NBAファイナル2020で健闘したマイアミ・ヒートを待ち受けるオフシーズンの課題

Scott Rafferty

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マイアミ・ヒートは10月11日(日本時間12日)、NBAファイナル第6戦でロサンゼルス・レイカーズに敗れ、優勝を目指す道のりが途絶えた。

イースタン・カンファレンス第5シードで臨んだプレイオフで、インディアナ・ペイサーズ、ミルウォーキー・バックス、ボストン・セルティックスを下し、2014年以来となるファイナルに進出した素晴らしいシーズンだった。

これから、ヒートは忙しいオフシーズンに臨む。いくつかの重要な決定が待ち受けている。それらを見ていこう。

NBAドラフト

2020年のNBAドラフトで、ヒートには指名権がひとつある。20位指名権だ。

ドラフト専門家のEric Fawcett記者は、直近のモックドラフトで、ヒートがTheo Maledonを指名すると予想した。フランス出身の6フィート3インチ(約191cm)で、今季はユーロリーグのアスベルでプレイ。1試合平均7.4得点、3.1アシストを記録している。

ヒートには2巡目指名権(50位)もあるが、サクラメント・キングス、クリーブランド・キャバリアーズ、セルティックスを経由してアトランタ・ホークスに譲渡することになっている。

フリーエージェント

ヒートはフリーエージェントでいくつか重要な決断を下すことになる。

ジミー・バトラーがFAになるのは、早くて2022年だ。3770万ドル(約39億7000万円)で2022-23シーズンのプレイヤーオプション(選手が現行契約を継続するかどうか選択できる権利)もある。だが、ゴラン・ドラギッチ、ソロモン・ヒル、マイヤーズ・レナード、ジェイ・クラウダー、デリック・ジョーンズJr.はそれぞれ、このオフシーズンで制限なしFAになる。

加えて、ケリー・オリニクも1220万ドル(約12億9000万円)のプレイヤーオプションがあり、それを拒んでFAになるかもしれない。4月、『South Florida Sun Sentinel』のIra Winderman記者は、オリニクがオプトイン(残留)すると報じたが、11月半ばまで時間はある。

Goran Dragic Miami Heat

ヒル、レナード、ジョーンズJr.は、プレイオフであまり貢献できなかった。だが、ドラギッチとクラウダーはヒートの成功において大きな存在だった。レギュラーシーズンでは3試合を除いてベンチスタートだったが、ドラギッチはポストシーズンでヒートの先発ポイントガードとなり、チーム2位となる1試合平均19.9得点を記録した。クラウダーはそこまで得点力をもたらしたわけではないが、彼の3ポイントショットと守備は、イースタン・カンファレンス・セミファイナルでバックス、カンファレンス・ファイナルでセルティックスを相手にアップセットを演じる上で重要だった。

ヒートが直面する問題は、ヤニス・アデトクンボなど最高級の選手たちが多くFAとなるかもしれない2021年夏にサラリーキャップの空きを作っておきたがっていると言われる多くのチームのひとつであることだ。今季は重要な存在だったドラギッチやクラウダーと長期契約を結び、2021年に最大限のサラリーキャップの空きを作れないという危険をヒートが冒すだろうか。

特に、ファイナル第1戦で負った足底筋膜断裂から完全に回復すれば、ドラギッチはFA市場でまずまずの人気銘柄となるはずだ。プレイオフの前、2020年のFA市場で最高のポイントガードを序列化した際に、筆者がドラギッチより上と考えたのはフレッド・バンブリートしかいない。年齢を考えれば、長期契約は望まれないかもしれないが、ドラギッチがバックコートでプレイメイクを必要とするチームと高額で1年契約を結ぶことになったとしても驚かないだろう。

反対に、これらの選手たちがヒートを去り、オリニクがプレイヤーオプションを破棄すれば、ヒートはキャップスペースのあるベストチームとなり、かなりの額をFAに投じられるようになる。もちろん、2021年のキャップスペースを最大化するために、ドラギッチ、クラウダーなどと1年契約を結び、そのスペースを保つこともあり得る。だが、それを使ってバンブリートやボグダン・ボグダノビッチ、ダニーロ・ガリナーリ、ダービス・ベルターンス、サージ・イバカなど、このオフシーズンの最高のFAたちを狙うこともあり得る。

バム・アデバヨの延長契約

ドラフトで14位指名されて3シーズン、来季4年目を迎えるバム・アデバヨはこのオフシーズンにルーキー契約を延長することができる。

今季の彼はリーグ有数のセンターであることを証明し、延長契約を得ることができるかもしれないが、ヒートが彼との延長契約を来年のオフシーズンまで先送りにしたとしても驚いてはいけない。

それはなぜか。ここでもまた、2021年のキャップスペースの最大化が問題となる。

Bam Adebayo Miami Heat

ヒートはこのオフシーズンにアデバヨに延長契約を提示しなければ、来季終了後のオフに制限付きFAとなる彼が別のチームからのオファーシートにサインするリスクを冒すことになる。だが、チームの現在と未来にとって彼がいかに重要かを考えれば、制限付きFAでアデバヨがどんな条件を受けるにしても、ヒートがマッチしないことは想像しにくい(注:元のチームは制限付きFAに対する他チームからのオファーにマッチして引き留める権利を有する)。

来年のオフシーズンまで延長契約を遅らせる理由は、現行では2021-22シーズンにサラリーキャップに計上されるアデバヨのサラリー(キャップホールド)は1530万ドル(約16億1000万円)なのだが、今オフに延長契約を結んだ場合、より高額になると予想される新契約1年目(つまり2021-22シーズン)のサラリーがそのままチームのサラリーキャップに計上されてしまうからだ。つまり、2021年のオフシーズンに、ヒートは1530万ドルよりも大きな額でサラリーキャップを減らすことになると見られているのだ。

3シーズン目のアデバヨは今季、1試合平均15.9得点、10.2リバウンド、5.1アシスト、1.3ブロック、1.1スティールを記録した。初めてオールスターに選ばれ、パトリック・ベバリーやエリック・ブレッドソー、カワイ・レナード、ブルック・ロペスらと並びオールディフェンシブ・セカンドチームにも選出されている。

さらに、プレイオフではファイナルまで平均18.5得点、11.4リバウンド、4.9アシスト、1.2スティールとさらにレベルを高めた。

シーズン再開前、『NBA.com』のスタッフは、アデバヨをリーグ18位にランクしている。

原文:What's next for the Miami Heat? by Scott Rafferty/NBA Canada(抄訳)​


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Scott Rafferty is an experienced NBA journalist who first started writing for The Sporting News in 2017. There are few things he appreciates more than a Nikola Jokic no-look pass, Klay Thompson heat check or Giannis Antetokounmpo eurostep. He's a member of the NBA Global team.