ケンバ・ウォーカー退団でホーネッツが望む道は?

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シャーロット・ホーネッツのジェームズ・ボレーゴ・ヘッドコーチは、9月30日(日本時間10月1日)のメディアデーで、様々なテーマに関してプラス思考だった。新たなシーズンに向かう前は、普通そういうものだろう。結局、開幕前はすべてのチームが“首位タイ”なのだ。

だが、ホーネッツにはひとつの雲がかかっている。オールスター選出3回、球団の歴代最多スコアラーであるケンバ・ウォーカーが去り、アイデンティティーが失われているのだ。

ボレーゴHCは「前進しなければならない」と話している。

「(ウォーカーを)称賛するし、彼のことは大好きだ。だが、球団を前進させるのが我々の、今の私の仕事なんだよ。我々は昨年から学んだ。だが、ことしはことしのチームだ」。

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その前進は、言うよりも実現させるほうが難しい。ボストン・セルティックスに向かったウォーカーは、昨季も1試合平均25.6得点、5.9アシスト、4.4リバウンドという数字を残している。ウォーカーはホーネッツの明らかな「顔」だった選手だ。

そのウォーカーだけでなく、ホーネッツはチームで2番目に得点をマークしていたジェレミー・ラム(1試合平均15.3得点)も、フリーエージェントでインディアナ・ペイサーズに去っている。

ボレーゴHCは「ケンバほどの選手がロッカールームから去ったのなら、コート内外で次にどんな選手が出てくるかをみようじゃないか」と述べた。

「そういう選手たちは今、自分たちの前にあるチャンスにどん欲になっていなければいけない」。

オフシーズンに獲得したテリー・ロジアーはもちろん、ウォーカーの位置に入る選択肢となる。だが、レギュラーシーズンの大半でリードガードだったことがない選手だ。2015年から19年まで、セルティックスでの先発出場は30試合にとどまる。

ただ奇妙なことに、ロジアーが最も長くスタメンの座にいたのは、負傷したカイリー・アービングの代役を務めた2018年プレイオフ。19試合で1試合平均16.5得点、5.7アシスト、5.3リバウンドを記録した。

ウォーカーの穴埋めは不可能と知るロジアーは、「僕は彼じゃないし、彼のようになろうとはしない。だからうんざりさ」と、前任者との比較をはねのけている。

「彼はケンバ・ウォーカーだ。この球団のために多くのことをしてきた。最多スコアラーだよ。その代わりなんて、難しいさ。僕は違うやり方でこの球団をプッシュしていくつもりだ」。

オフシーズンに3年5800万ドル(約61億9000万円)の契約を結んだロジアーは、少なくとも自分がホーネッツの未来において大きな役割を担うと知っている。

ボレーゴHCが率いるチームは、ポテンシャルのある若手(ドウェイン・ベーコン、マイルズ・ブリッジズ、マリーク・モンク、ドラフト1巡目指名のPJ・ワシントン)と、再建シナリオには合わないベテラン(ニコラ・バトゥーム、マイケル・キッド・ギルクリスト、マービン・ウィリアムズ、コディ・ゼラー)がごちゃごちゃになっている状態だ。

スタメンの5人をどうするか、ボレーゴHCは考えていないと明かした。トレーニングキャンプで誰をプレイさせるか決められるようにと期待している。

若手の中で自分たちがどう使われていくのか、同様の質問に対し、ウィリアムズとキッド・ギルクリストの答えは違っていた。それこそ、球団が流動的であることを示しているのかもしれない。

ウィリアムズは「(ボレーゴHCは)ベテランと素晴らしい仕事をしたと思う。すべてが今どういうところにあり、僕らはどういう状態なのかを分からせようとしてくれた」と話している。

「選手とコーチで最も大きなことは、コミュニケーションということもある。座って話し合い、状況を分からせようとすれば、それは大いに役立つ」

「若手だろうがベテランだろうが、それぞれの役割がどうなるか、何が求められるのかを全員に知らせたボレーゴHCは素晴らしい仕事をしたと思う」。

一方、ホーネッツのプランに自分がどうフィットするか問われると、キッド・ギルクリストは「分からない」と返答。チームにおける自分の立場に関して、どれくらいコミュニケーションを取ってきたのかとの質問には答えなかった。

それだけ多くの不安定要素があるだけに、ホーネッツがイースタン・カンファレンスのプレイオフ出場を競うと予想するのは、合理的ではないだろう。ボレーゴHCは、彼が4つの柱と呼ぶことを達成できるかが成功の分かれ目と述べた。競争、選手育成、アイデンティティー、勝利の習慣だ。

ただそれも、言うよりも行なうほうが難しい。最も重要になり得るのが、3つ目の柱だ。ウォーカーがおらず、未来の希望につながるザイオン・ウィリアムソンやルカ・ドンチッチもいない。2020年2月6日(同7日)のトレード期限までか、契約が満了してからになるかは分からないが、ベテランたちも移籍していくだろう。

今後10年、ホーネッツはどうなっていくのだろうか。

ゼラーは「ケンバやジェレミー・ラム、フランク・カミンスキー…自分たちのチームじゃないみたいだ。このグループでシーズンに臨むから、しばらくは違う感じだろうね。でも、僕らは前進する」と話した。

その道がホーネッツをどこに連れていくかは、だれにも分からない。

原文: What do the Hornets want to be in a post-Kemba Walker world? by Sporting News.com(抄訳)​

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ