重荷から解放されたウィギンズ
アンドリュー・ウィギンズのNBAキャリア第6章は、オーランドで22チームがシーズンを再開させるなかにゴールデンステイト・ウォリアーズが入らなかったことで、終幕を迎えた。
NBA6年目のカナダ出身のウィギンズは、ディアンジェロ・ラッセルとの大型トレードで、ミネソタ・ティンバーウルブズからウォリアーズへと移籍。2014年にドラフト全体1位で指名されて以来、スター選手という期待になかなか応えることができなかったウィギンズは、新天地で新たな役割を担うこととなった。
フランチャイズを背負うという重荷から解放されたウィギンズは、再び優勝を狙えるチームに戻りたいウォリアーズに貢献できそうな活躍を要所で見せていた。しかし、本当にそれで十分なのだろうか? そしてウォリアーズを強豪ひしめくウェスタン・カンファレンスで再び高いレベルに導けるほど、安定したプレイを見せることができるのだろうか?
2020-21シーズンは、元全体1位指名選手にとって大きな1年となりそうだ。
2019-20シーズン初め、2015年のルーキー・オブ・ザ・イヤーはようやく何かきっかけを掴んだかのようだった。シーズン最初の11試合でウィギンズは平均25.9得点、5.1リバウンド、3.6アシスト、3ポイント成功率36.1%を記録。ウィギンズがボールを多く持つようにするというライアン・ソーンダーズ・ヘッドコーチの作戦は功を奏した。そしてすでに層の薄いバックコートにけが人が相次いだことで、ウィギンズはプレイメイカーになれることを証明する機会を得るとともに、失敗から学ぶ機会も得たのだ。
開幕ダッシュから少し数字は落ちたものの、ウィギンズはティンバーウルブズの一員として出場した42試合で、平均22.4得点、4.6リバウンド、3.6アシストを記録した。25歳のウィギンズにとって、得点力はこれまでも問題だったことはなかったのだが、それ以上何を提供できるのかがわかっていなかった。だが今季、我々はようやくそれを知ることとなったのだった。
2022-23シーズンには3300万ドルにまで上昇するウィギンズの契約は、トレード不可能と考えられていた。しかし、ウォリアーズがトレードで獲得しようと考えるほどに彼は結果を出したのだ。
ウォリアーズは当初からウィギンズを獲得することがチームにとってどうなるか想定していたが、ウィギンズも自身がウォリアーズでプレイするとどうなるのか、すぐに理解することとなった。
ウォリアーズに移籍してから11試合後、ウィギンズがスティーブ・カーHCのシステムにどれだけ恩恵を受けているのか、NBA Canadaのスコット・ラファーティ記者が分析している。これまで自分のオフェンスを作り出す必要があったウィギンズだったが、カーHCのシステムでは素晴らしいパスの受け手になれるのだ。
ディフェンス面でもポテンシャルを見せ、チームメイトでルーキーのエリック・パスカルから絶賛されている。
ウォリアーズでの試合数はまだ少ないが、ステフィン・カリーとクレイ・トンプソンが完全に健康な状態で戻ってくるこのチームで、ウィギンズの道筋は明るそうだ。
ではこれからどうなるだろうか?
これまでも、ウィギンズに関してはこの疑問を何度も抱いてきた。これまで何度も、彼の支持者は「今年こそアンドリュー・ウィギンズが大成する。オールスターになるんだ」と主張してきた。
2020-21シーズンは、彼らがようやく胸を張っていられるシーズンになるかもしれない。もう言い訳はできない。彼のポテンシャルから全てを引き出すためのシステム、コーチ、チームメイトがウォリアーズには揃っている。来季のウィギンズにかかる期待がどんなものなのかは明確で、これまでよりも荷が軽い役割を担うこととなる。
つまり、チームのファーストオプション、セカンドオプションでなければいけないというプレッシャーから解放されるということだ。自分以外の何かになろうとする必要がないのだ。
ウィギンズが2020-21シーズンにやらなければならないことは、ただただバスケットボールをプレイすることだ。そしてそれは、彼がずっと望んでいたことなのだ。
原文:What's next for Andrew Wiggins with the Golden State Warriors? by Carlan Gay/NBA Canada