8月25日、さいたまスーパーアリーナにて男子バスケットボール国際試合(International Basketball Games 2019)の最終戦となる日本代表対チュニジア代表の一戦が行なわれ、チュニジア代表が78-76で勝利した。チュニジアはダラス・マーベリックスのサラ・メジリが36分41秒の出場でフィールドゴール12本中8本を決め、20得点、10リバウンド、5ブロックと活躍。メジリは試合後に「日本のようなチームとプレイしたのは初めてだ」と、日本のスタイルに言及した。
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「たくさん動き回り、全員が1on1を仕掛けることができる優れたチームだった。とても良い経験になった」。
メジリはメンフィス・グリズリーズの渡邊雄太と、ダラス・マーベリックスのサマーリーグチームに参加した馬場雄大(Bリーグ アルバルク東京)とは試合前から知り合いだったという。そのため、日本のキープレイヤーふたりに対してどう動けば良いのかあらかじめ対策できたことがプラスに働いた、と試合を分析した。
試合終盤、日本が74-76と2点を追うなかで、渡邊がフリースローを2本決めれば同点という場面があった。結果的に渡邊はしっかりと2本とも決めて同点になったのだが、その後にメジリと談笑している様子だったので、そのときのやり取りを試合後、メジリに確認した。
タイムアウト中に、抜かれたら得点されてしまうので、その場合はしっかりとファウルをしてフリースローを打たせるよう指示が出ていた、とメジリは説明する。
「心理作戦で彼に『外すぞ』ってプレッシャーをかけていたんだよ。でも結局決められて、逆に彼のほうが『僕がフリースロー決められるのは知ってるだろ? 外さないよ』って笑いながら言い返しにきたんだ」。
また、メジリは馬場とも試合中に親しげに話すシーンが何度か見られた。メジリは馬場について「あの身長でもダンクができる身体能力の高さがある」と表現している。
第3クォーター途中に、速攻から馬場がダンクを仕掛け、メジリが追いかけてブロックにいくというシーンが2度あった。1本目は馬場がダンクを決め、2本目はメジリがブロックするという『引き分け』になったわけだが、メジリは「彼ならダンクにいくだろうと予想していた」とそのときのことについて振り返った。
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— 日本バスケットボール協会(JBA) (@JAPANBASKETBALL) August 25, 2019
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「両手を上げてブロックをしにいったんだ。1本目は止めることができなかったが、2本目はブロックできた。だからあのあと試合が止まったときに、彼に対して『ごめんね』ってジョークで伝えたんだ」。
試合後の囲み取材中、馬場にもこのときのことを聞くと「メジリですか」と、それまで真剣だった表情から笑みがこぼれた。ブロックをされたときは後ろから追いかけられていることに気付いておらず、「(安藤)誓哉さん(Bリーグ アルバルク東京)からボールをもらった時点で完全に”どフリー”だと思っていました」と説明した。
「後ろから来て、(ボールに)触られたあとに体がぶつかったんで、ノーファウルですね。これが世界レベルかと一瞬思いました。相手がどこにいるのか把握すれば、自分もどうプレイしようか考えようがあるんで、そういった余裕が2本目のときはなく、そういう差だなと思いました」。
ブロックされたあとの馬場は床に座り込みながら笑みを浮かべており、明らかにそのレベルの高い攻防を楽しんでいる様子だった。
「彼はNBA選手で、こういうレベルでプレイしている選手がNBAなんだっていうのが頭をよぎりました。やられたなって思うのと同時に、次にやり返してやろうっていうワクワク感が表情に出たのだと思います」。
メジリは、渡邊と馬場がどちらも素晴らしい選手だと評価し、さらに馬場の今後の可能性についても言及した。
「僕も過去にサマーリーグでプレイしたことがあるので、彼と同じことを経験している。アメリカ人ではなく、向こうの大学や高校に通っていないとNBA入りするのはとてもハードルが高い。僕も2012年に挑戦したときはリーグ入りすることができなかったが、数年間レアル・マドリードなどユーロでのプレイを経験し、最終的に入ることができた」。
「彼(馬場)にはとても才能があるから、NBA入りできると思っているよ。彼より下手な選手はNBAにもたくさんいる。だから努力し続けていれば、彼とNBAで再会できる日が来るんじゃないかって楽しみにしているんだ」。
今回、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)が休養で欠場したものの、すでにNBA入りしている渡邊、そしてNBA入りを目指す馬場の活躍は目を惹くものがあった。渡邊と八村はアメリカの大学からNBA入りしているわけだが、メジリが話していたように日本でキャリアを積んでいる馬場がNBA入りという高い壁を乗り越えれば、それは日本のバスケットボールにとって大きな一歩となるだろう。