ウォリアーズのスティーブ・カーHCがテキサス州の銃乱射事件に激怒「もううんざりだ」

大西玲央 Reo Onishi

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5月24日(日本時間25日)、テキサス州ユバルディの小学校で、現時点で少なくとも児童19人と大人3人が殺害される銃乱射事件が発生した。これを受けて、ゴールデンステイト・ウォリアーズのスティーブ・カー・ヘッドコーチが、ダラス・マーベリックスとのNBAプレイオフ2022ウェスタン・カンファレンス・ファイナル第4戦(会場:アメリカン・エアラインズ・センター/テキサス州ダラス)の試合前の記者会見で、怒りを爆発させた。

以下、カーHCの発言(翻訳)。


今日はバスケットボールの話はしない。ここ6時間で特にチームで変わったことはない。これまで通り試合に取り組むつもりだ。バスケットボールの質問はどうだっていい。

今朝のシュート練習を終えてから、ここから400マイル(約644km)ほど離れた場所で児童14人が殺害された。教員もひとり。ここ10日間で、バッファロー市では年配の黒人が複数人スーパーマーケットで殺害され、南カリフォルニアの教会では複数のアジア人が殺害された。

そして今日は学校で児童が殺害された。

一体いつになったら、何かするんだ!?

絶望している家族にお悔やみの言葉を送り続けることに、もううんざりしている。言い訳を聞くことにもうんざりしている。黙祷にもうんざりだ。もう充分だ!

現在、銃購入時の素性調査を強化するH.R. 8という、数年前に下院が可決した法案に投票することを拒んでいる上院議員が50人いる。その理由は、自分たちの権力を守りたいからだ。

だからこそ、今問いかけたい。ミッチ・マコーネル(上院少数党院内総務)ら上院議員の方々、学校やスーパーで発生する銃乱射事件に対して何もしようとしないあなたたちに問いかけたい。

「児童、年配者、礼拝者の命よりも、自分たちの権力を優先するのですか?」

そういう風にしか見えない。毎週こういったことが起きている。

もううんざりだ。もうたくさんだ。

今夜、これから試合を行うわけだが、ここにいる全員、これを聞いた人全員にお願いしたい。自分たちの子供や孫、両親、兄弟姉妹のことを考えてみてほしい。今日同じことが自分の身に降りかかったらどう思う?

こういった事件に対して、感覚を麻痺させてはいけない。事件について読んで「そうか、残念だね。黙祷しようか。よし、GO DUBS(ウォリアーズ頑張れ)!」では駄目なんだ。「マーベリックス頑張れ!」では駄目なんだ。

しかし、実際はそうなる。これからバスケットボールの試合を行う。

一方で、50人の上院議員によって我々は人質にされている。支持政党にかかわらず、アメリカ人の9割は素性調査を求めている。9割だ。それを、ワシントンDCにいる50人の上院議員が差し止めている。国民が求めていることを、投票しようともしない。自分たちの権力が大切だからだ。

情けない! もうたくさんだ!


カーHCは、1984年にレバノンのベイルートで起きた銃撃事件で同地のアメリカ大学学長を務めていた父マルコム・H・カーを亡くしており、これまでも何度も米国の銃社会の問題について発言を繰り返してきている。

カーHCのこの会見のあとに始まった第4戦の試合前には、今回の銃撃事件の被害者と遺族に対する黙祷が捧げられた。

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大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。