3月13日(日本時間14日)、NBAでは史上初めて、5選手がトリプルダブル(主要個人スタッツのうち3部門で二桁を記録すること)を記録した。ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)、ラッセル・ウェストブルック(ワシントン・ウィザーズ)、ドマンタス・サボニス(インディアナ・ペイサーズ)、ジェームズ・ハーデン(ブルックリン・ネッツ)、ジュリアス・ランドル(ニューヨーク・ニックス)の5選手だ。
4日後の17日(同18日)、ハーデン、サボニス、ウェストブルック、ドレイモンド・グリーン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、ベン・シモンズ(フィラデルフィア・76ers)、ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)の6選手がトリプルダブルを達成し、すぐに記録を更新した。
3日(同4日)には、TJ・マッコネル(ペイサーズ)がスティールを含むトリプルダブルを記録した。
今季のNBAでは、ウェストブルックが球団最多の17回のトリプルダブルを達成している。通算163回と、オスカー・ロバートソンの史上最多記録まで18回に迫っている。続いて、ヨキッチとハーデンが各12回、ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)が9回のトリプルダブルを記録している。
ウェストブルックが17度目のトリプルダブルを達成したのは、3月30日(同31日)のシャーロット・ホーネッツ戦だ。『AP』によると、これは今季リーグ全体の692試合目で100回目のトリプルダブルになったという。歴代最速での100トリプルダブル達成で、三桁突破は5シーズン連続だ。
NBA1シーズンのトリプルダブル最多記録は127回だが、今季は150回を上回るペースでトリプルダブルが生まれている。昨季と比較して、頻度は47%増加し、1シーズンを通じて18回だった9年前の2011-12シーズンと比べると、実に約700%増となっているのだ。
その9年前は、1シーズンに複数回のトリプルダブルを達成したのが、ラジョン・ロンド(6回)だけだった。それが、今季はすでに14選手が複数回トリプルダブルを記録している。
2009-10シーズンから2013-14シーズンまで、2試合連続でトリプルダブルを達成したのは、ロンドとアンドレ・イグダーラだけだった。だが、今季だけでもウェストブルック、ハーデン、ジミー・バトラー(マイアミ・ヒート)、アデトクンボの4選手が、3試合連続トリプルダブルを記録している。
APは、トリプルダブルが増えている理由は多岐にわたるとした上で、特に2点を挙げている。攻撃選手に有利な判定で得点とアシストが増えていることと、プレイのスピードが速まったことでリバウンドを拾う機会が増えたことのふたつだ。9年前と比べ、各チームのポゼッションとショット試投は、それぞれ平均でプラス8となっている。
ただ、ニューオーリンズ・ペリカンズのスタン・バンガンディ・ヘッドコーチは「私にとって(トリプルダブルは)気まぐれな数字でしかない」と話している。
「10得点、10リバウンド、10アシストを記録することは、35得点、9リバウンド、9アシストより優れているのか? 15得点と35得点は大きな違いだ。10リバウンドと18リバウンドや、10アシストと17アシストも大きな違いだろう。だから、トリプルダブルが素晴らしい試合をしたという指標と言えのるかどうか、私には分からない」。
最近では選手の中でも、例えばバトラーは昨季のNBAファイナルでトリプルダブルを達成した際に「トリプルダブルはあまり気にしていない」と述べた。
「僕たちは勝つためにこの試合を戦っているんだ」。
だが、ウェストブルックが35得点、14リバウンド、21アシストと、史上3度目となる35得点&21アシスト超でのトリプルダブルを達成した29日(同30日)のペイサーズ戦で、ウィザーズは132-124で勝利している。
そして、ウェストブルックは続くホーネッツ戦で球団初となる20得点&15リバウンド&14アシストのトリプルダブルを記録した。
they took away an assist
— Washington Wizards (@WashWizards) March 31, 2021
still the first 20p-15r-14a game in franchise history
ウィザーズのスコット・ブルックスHCは「このリーグに30年いるが、彼は私が見たことのないことをやれる選手」と賛辞を寄せている。
「彼は勝者だ」。