馬場雄大が向かうNBL、メルボルン・ユナイテッドとは?

及川卓磨 Takuma Oikawa

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馬場雄大が次なる挑戦の舞台に選んだのは、オーストラリアだった。馬場は7月19日、NBL(National Basketball League)に加盟しているメルボルン・ユナイテッドへの移籍を発表した。NBLはオーストラリアとニュージーランドに拠点を置く9チームからなるオセアニア地域のトップリーグだ。

7月20日に東京都内で開かれた契約会見で、馬場はNBLについて「チームとしての組織力、フィジカルなところはGリーグより上に位置すると思っています」と語っている。NBA入りを目標に掲げ、英語の上達も課題としている馬場にとって、また、新型コロナウイルスの世界的流行によって先行きが不透明な現状において、NBLは彼にとって最善の選択肢と映ったようだ。

NBLは、日本代表の同僚でもある比江島慎が2018-19シーズンに挑戦(ブリスベン・ブレッツ)したリーグとしてご存知の方も少なくないだろう。リーグには、アンドリュー・ボーガット(シドニー・キングス)、マイルズ・プラムリー(パース・ワイルドキャッツ)、アーロン・ブルックス(イラワラ・ホークス)など、NBAで実績のある選手も多い。

また、最近ではテレンス・ファーガソン(アデレード・36ers/現オクラホマシティ・サンダー)や、今年のNBAドラフト候補となっているラメロ・ボール(イラワラ・ホークス)、RJ・ハンプトン(ニュージーランド・ブレイカーズ)といったアメリカの有望選手が高校卒業後に大学(NCAA)に進学せずに“武者修行”に行くようになっていることで注目を集めている。

だが、日本のバスケットボールファンにとって、NBLはまだまだ縁遠い存在だろう。実際、NBLとはどのようなリーグなのだろうか? NBAオーストラリアのシニアエディター、ベンヤン・キダン記者(@BenyamKidane)にNBLと馬場の可能性について聞いた。


馬場の身体能力とスキルセットはリーグのプレイスタイルに合っている

――NBLはどんなリーグ? 特徴はどんなところ?

ベンヤン・キダン(以下BK): NBLは、世界的なエリートリーグとしての地位を築きつつある独立リーグです。最近では『ネクスト・スターズ・プラグラム』(未来のNBA選手輩出を目的とした育成制度)やNBLチームとNBAチームによるプレシーズン戦シリーズなどを通じて、NBAとの接点を数多く持つようになっています。NBLはガードがゲームを支配しており、馬場選手の身体能力とスキルセットはリーグのプレイスタイルに合っていると思います。彼の才能を発揮する舞台として、とても素晴らしいリーグだと思います。

――NBLとNBA Gリーグの違いは?

BK: NBLのゲームのペースは非常に速いです。馬場選手のように走れて、跳べて、シュートもできる選手に適していると思います。競技のレベルはNBLとGリーグは近いものがあると思いますが、NBLはGリーグよりも、チームがより組織的なバスケットボールをしています。プロフェッショナリズムの観点から言うと、NBLはうまく運営されていますし、拡大傾向にあると言えます。

――メルボルン・ユナイテッドはどんなチーム?

BK: メルボルン・ユナイテッドは、NBLで最高のフランチャイズのひとつです。優勝争いできるタレントを擁していますし、このリーグで屈指の名将であるディーン・ビッカーマン・ヘッドコーチ(Dean Vickerman)の下、馬場選手は自身を大きく飛躍させる環境を得ることができるでしょう。

――馬場選手はプレイタイムを得られるか?

BK: 彼の身体能力とシューティング能力のコンビネーションがあれば、ユナイテッドのセカンドユニットとして出場時間を得られるはずです。このチームはリーグ最高レベルの3ポイントショットを武器としており、彼が持っているスキルはチームにフィットすると思います。

――メルボルンのファンにとって馬場選手の加入はどれくらいのインパクトがある?

BK: NBLにとって、アジア地域の有望選手を加えることは、リーグ所属選手のタレントの拡大、競い合う選手たちにとって魅力的なリーグにするためにも重要です。馬場選手は、元NBA選手やNBAに準ずるレベルの選手たちを相手に、彼自身の能力を試すことができるでしょう。


昨年7月、ダラス・マーベリックスの一員としてNBAサマーリーグに出場した馬場は、男子バスケットボール日本代表としてFIBAバスケットボール・ワールドカップ2019に出場したあと、ダラス・マーベリックスと契約してプレシーズン戦に出場。2019-20シーズンはマーベリックス傘下のGリーグチーム、テキサス・レジェンズでプレイした。

馬場はレジェンズで41試合に出場し、平均19.6分、6.3得点、2.5リバウンド、1.3アシスト、1.0スティール、フィールドゴール成功率50.3%、3ポイント成功率41.1%を記録している。

オーストラリア代表で活躍するクリス・ゴールディングが所属しているメルボルン・ユナイテッドは、1984年にメルボルン・タイガースとしてNBLに加盟し、2014年にメルボルン・ユナイテッドに改名。5度の優勝(1993、1997、2006、2008、2018)を誇る名門で、2019-20シーズンはレギュラーシーズン4位、プレイオフではセミファイナルで敗退している。

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及川卓磨 Takuma Oikawa

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スポーティングニュース日本版編集長。千葉県生まれ、茨城県育ち。2000年日本大学卒。大学在学時を含めて丸14年間バスケットボール専門誌の編集者として企画立案・取材・執筆・編集・誌面制作・マルチメディア運営等に携わる。2013年秋にNBA日本公式ウェブサイト『NBA Japan』編集長就任。サイトやNBA日本公式ソーシャルメディアの新規開設に携わると同時にメディア運営を主導。2022年4月より現職。主な競技経験はバスケットボール、野球、サッカー。