エンビード不在で8強進出を決めたアメリカの第2戦注目ポイント|パリ五輪2024

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坂東実藍 Miran Bando

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パリオリンピック2024男子バスケットボールのグループフェーズ第2戦で、アメリカ代表は異なるメンバーでコーチに臨んだ。

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7月31日(日本時間8月1日)にフランスのリールで行われた南スーダン戦で、フィラデルフィア・76ersのジョエル・エンビードがセンターのスターターから外れたのだ。代わってボストン・セルティックスのジェイソン・テイタムがスターティングラインナップに名を連ねた。

アメリカは103-86で勝利し、プエルトリコとのグループフェーズ第3戦を残して決勝トーナメント進出を決めた。だが、それだけではない。チームが進化を続け、できる限りの最高を目指せると信じられるだけの理由も示したのだ。

ここでは、南スーダン戦を踏まえた3つの注目ポイントをまとめる。

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スティーブ・カー・ヘッドコーチのジョエル・エンビードへのメッセージ

エンビードが世界有数の選手ではないと言うのはバカげている。NBAでオールスター選出7回、オールNBA選出5回、2022-2023シーズンのMVPを受賞した選手だ。昨季はシーズンの半分の出場だったが、平均34.7得点、11リバウンドを記録した。

しかし、オリンピックのアメリカ代表においては、最も活躍できていない選手だ。

パリオリンピック2024でエンビードは1試合にしか出場していない。だが、大会前の強化試合は5試合いずれも先発出場している。そして各試合で、エンビードがボールスクリーンの守備に苦しみ、攻撃であまり貢献できていないのは容易に見て取れた。

そしてついに、スティーブ・カー・ヘッドコーチはエンビードをスターティングラインナップから外し、アンソニ-・デイビスを起用したのだ。

これは、必ずしもエンビードがローテーションから外れることを意味したわけではない。しかし、ここ2試合で出場機会がなかったタイリース・ハリバートンがようやくコートに戻った一方で、エンビードはベンチでポケットに手を突っ込んだままだった。ハリバートンは、南スーダン戦でコートに立ったアメリカの11人目だった。

デイビスが足首の懸念で短時間離脱したにもかかわらず、エンビードにまったく出場機会がなかったことは、彼のプレイが不十分だったというだけでなく、もっと取り組むべきことがあると示唆している。

エンビード不在の中で、アメリカはボールを動かした。29アシストから37回の得点につなげている。6選手が二桁得点をマークした。ステフィン・カリーが珍しく9本中1本成功だったものの、チームのフィールドゴール成功率は53%に達した。

最も強力なアメリカのラインナップが見つかったのか

第3クォーターで南スーダンに3点を上回られたアメリカのカーHCは、レブロン・ジェームズ、ステフィン・カリー、デイビス、デビン・ブッカー、ケビン・デュラントの5人で第4Qに臨んだ。

彼らの名前を順番に読むだけでも、息をのむのではないだろうか。

デュラントがふくらはぎのケガで大会前の強化試合5試合を欠場したこともあり、このメンバーが一緒にプレイするところを見ることはできていなかった。だが、このラインナップが金メダルを目指す上で重要となるかもしれない。

完ぺきなグループではない。デイビスは素晴らしいディフェンダーだ。しかし、そのカテゴリーに含められるのは彼しかいない。しかし、部分的な起用でしかないにしても、この5人が組めば、ほぼすべての守備を崩すことができるだろう。

デュラントとカリーを同時に相手にしなければいけないことが守備にどう影響するかは、彼らがゴールデンステイト・ウォリアーズで一緒だったころに目にしてきたはずだ。さらに、ブッカーが相手の守備をさらに広げられる。ジェームズのオープンなチームメイトを見つけ、ギャップを突く力も加わる。

第4Q開始時点、アメリカは73-57でリードしていた。デュラントとカリーがコートを離れた時は、87-70だった。

つまり、クインテットとして支配したわけではない。だが、繰り返しておく。彼らが一緒だったのは限られていたのだ。

8月3日(同4日)に行われるプエルトリコとのグループフェーズ最終戦は、あまり意味のないものとなった。その試合でこのユニットをもっと見る機会があれば良いが…。

Devin Booker
(Getty Images)

デビン・ブッカーがスターターの座を手にしたのは守備が理由?

フェニックス・サンズに加入して以降、ブッカーはNBAでも有数の危険なシューターとしてスターダムにのし上がった。

7シーズン連続で平均24.9得点超をあげており、8シーズン連続で110本超の3ポイントショットを沈めてきた。

しかし、南スーダン戦でのブッカーに託された主な役割は、ルイビル大学の元スター選手で、ロンドンでの強化試合でアメリカが1点差で辛勝した強化試合でもトリプルダブルを達成していたポイントガードのカーリック・ジョーンズを守ることだった。

ジョーンズは18得点をあげたが、そのために19本のFG試投を必要とした。38分間のプレイでターンオーバーも4つあった。

ブッカーは最初からサイズで上回ることを生かし、ジョーンズを封じた。彼の奮闘が最も明らかだったのは、14点リードで迎えた残り7分3秒。スクリーンをかわし、ジョーンズのドライブを封じた場面だ。

その報いに、ブッカーはデュラントのスティールからの速攻でバウンスパスを受け、レイアップを決めて3点プレイを完成させた。この日のブッカーは22分間のプレイで10得点、6アシストを記録し、プラスマイナスは+9だった。

原文:USA Basketball three takeaways from South Sudan win: Joel Embiid benched; top lineup found; Devin Booker earns spot(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Mike DeCourcy has been the college basketball columnist at The Sporting News since 1995. Starting with newspapers in Pittsburgh, Memphis and Cincinnati, he has written about the game for 35 years and covered 32 Final Fours. He is a member of the United States Basketball Writers Hall of Fame and is a studio analyst at the Big Ten Network and NCAA Tournament Bracket analyst for Fox Sports. He also writes frequently for TSN about soccer and the NFL. Mike was born in Pittsburgh, raised there during the City of Champions decade and graduated from Point Park University.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。