それはインディアナ・ペイサーズとのファーストラウンド第3戦、第3クォーター残り3分48秒に見られたプレイだった。
負ければあとがなくなるペイサーズが、20点のビハインドから9点差にまで追い上げたときだった。
マイアミ・ヒートのショットクロックが残り3.4秒となり、ペイサーズのダグ・マクダーモットとマッチアップしたタイラー・ヒーローが左ウィングからショットを決めたのだ。
ボールを受け取ったヒーローは、トップ・オブ・ザ・キーに向かってドリブルし、ビハインド・ザ・バックでボールを左手に持ち替え、エルボー方向に向かってボールをつくと、ステップバックしてショットを決めた。
ヒーローは、このプレイについて「ショットクロックも少なくなっていたので、自分で決めるにしても、チームメイトに託すにしてもプレイを決めないといけないと思った」と振り返っている。
「落ち着いてやれているし、自信もある。ショットクロックが時間いっぱいになる直前だって、プレイオフでもレギュラーシーズンでも変わらぬメンタリティでプレイできる。チームメイトに求められている仕事をして、勝利に貢献するだけだ」。
ヒートは第3戦にも勝利し、シリーズを3勝0敗でリードしている。
第1、2戦でそれぞれ15得点を記録したヒーローは、第3戦の第4Qに9分58秒プレイし、プレイオフでの自己最多20得点を記録した。
今プレイオフで新人最多の平均16.7得点を記録しているタイラーの長所は得点だけではない。20歳の彼は、繋ぎ役としても成長している。
そんなヒーローを間近で見ているアンドレ・イグダーラは、並の新人ではないと話す。
「周りが思うよりタイトにボールを扱えている。自信もあるし、ハードワーカーでもある。偉大な選手になりたいという気持ちも強い。これは、教えられるものではないんだ。それだけ大きな目標を持つこと、目標のために日々努力することは教えられて身につくものではない。自分のプレイでミスをすれば、彼は努力して改善している。(第2戦でも)ゴーギ(ゴラン・ドラギッチ)に素晴らしいパスを出していた。練習していたプレイだよ。彼は偉大な選手になりたいと思っていて、努力もしている。そのポテンシャルもある。チームの全員が、彼の実力を理解している」。
ヒーローは、レギュラーシーズンの試合でクラッチタイム(残り5分を切り、5点差以内の状況)のフィールドゴール成功率50%を記録。これは新人選手の中で2位の数字で、チーム内でもバム・アデバヨに次いで2位だ。
ジミー・バトラーは、ヒーローのプレイに驚いていないと言う。
「それが彼という選手だし、彼の実力。驚いてはいないね。誇りに思っていると本人にも伝えたことがあって、彼もそのことをわかっている」。
「コートでやるべきことを理解している。チーム、球団にとって自分がどういう存在なのかをわかっている。これから何年も在籍する選手という自覚がある。とにかく努力する選手だし、指導を受けて、聞く耳も持っている。だから良いプレイができているのさ」。
原文:TYLER HERRO SHOWING WHY HE’S NOT YOUR TYPICAL ROOKIE by Joe Beguiristain by Heat.com(抄訳)