トレイ・ヤングの天才ぶりが発揮された決勝アシスト

Scott Rafferty

坂東実藍 Miran Bando

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アトランタ・ホークスのトレイ・ヤングは、2023-2024シーズンの出だしがスロースタートになった。だが、11月9日(日本時間10日)に行われたNBAメキシコシティゲーム2023のオーランド・マジック戦では、チームを勝利に導くプレイを披露している。

オールスター選出2回のヤングは、フィールドゴール27本中12本成功で今季自己最多の41得点をあげ、ホークスに白星をもたらした。後半より前半のほうが効果的だったが、終盤には勝利につながったデジャンテ・マレーの3ポイントショットをお膳立てしている。

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最後のヤングのアシストは、いくつかの理由から注目された。まず何よりも明白なのは、5勝3敗という成績に役立ったからだ。そして次に、とんでもないプレイだからこそ話題となったのである。そしてそのプレイにヤングの天才ぶりが発揮されていたからだ。

ヤングのアシストはじっくりと見ていくにふさわしい。

トレイ・ヤングの決勝アシスト

試合残り42.8秒、ホークスは117-119とマジックに2点のリードを許していた。

コートにいたマジックの5人は、ジェイレン・サグス、マーケル・フルツ、フランツ・バグナー、パオロ・バンケロ、ジョナサン・アイザック。伝統的なセンターがいなかった。一方、ホークスはクリント・カペラがフロアにいる。

最初にヤングはサグスからマークされていたが、ジェレイン・ジョンソンのスクリーンで、マークがバンケロにスイッチした。

バンケロにとってヤングは速すぎる選手であり、置き去りにしていく。

Trae Young vs. Magic No. 1
(NBA)

そして、ここでヤングの天才ぶりが発揮された。

シーズン序盤に同様のパスが話題になったヤングは、試合後に自分を守る相手は見ていないと明かした。その後ろがどうなっているかを見ているというのだ。

ヤングは「いつもヘルプの選手を見ている。マークしてきている相手の背後のディフェンダーだ」と話した。

「自分でドライブして、ヘルプの選手が来て、別のヘルプの選手がビッグマンにつこうとするのを見る。それが僕にとって次の人なんだ。見なくてもパスが出せるようでなければいけない。そこにいてくれるという、チームメイトに対する信頼だよ」

ここでもまったく同じ思考プロセスがうかがえる。

バンケロが出遅れた中で、アイザックがリムを守ろうとカペラから離れなければいけなくなったのだ(繰り返すが、ヤングはこの試合で41得点をあげている。後半はペースダウンしたとはいえ、おそらくマジックはヤングが得点しようとするのを望んでいなかっただろう)。

Trae Young vs. Magic No. 2
(NBA)

カペラのロブの脅威や、ヤングがそういったパスを出すことにかけてリーグ有数の選手であることから、カペラにダンクをさせまいとフルツが下がってくる。

Trae Young vs. Magic No. 3
(NBA)

しかし、ヤングはジャンプしてアイザックを跳ばせながら、カペラにロブパスを出すふりまでして、フルツをヘルプに向かわせたのだ。

この妙技を見てほしい。

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こうなると、ペリメーターで通算3P成功率29.3%のジョンソンについていたサグスがフルツのカバーに向かう番だ。だが、サグスは時間をかけることができると思われた。ヤングが選手たちの合間からマレーの存在を見つけられるはずがなく、ましてや正確なパスを出すことなど絶対にできないはずだったからだ。

しかし、それは間違いだった。

パスのリプレイを見れば、その素晴らしさを称賛できるだろう。

ちなみに、ヤングはこのパスを練習しているという。

「何度も練習しているから、どこにどれくらいの高さで出すべきか分かっている。胸の高さだったのはラッキーだと言う人もいるだろうけど、本当に僕はこういうことに取り組んでいるんだ。チームメイトがそういうポジションにいてくれるという信頼も大きい」

「だからこそ、僕たちはどんどん良くなり、本当に良い攻撃ができるんだ」

今季のヤングはすでに何度かそういったところを見せている。今後もさらに見せてくれるはずだ。

原文:Trae Young's viral wraparound passes are the best example of the Hawks guard's basketball genius(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Scott Rafferty

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Scott Rafferty is an experienced NBA journalist who first started writing for The Sporting News in 2017. There are few things he appreciates more than a Nikola Jokic no-look pass, Klay Thompson heat check or Giannis Antetokounmpo eurostep. He's a member of the NBA Global team.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。