昨シーズン見られたデリック・ローズの復活は、決して彼が自身のプレイを作り変えたから起きたものではない。プレイに大きく影響してしまった複数の脚のケガからしばらく時間が経ち、8年前に見せていた爆発力とスピードの多くを取り戻したからだ。
📺 NBAを観るならRakuten NBA Special (Rakuten TV/楽天TV)
デトロイト・ピストンズはMVPレベルのデリック・ローズを獲得したのではないことは理解している。しかし、ミネソタ・ティンバーウルブズで昨シーズン平均27分の出場で18.0得点を記録したローズには期待をしている。昨シーズンの出場試合数である51試合よりは出場してもらいたいと考えているだろうが、オールスター休暇後にウルブズがタンクモードになっていなければ、ローズは実際もっと出場していただろう。
万が一ローズが欠場、もしくはレギュラーシーズン中に13回ある連戦を考慮して戦略的に休ませるケースがあった場合、ピストンズはすでにそれを補える控えポイントガードと契約している。ここ3シーズンで65試合に先発出場しているティム・フレイジャーだ。十分にプレイできる選手ではあるが、レジー・ジャクソンとローズに続く3人目のポイントガードとなる。
特に昨シーズンのローズの数字で上昇したのが3ポイント成功率。37%を記録し、ローズにとってはキャリアで初めてNBA平均値を超えることとなった。しかし、その事実が彼をロングシュート中心のスタイルに変えることはなかった。36分平均で3.8本の3P試投数は、2014-15シーズンに記録したキャリア最多の6.4本には遠く及ばない。昨シーズンのローズのシュートのうち、3Pショットは19.4%を占めるのだが、これを超えたのは4シーズンもある。
ローズは以前ほどドライブをしなくなったかもしれないが、実際にするときは容赦無く攻め込む。36分平均でのフリースロー試投4.1本は、ピストンズのローテーション内だとブレイク・グリフィンとアンドレ・ドラモンドに次いで3位にランクインする。
ドウェイン・ケイシーHC(ヘッドコーチ)はトレーニングキャンプが始まる前に、選手がチームに与える3つの価値を与える習慣がある。ここでは、ローズの2019-20シーズンに向けた3つの課題を設定してみよう。
スキルとシステムの融合
ピストンズは2シーズン前にリーグ26位(31.5本)だった3P試投数が、昨シーズンはリーグ7位(39.4本)まで上昇。しかしローズの3Pショットの割合は20%を切る。無理に3P試投数を増やそうとスタイル変える必要はなく、ケイシーHCのシステムをしっかり遂行すれば、自然と上昇するはずだ。システムに慣れれば、ローズは自身のドライブから周りのオープン3Pシューターを見つける癖もつくはずだ。これはローズにとって難しいことではないだろう。ローズはずば抜けた身体能力ばかりが注目され、バスケットボールIQが軽視されがちだったが、彼が成功した大きな理由のひとつがそのIQの高さだ。しかし、最初のうちはこれまでと違うことをやる必要があることから、システムを身体に染み込ませる必要があるだろう。
セカンドユニットのリーダーになる
昨シーズン、ピストンズが最も良かったのは、ベンチ陣が出場している時間帯で負けなかったときだ。イシュ・スミスはその大きな要因で、彼が欠場した26試合でピストンズが8勝18敗だったのは、彼がどれだけケイシーHCのベンチにとって重要だったのかを物語っている。健康なローズであれば、生産性や仲間意識の観点からもスミスのアップグレードになれると考えていいだろう。ローズの得点力があるおかげで、ケイシーHCは先発ラインナップの組み方がより自由になる。
例えば、チームのケミストリー的にルーク・ケナードを先発させたほうが良い場合、その選択肢を取れる。もしくは、ローズがピック&ロールでダブルチームされるほど注意を引くことによって、ケナードをよりダイナミックなスコアラーにすることだってできるのだ。ローズの1対1で得点できる能力をどう最大限に利用できるかを、ケイシーHCは間違いなく考えていることだろう。最終的にそれは試合終盤にグリフィンと合わせて起用(ジャクソンとドラモンドも)することを意味するのだと思うが、まずやるべきことは、ベンチユニットのレベルを向上させることだ。
スターを引き立てる
ローズは長いあいだアルフドッグとしてプレイしてきた過去がある。しかし脚のケガの連鎖が6年前に始まってから、それ以外の役割を受け入れなければならない現実を熟考する時間は十分にあった。クリーブランド・キャバリアーズではレブロン・ジェームズと、ウルブズではカール・アンソニー・タウンズとプレイしたことで、オールスターの横でプレイする経験はすでに積んでいる。ディフェンスの強度が増し、得点することが難しくなる試合終盤に、ローズのディフェンスを崩すことができるスキルは特に重要になってくる。
ピストンズではそのほとんどのポゼッションがグリフィンを通して組み立てられる。いつグリフィンと合わせてプレイすべきか、ジャクソンとどのようにプレイすべきか、いつ自らクリエイトすれば良いか、そしてゴール周りでのドラモンドの得点チャンスを増やすタイミングの正しいバランスをローズが見い出すことができれば、ピストンズは試合終盤に相当強くなるはずだ。長期的にフレッシュな状態でローズをプレイさせるために、要所での起用になるとは思われるが、もし全員をうまく起用することができれば、ピストンズのオフェンスは相手にとってより予想しにくいものになるはずだ。
原文:3 goals: Derrick Rose – transition, lead the bench, find your niche by Jordan Johnson/Pistons.com
- NBAを観るならRakuten TV! NBAサマーリーグも配信
- NBA公式視聴・配信サービス『Rakuten NBA Special』とは?
- 【特集】NBAジャパンゲームズ2019: トロント・ラプターズ vs ヒューストン・ロケッツ
- 『2019 NBAアウォーズ』受賞者一覧
- 【特集】NBAドラフト2019
- 【特集】NBAオールスター2019 in シャーロット
- Rakuten TVがNBAマニア必見の新番組『俺達のNBA!!』を毎月2回配信へ
- Rakuten TVのNBA情報番組『週刊NBA』
- 1か月間無料で見放題 スポーツ観るならDAZN