ゴードン・ヘイワードの負傷離脱により好調セルティックスに訪れる変化とは?

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ボストン・セルティックスにとって、11月9日(日本時間10日)にAT&Tセンターで行なわれたサンアントニオ・スパーズ戦の前半までは全てが順調だった。

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同会場で2011年以来となる勝利をあげ、7連勝で今季の戦績を7勝1敗としてイースタン・カンファレンスの首位に立った。

しかし、前半の終盤にゴードン・ヘイワードが負傷。相手のスクリーンに気づかずに衝突して左手を骨折したヘイワードは、11日(同12日)に手術の必要性があるかを判断するため専門医の診断を受ける予定であると、『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者が伝えている。

2019-20シーズン開幕から好調を維持していたヘイワードの離脱は、セルティックスにとって大きな痛手だ。スパーズ戦まで今季平均20.3得点、7.9リバウンド、4.6アシスト、フィールドゴール成功率56.4%、3ポイントショット成功率44.4%を記録するなど、以前の姿を取り戻した印象を周囲に与える活躍だった。

ヘイワードの離脱によってセルティックスにもたらされる変化について考察したい。

 

さらにスモールボールラインナップに

センターのエネス・カンターが今季初出場した試合でひざを痛めて離脱したため、すでにセルティックスは他チームと比べてアンダーサイズなチームだった。それがヘイワードの負傷により、よりスモールなチームへと変わる。

これまでの先発はケンバ・ウォーカー、ジェイレン・ブラウン、ヘイワード、ジェイソン・テイタム、ダニエル・タイスで、ヘイワードとテイタムの適正ポジションはスモールフォワードのため、2人は守備時に大柄な選手とぶつかる姿が頻繁に見られた。

ヘイワードの穴を埋めるのはマーカス・スマートになるだろう。この変化により、ラインナップはさらに小型化する。

幸運にも、スマートはポストでの守備に優れた選手だ。NBAのスタッツによれば、クリーブランド・キャバリアーズ戦ではケビン・ラブと31ポゼッションでマッチアップし、8本のショットで8得点に抑えた。また、ミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボのマークについた試合では、17ポゼッションでわずか2本しかシュートを打たせず、3度のターンオーバーを誘った。

今後は、スマートが相手のビッグマンを抑える機会が増えるだろう。

負傷離脱中のカンターも、スパーズ戦前の実戦練習に参加し、感触も良好だったことから、復帰も近いと見られている。

 

ジェイレン・ブラウンの得点力

20.3得点、4.6アシストを記録していたヘイワードのUsage Rate(※ユーセージ・レート: フィールドゴール試投、フリースロー試投、ターンオーバーのいずれかで味方の攻撃機会を終了させた割合を示す指標)は21.9%で、ウォーカー(28.7%)、テイタム(26.4%)に次いでチーム3位の数字だった。

Jaylen Brown Celtics

スパーズ戦前の段階で、3選手(ウォーカー、テイタム、ヘイワード)が平均20得点超えを記録していたチームはセルティックスのみだったため、ヘイワードの長期離脱する今後はジェイレン・ブラウンの得点力が欠かせなくなる。

体調不良から復帰して以降、ブラウンは目覚ましい活躍を見せている。スパーズ戦ではチーム最多の30得点、FG18本中10本(成功率55.6%)を記録。今後の試合でも、同様のプレイが求められる。

スパーズ戦前の時点で平均16.0得点だったブラウンだが、今後もセルティックスが良い状態を維持できれば、それは1試合平均20.0得点に近い数字を残している同選手の貢献によるところが大きい。

スパーズ戦でも積極的にプレイしたブラウンは、自己最多に並ぶ10本のフリースローを獲得した。通算フリースロー成功率は66.0%だが、10本中9本を成功させるなど、良い兆しを見せている。

 

問われる選手層の厚さ

2019-20シーズン開幕前から、セルティックスの選手層は疑問視されてきた。

しかし、開幕から8試合を終えて7勝1敗という戦績を収めたことで、チームの守備に難がないことは証明された。一緒にプレイしている期間は短いものの、ハードに取り組み、円滑なコミュニケーションを取り、スイッチも上手くできている。NBA公式スタッツによれば、今季の100ポゼッションでの平均得点と同平均失点はトップ5で、ターンオーバーとスティールはトップ10、ディフェンシブリバウンドはリーグ4位の数字を残している。

サイズ不足は今も不安要素とはいえ、彼らは機能させる方法を見つけた。守備に関しては敬意を表したいほどだが、被リバウンド数はリーグ29位、ペイント内での失点の多さはトップ10というスタッツからもわかるように、リムプロテクターが欠けている。

そうは言っても、ヘイワードの離脱により、今いる選手で回さなければいけない。

セルティックスにとっては、ロバート・ウィリアムズとグラント・ウィリアムズがベンチから一定の出場時間を得られるかが重要になる。グラント・ウィリアムズは、1試合平均16.6分の出場でスタッツに反映されないプレイで貢献し、ロバート・ウィリアムズはスパーズ戦で11得点、7リバウンド、6ブロックの活躍を見せたばかりだ。2人の出場時間は、ヘイワードの離脱中に増える可能性が高い。

原文:What does Gordon Hayward's injury mean for the Boston Celtics? by Kyle Irving/NBA Canada(抄訳)