セルティックスを落ち着かせたケンバ・ウォーカーのハーフタイムスピーチ

Steve Aschburner/NBA.com

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121-108でマイアミ・ヒートとのイースタン・カンファレンス決勝 第5戦に勝利したあと、ボストン・セルティックスのブラッド・スティーブンズ・ヘッドコーチは時計の針を1年前に戻した。

ちょうど1年前、セルティックスは2019-20シーズンに向けた練習を開始した。スティーブンズHCが求めるプレイや、基礎的な動きを繰り返し練習していた時期だ。

相手のショットに競る動き、リムへのアタック、さらに速いスピードで守備から攻撃に転じる動きを練習した2019年9月26日について言及したスティーブンズHCは、負ければシーズン終了という第5戦のような状況に限らず、セルティックスが勝つために重要なプレイをしていなければ、周りもそれに気がつくと示唆した。

「(守備は)我々にとってもとても大事なことだ。ボールを止めるだけではなく、飛び出し、相手のショットに何度もチャレンジする姿勢が大事。これらは基本に立ち返るプレイだ。第6戦でも良いプレイをする必要がある」と、彼は述べた。

9月27日(日本時間28日)に行なわれる第6戦に漕ぎ着けたセルティックスは、1勝3敗で迎えた第5戦の前半を終えた時点では51-58と劣勢だった。

ただ負けていただけではなく、処刑される寸前だった。前半は一度もリードを奪えず、序盤の時点でヒートに17-5にまで点差を広げられた。リバウンド、ファストブレイクからの得点、セカンドチャンスからの得点でもヒートを下回り、フリースローの得点でも相手を7点下回っていた。

いくつかエネルギッシュなプレイは見られたものの、効率が悪かった。それゆえに、その時点では敗戦濃厚と言わざるを得ない状況だった。

ハーフタイム中にスティーブンズHCが選手を叱咤激励すると、ポイントガードのケンバ・ウォーカーが口を開いた。このときの様子をジェイレン・ブラウンが試合後に明かしている。

「ケンバが『もう少し冷静にプレイしよう』と言ったのを覚えている。試合開始からインテンシティはあった。フラットな状態でプレイしていたとは思わない。第4戦とは違っていたし、インテンシティはあった。ただ意思疎通が上手くいっていなかったように思う。もっと声を出してコミュニケーションを取らないといけなかった」。

そしてセルティックスは、ここまでのポストシーズン、いや『バブル』で最高のプレイを後半に実行した。

ヒートが60-51でリードしていた第3Q、ブラウンがバム・アデバヨからスティールを奪い、ウォーカーからのパスをゴールに押し込んだ。そしてマーカス・スマートがゴラン・ドラギッチからもボールを奪う。このときは得点にこそ結びつかなかったが、セルティックスのディフェンスに積極性が戻った。

同クォーターの残り10分25秒から5分39秒までの4分46秒の間に、ヒートのエリック・スポールストラHCはタイムアウトを2度コール。その間ヒートは6本の3ポイントショットを含むフィールドゴール9本中1本しか成功させられなかった。

一方のセルティックスはセンターのダニエル・タイスを中心にペイント内に飛び込んだ。NBA3年目のタイス(28歳)が同クォーターでベンチに下がっていたのはわずか39秒のみで、6得点、2オフェンシブリバウンド、2ブロックを決めた。

タイスはヒートとのシリーズ第4戦まで平均6.5得点、0.5ブロックで、出場時間中の得失点差を表すプラスマイナスはマイナス9だった。だが第5戦では、ウォーカーのプラス21に次ぐプラス16という数字を残した。

第4戦のハーフタイム以降元気がなかったジェイソン・テイタムも力を取り戻し、第5戦の前半を終えて10得点だったスタッツは第3Q終了までに27得点に増えていた。ウォーカーは3回目、4回目のパーソナルファウルを記録しながらも攻撃的な姿勢を維持し、セルティックスは同クォーターのリバウンドで16-5とヒートを上回り、早い時間のボーナスでフリースローからの得点差も縮めた。

前述した4分46秒間だけで10本中7本のショットを決め、フリースローも4本を成功させた。そして60-60の同点に追いつき、ヒートがタイムアウトを取った24秒後にリードを奪った。その後ウォーカーからのパスを右ウィングで受けたテイタムが3Pを決めてリードを8(71-63)に広げたセルティックスは20-3のランで形勢をひっくり返し、それ以降一度もビハインドを背負うことなく勝利を収めている。

試合後ヒートは、負ければ敗退という危機感をコート上での生産性に変えたセルティックスを称えた。

ジミー・バトラーは「相手が攻撃を開始したのに、こちらはガードするのを止めてしまった」と、敗因を述べた。

「一度たりともチームの流れにならなかった」。

「勝つために必要なプレイを誰もしていなかった。誰もね」。

セルティックスはハーフタイムの間に基本に立ち返り、逆転勝利を収めた。プレイオフ開幕からここまでの15試合で彼らが抱えていた最大の問題は、第3Qに相手より平均1.6点下回ることだった。だが第5戦では、同クォーターを41-25で圧倒して流れを変えることに成功した。

ブラウンは「自分たちが知るチームの形だったし、大好きなチームの形だった」と話す。

第6戦を戦う権利を勝ち取った彼らが同じようなプレイをするチャンスを生かせれば、その次が見えてくるだろう。

原文:Walker's halftime speech settles Celtics, who respond with series-saving run by Steve Aschburner/NBA.com(抄訳)


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