイが良くなっているが、マレーであればアップグレードとなるのは確実だろう。

サラリーのつり合わせという点では、オースティン・リーブスも理にかなう。そしてホークスはむしろ彼を望むだろう。だが、リーブスはレイカーズが放出するにはあまりにも優れた選手となった。

NBAドラフト2023で全体17位指名されたフッド・シフィーノは、レイカーズにおいてトレード価値のある数少ない若手選手のひとりだ。また、ホークスにとってできるだけ魅力的な取引とするために、可能なドラフト指名権のすべてが含まれた。

レイカーズがイエスと言う理由

レイカーズが強く必要としているのは、リーグ20位というオフェンスの改善だ。

マレーはホークスで平均21.4得点を記録している。優れたショットクリエイターで、ピック&ロールをこなし、ミッドレンジからのショットはキャリアを通じて卓越していた。3ポイントショットも成功率37%と成長しており、3P成功でリーグ28位というレイカーズの攻撃を強化するのは確かだ。オフボールでもプレイでき、レブロン・ジェームズの負担を軽減できるかもしれない。

また、マレーはラッセルよりもはるかに優れたディフェンダーだ。2018年にオールディフェンシブチームに選出された時のレベルではないが、マッチアップで力を発揮できる。一方で、ラッセルはプレイオフシリーズを通じてターゲットにされ、コートに立っていることができなくなった。

今後に向けてもマレー獲得は素晴らしい取引だ。来季は4年1億1400万ドル(約168億7200万円/1ドル=148円換算)の延長契約がスタート。最初は年俸2480万ドル(約36億7040万円)だ。全盛期を迎えるオールスター経験者としてはお買い得だろう。

レイカーズがノーと言う理由

マレーが加わったとしても、レイカーズはウェスタン・カンファレンス・ファイナルまで勝ち進んだ昨季を上回るのに十分だろうか。現在のチームは勝率5割をわずかに上回っている状態だ。それにこの取引で将来をさらに担保に入れることとなる。

こういった取引を行わずにシーズンを戦い抜くと決めたら、レイカーズは優勝できないだろう。だが、ドラフト後にトレードできる1巡目指名権が3つあり、マレー以上の好選手が獲得可能になった時に狙うことができる。

また、最近のラッセルは好調だ。1月11日(日本時間12日)以降は平均23.6得点をあげている。このまま彼がそのペースを保てるのか見ていくかもしれない。

ホークスは合意するか?

ホークスがドラフト1巡目指名権3つや指名交換権と引き換えにマレーを獲得してから、まだ2シーズンも経っていない。ここで彼を手放す見返りとして、ホークスにとって受け入れるのが非常に厳しい条件だろう。だが、彼らはマレーを放出しようとしており、これが最高のオファーかもしれない。

マレーとトレイ・ヤングは、ホークスが期待したほどうまく機能していない。最近のホークスはプレイが良くなったが、それでもイースタン・カンファレンスの10位だ。編成をし直し、オールスターガードであるヤングを中心にし、さらに良いチームをつくろうとする必要がある。

見返りにラッセルを獲得することも事態を複雑にさせる。ヤングやボグダン・ボグダノビッチと一緒にするのは理にかなわない。あまりにも守備が問題だ。ホークスは彼を引き受ける別のチームを探さなければいけないだろう。

フッド・シフィーノは今季、レイカーズであまり試合に出ていない。彼はガードとして素晴らしいサイズで、攻守両面で優れた選手になる可能性もある。ヒットすれば、ヤングの隣で素晴らしい活躍を見せるかもしれない。

リーブスを取引に含めないでレイカーズに現時点的に可能なオファーであっても、ホークスがノーと言う状況に感じられる。彼らはすぐに引き金を引くチームではない。ジョン・コリンズが良い例だ。

フッド・シフィーノを特別に高く評価するか、ラッセルのための3つ目のチームを見つけられない限り、ホークスは夏にもっと良いオファーが届くのを狙うだろう。

原文:Why Lakers say yes and no: Dejounte Murray to the Lakers for D'Angelo Russell and picks(抄訳)
翻訳:坂東実藍

Stephen Noh

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。