5月15日(日本時間16日)に行なわれたネイスミス・メモリアル・バスケットボール・ホール・オブ・フェイム(以下、殿堂)の2020年バスケットボール殿堂入り式典は、ほろ苦いものだった。
かつてライバルだったケビン・ガーネットとティム・ダンカンを含む8名とともに、コービー・ブライアントは殿堂入りを果たした。2020年1月のヘリコプター墜落事故で亡くなったロサンゼルス・レイカーズのレジェンドの殿堂入りは、プレゼンターを友人でありメンターであるマイケル・ジョーダンが務めている。そして、優勝5回のブライアントをたたえる力強いスピーチを行なったのは、バネッサ夫人だった。
素晴らしい快挙を祝福するのに、コービーが何を話したかを知ることは不可能だが、バネッサ夫人は夫がいかにコート内外で大きな影響を及ぼしたかを見事に表現した。
その演説の一部をご紹介する。
-キャリアを通じてコービーを公に称賛しなかった
「有数の公の場で私が彼の偉業を公に称賛するのだから、今、彼は天国で笑っているはずです。腕を組みながら、大きな笑顔で『すごくないか?』と言う彼の姿が目に浮かびます。彼は今なお勝者です」
-もしこの場にコービーがいたら何を話したか
「彼は必ず、自分をそこに導く助けとなった全ての人たちに感謝したはずです。彼のことを疑い、彼に反対して、彼が目標を達成することはできないと言っていた人たちも含めて、です。彼は自分をここに導くモチベーションとなった人たちの全員に感謝しているでしょう。結局のところ、彼はそう言う人たちが間違えていたことを証明したのです」
-2013年のアキレス腱断裂や負傷との闘い
「あの試合でコートを離れる時の彼の姿を、私は決して忘れません。ひどいのだと分かっていました。観客は声援を送っていました。私は、ほかのケガと同じでお父さんはOKよ、とナタリアとジアンナを安心させていました。でも、トンネルに向かう彼からは、ウィンクもキスもなかったのです。心配している顔でした。あのケガは大変でした。でも、そのケガからのカムバックはもっと大変だったのです。痛いのに試合を休まない理由を聞いた時のことを覚えています。彼は言いました。『僕のプレイを一度だけでも見ようとお金を貯めているファンたちをどうするんだ?』と。彼は、絶対にファンのことを忘れませんでした。できるなら、全試合でフル出場したいという人なんです。彼は皆さんをとても愛していました」
-コービーへの感謝
「彼は仕事を成し遂げました。あれだけの記録を更新しました。そして、偉大であろうと人々を鼓舞しました。素晴らしいアスリート、先見の明がある起業家、ストーリーテラーであるだけでなく、素晴らしい家庭人でもあろうと、何とか時間を見つけようとしてくれた彼に、私は感謝したいです。あなたは、やり遂げたのよ。今、あなたは殿堂入りしたの。あなたは真のチャンピオン。ただのMVPじゃない。あなたは史上最高よ。私はあなたをとても誇らしく思う。永遠にあなたを愛しています。コービー・ビーン・ブライアント」
バネッサ夫人のスピーチ全容はこちらの動画で見ることができます。
原文: Watch Vanessa Bryant's full Hall of Fame speech honoring Kobe Bryant: 'I love you forever and always' by JORDAN GREER/Sporting News.com(抄訳)