6月3日(日本時間4日)にオラクル・アリーナで行なわれたNBAファイナル第2戦開始から8秒、ステフィン・カリーがオフェンスを組み立てるなか、スティーブ・カーHCがオフェンスを活性化するために先発メンバーに投入したセンターのジャベール・マギーが高い位置でカールカットを仕掛けた。クリーブランド・キャバリアーズのセンター、ケビン・ラブはカリーにスウィッチし、JR・スミスは中途半端な形でマギーにスウィッチをした。スミスが背を向けていることに気づいたカリーは、マギーにパスを通し、スミスより数歩先でボールを受けたマギーは楽々とダンクを決めた。
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— NBA (@NBA) 2018年6月4日
約30秒後、右のウィングでケビン・デュラントがボールを持っていた。すでにラブとスミスがスウィッチしていたことから、スミスがまたもやマギーを守っている状態だった。デュラントのドライブに対してスミスがヘルプにくると、デュラントはがら空きのマギーにパスを通し、再びダンクを叩き込んだ。
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試合はまだ4-0だったが、この日はウォリアーズのオフェンスが良さそうであると感じられた。実際、試合が終わってみれば、ウォリアーズはフィールドゴール成功率57.3%で合計122得点を記録し、一度もリードされることはなかった。
カーHCは「今日はとてもいいプレイができた」と語っている。
「後半いくつか気になる点、ディフェンスが崩された箇所があり、そこは追ってビデオで確認する必要がある。しかし全体的にはとてもバランスが良く、気迫のある良いディフェンスと素晴らしいオフェンスを展開できた。だから今日のプレイにはとても満足している」。
これでも控えめな発言だ。第2戦でウォリアーズはカーHCが就任して以来、プレイオフで最高のシュート成功率を記録し、2013年4月以来の高い数値だったのだ。実に97試合ぶりのことである。さらに目立ったのが、キャブズがディフェンスでほとんど抵抗できなかったことだろう。
結果的に、ウォリアーズはアナリストが夢見るような数字を残したのだ。レイアップとダンクがシュート試投数の32.9%を占め、3ポイントショットが43.9%を占める形となった。
ウォリアーズのシュートの内訳は以下の通り。
シュート | 成功数 | 試投数 |
---|---|---|
ダンク | 10 | 10 |
レイアップ | 10 | 17 |
ペイント内 | 5 | 8 |
ミッドレンジ | 7 | 11 |
3Pショット | 15 | 36 |
近代NBAオフェンスでは推奨されていないミッドレンジからの2ポイントショットは、わずか11本しか打っていない。しかしそれでもそのうちの7本を決めているのだ。
ウォリアーズがプレイオフ中に打ったミッドレンジの本数としては最少だ。ファイナルまでは平均21.8本打っており、第1戦でも18本打っている。第2戦ではたったの11本だったことから、ウォリアーズが求めている3Pショットとゴール下でのシュートを容易に打っていたのがよくわかる。
シーズンを通して課題だと言われ続けているキャブズのディフェンスもその要因のひとつではあるが、ウォリアーズが試合開始からキャブズをアタックし続けていたのは明らかだ。ウォリアーズの平均ダンク数は、レギュラーシーズンとプレイオフを合わせて1試合平均5.5本だったのだが、この試合では10本を記録。そのうちの5本が第1クォーターで見られた。マギーだけでも5本のダンクを記録している。
Draymond alley
— Golden State Warriors (@warriors) 2018年6月4日
Jordan OOP!
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レイアップ17本という数字も、ウォリアーズの攻撃的な戦術のあらわれだろう。しかも、カリーがレイアップを6本中4本外していなければもっと数字は高かったはずだ(ちなみにカリーはこの試合で3Pショットを9本決め、ファイナル記録を更新)。『Basketball-Reference.com』によると、カリーはプレイオフ中のゴール下でのシュート成功率が76.1%であるだけに、今回のは例外的なケースだろう。
要するに、本当ならキャブズのディフェンスはもっとやられていたかもしれないということだ。ヒューストン・ロケッツとのカンファレンス・ファイナルでオフェンスで苦戦しているように見られていたウォリアーズだが、第2戦を見る限りでは、あの強力なオフェンスを取り戻したようだ。
とはいえ、プレイオフで見てきた通り、ウォリアーズを抑えることも不可能ではない。ここまでの結果を受けて、キャブズは対抗することができるだろうか?
原文:Warriors find perfect offensive balance — and Cavs may not have answer for it by Sporting News/Sean Deveney(抄訳)
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