驚きではないウェンバンヤマのトリプルダブル NBA有数のパスを出すセンターに

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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ビクター・ウェンバンヤマがエリート級のディフェンダーになることは、すでに分かっていた。片足での3ポイントショットやロブダンクも決めてきた。

そして今度は、シーズンの折り返しすら迎える前に、リーグ有数のパスを出すビッグマンへと成長している。

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12月9日(日本時間10日)にセンターのポジションを任されるようになってから、ウェンバンヤマのアシストは増えている。1試合平均2.5アシストから3.9アシストになった。さらに見事なのは、足首のケガによる出場時間の制限で、プレイタイムが平均約3分間短い中でアシストを増やしていることだ。

7フッターの選手にとって、平均3.9アシストは大きな数字だ。7フッターの36人で、ウェンバンヤマを上回るのはジョエル・エンビードしかいない。しかも、これらのアシストは数字上だけのことではないのだ。いくつかのパスで見せたウェンバンヤマのビジョンは素晴らしい。

NBA入りする前のウェンバンヤマのプレイでパスが大きな役割を占めていなかったことを考えれば、なおさら見事だ。アメリカに来る前は平均1.4アシストだった。ルーキーシーズンの半分も経たないうちに、アシストを含むトリプルダブルを達成したのである。しかも、歴史的なかたちで。

ここでは、センター転向がいかにウェンバンヤマのパス能力を開花させたかをまとめる。

ビクター・ウェンバンヤマはカッターを狙うのが見事

ウェンバンヤマをセンターで起用する最大の利点のひとつは、かなり明白だ。ほかのセンターたちがもっと彼をマークするようになる。そして、ウェンバンヤマがペリメーター付近のアウトサイドでも快適にプレイできることを考えれば、相手チームのブロックの脅威をリムから遠ざけられるのだ。

サンアントニオ・スパーズはウェンバンヤマがエルボーでボールを持てるようにする。そしてそこからウェンバンヤマがとてもうまくカッターを狙うのだ。ユタ・ジャズのウォーカー・ケスラーのように最高級のリムプロテクターがヘルプできないようになり、チームメイトたちがより楽にレイアップを決められるようになる。

スパーズのグレッグ・ポポビッチ・ヘッドコーチは、以前からビッグマンがエルボーでパスの中心となることを好んでいる。ウェンバンヤマがこのかたちで成功するようにお膳立てしたポポビッチHCの功績は大きい。

ビクター・ウェンバンヤマの高さは他選手にできないパスも可能に

ウェンバンヤマにはリーグの他選手にはない特徴がある。8フィート(約244センチ)のウィングスパンで、相手ディフェンダーの体を完全にかわすかたちでボールを通せるのだ。これにより、ウェンバンヤマは狭いスペース、特にポストアップからのパスが非常にうまくなった。

また、ウェンバンヤマはその高さから、簡単にフロアを見渡すことができる。ほかの選手たちは気づけないような、守備の上を通すパスを出せるのだ。

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ビクター・ウェンバンヤマはポイントセンターとして傑出

ポポビッチHCがトレイ・ジョーンズを先発で起用しないため、ウェンバンヤマはスパーズのスターティングラインナップで最高のポイントガードかもしれない。その役割をこなすことは多くないが、リバウンドからボールを運ぶ。

トランジションのパサーとして、ウェンバンヤマはダイナマイトだ。

このサイズで独特なガードのスキルを持つウェンバンヤマは、相手の守備をひどく困難な状況に追いやる。彼がボールを運べば、相手の守備を引きつけ、チームメイトがリムに向かってカットする機会を量産する。さらに、ウェンバンヤマがセンターとして自分より遅いディフェンダーに走り勝つことも考えれば、スパーズのトランジションの割合がリーグで4番目に高い理由も容易に理解できるだろう。

シンプルに、ウェンバンヤマのようなセンターはリーグにほかに存在しない。それが彼をカバーするのが不可能な選手としているの。ウェンバンヤマのコートビジョンは想定されていた以上に優れているのだ。

原文:Don't be surprised by Victor Wembanyama's triple-double: Spurs rookie is becoming one of NBA's best passing centers(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。