なぜウォリアーズはNBAトレード期限で動かなかったのか バイアウトの候補は?

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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2月8日(日本時間9日)のトレードデッドライン(トレード期限)を前に、ゴールデンステイト・ウォリアーズを巡っては様々な噂があった。だが、結果的にはどれも実現しなかった。

2024年のドラフト2巡目指名権と引き換えにコーリー・ジョゼフをインディアナ・ペイサーズにトレードし、ラグジュアリータックス(ぜいたく税)をいくらか下げたのを除き、トレードデッドラインの動きをウォリアーズは静観した。

なぜ、ウォリアーズは動かなかったのか。それは今後に向けてどういう意味を持つのだろうか。

 

なぜウォリアーズはトレードデッドラインで動かなかった?

ウォリアーズはチームをアップグレードさせる機会をうかがっていた。『The Athletic』のアンソニー・スレイター記者によると、ケリー・オリニクについて調査し、アレックス・カルーソについてシカゴ・ブルズとコンタクトを取っていたのだ。

オリニクは最終的にペイサーズへと移籍した。『NBC Sports Chicago』のKC・ジョンソン記者によると、カルーソの件はウォリアーズがジョナサン・クミンガを取引に含めることを拒んで実現しなかったという。

当日、マイク・ダンリービーGMは報道陣に、クミンガは実質的にアンタッチャブルな選手と見ていると明かした。それは正しいだろう。この1か月、クミンガはウォリアーズで2番目の選手だった。

また、The Athleticのサム・エイミック記者によると、ウォリアーズは今週を通じてアンドリュー・ウィギンズの放出に動いていたそうだ。だが、理にかなう取引はなかった。

直近になり、ウィギンズのプレイは良くなり始めた(さらに悪化するのが難しいほどだったが)。ドレイモンド・グリーンがラインナップに戻ってから、チームもかなり良くなっている。ここ6試合で5勝をあげており、敗れたのもバック・トゥ・バック(2日連続試合)の2日目、ロードでのアトランタ・ホークス戦でオーバータイムの末の黒星だった。

結局のところ、ウォリアーズはトレードに踏み切り、今季素晴らしかった若手の一部を犠牲にするより、現在の主軸で今季勝つチャンスが高まったと考えたのだ。

Jonathan Kuminga
(Getty Images)

ウォリアーズを良くするには?

ウォリアーズには、まだ世間を賑わせるための望みがある。24勝25敗という成績以上に優れたチームだ。

グリーンの出場停止期間中にチームを悩ませた守備の問題は、その大半が消え去った。グリーンが出場停止の間は守備でリーグ29位だったが、彼が復帰してからはトップ5の数字となっている。

チーム最高の選手は、圧倒的にステフィン・カリーで変わらない。トレードデッドラインの日のペイサーズ戦で3ポイントショットを11本も沈めて勝利に導いたように、まだスーパースターのレベルに達することができる。しかし、他のすべての駒を機能させているのは、コミュニケーターであるグリーンだ。

例えば、グリーン不在時にクミンガとウィギンズが一緒にコートに立つと、完全な惨事となっていた。単純に、彼らには一緒にうまく機能するフィーリングがないのだ。しかしグリーンが入ると、3人がプレイ向上の原動力となった。この3人が出場している時のウォリアーズは、100ポゼッションあたりで相手に25.6点差をつけている。

クリス・ポールがケガから復帰すれば、それも助けになるだろう。手の負傷でこの1か月不在だったが、もうすぐ戻ってくるはずだ。ポールはベンチスタートからチームを安定させていた。ロスターで最もミスが少ない選手でもあった。

大きなクエスチョンマークなのは、最近の試合で終盤にベンチに座るようになったクレイ・トンプソンだ。ウォリアーズがプレイオフで勝ち進んでいきたければ、彼を2年前のレベルに戻すことが必要となる。

 

ウォリアーズのバイアウトの選択肢

スペンサー・ディンウィディーを筆頭に、バイアウト市場にはとても興味深い選手たちが出回っている。カイル・ラウリーも可能性がある。

ウォリアーズにとって問題なのは、「セカンドエプロン」(※エプロンは例外条項などの制限を決定する基準額)を上回っているため、ミッドレベル例外条項を上回っていた選手と契約できないことだ。このため、前述の2選手も獲得できない。

それでも、ウォリアーズが契約可能なターゲットは残る。オットー・ポーターJr.は前回優勝時の重要なメンバーだった。サラリー調整でユタ・ジャズにトレードされており、バイアウトされるかもしれない。健康の問題があったが、チームのシステムにフィットすることは証明済みだ。

ほかにも役立つ可能性のあるシューターたちがいる。ダニーロ・ガリナーリはすでにバイアウトされた。シャーロット・ホーネッツにトレードされたセス・カリーもその可能性がある。

サラリー調整でブルックリン・ネッツにトレードされたサディアス・ヤングは、すでにウェイブ(保有権放棄)された。フィーリングの優れたパサー兼ディフェンダーで、ウォリアーズの攻撃に完璧にフィットするだろう。ロビン・ロペスも、ウォリアーズが強く必要としていたサイズとリバウンドの力をもたらせるかもしれない。

これらの選手はそれぞれゲームチェンジャーではない。ウォリアーズにはすでに驚くほど優れた選手たちがそろっている。しかし、ケガに備えた保険として役立つかもしれない。あるいは、適切なマッチアップにおいてスポット的に出場時間を得る可能性がある。

原文:What's next for Warriors after quiet trade deadline? How Golden State can improve, plus potential buyout candidates(抄訳)
翻訳:坂東実藍

Stephen Noh

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。