今季の成長が注目されるリーグ3年目の選手たち

大西玲央 Reo Onishi

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リーグ3年目といえば、すぐに思いつくのはザイオン・ウィリアムソン(ニューオーリンズ・ペリカンズ)やジャ・モラント(メンフィス・グリズリーズ)、そして日本が誇る八村塁(ワシントン・ウィザーズ)だが、前者2人はもう十分にスター選手であり、八村に関して注目するのは当たり前のことだろう。

今回はこの3人以外で、今季の活躍が期待される、または大きな成長を見せてくれるのではないかと注目したいリーグ3年目の選手をピックアップしようと思う。


マイケル・ポーターJr.(デンバー・ナゲッツ)

ドラフト指名された年から数えると厳密には4年目だが、1年目(2018-19シーズン)はケガでプレイしておらず、2年目がルーキーイヤー扱いなので、実質的に3年目と言って良いだろう。

先日ナゲッツとのマックス延長契約が発表されたばかりであることからもわかる通り、チームもポーターJr.の今後の成長には大きな期待を寄せている。昨季は61試合に出場し、平均19.0得点、7.3リバウンドを記録しているのだが、注目は彼のシュート成功率だ。

フィールドゴール成功率が54.2%、3ポイントが成功率が44.5%で、エフェクティブ・フィールドゴール成功率(eFG%=3ポイントショット成功数を1.5倍にして計算する、3Pの効率を考慮したFG成功率)は64.6%を記録。StatMuseによると、平均19得点以上した選手として、このeFG%はウィルト・チェンバレンが記録した68.3%に次いで史上2番目に高い数字だった。

ジャマール・マレーがプレイしていない試合では、ここからさらに試投数と得点数を増やしながらも、成功率を維持していた。今季はマレーがリハビリでレギュラーシーズンの大部分を欠場することが予想されるため、必然的にポーターの使用率も上がるだろう。昨季の高効率を維持することができれば、間違いなくスター級の結果を残すことになるだろう。

ダリアス・ガーランド(クリーブランド・キャバリアーズ)

昨季のガーランドはルーキーイヤーから大きく数字を伸ばし、54試合で平均17.4得点(FG成功率45.1%、3P成功率39.5%、FT成功率84.8%)、6.1アシストを記録。オールスター休暇後に数字を格段に上げ、4月には15試合で平均20.5得点、7.3アシストというポイントガードとして立派な成績を残した。

コンビとして紹介されることの多いコリン・セクストンが、ブルックリン・ネッツ相手に42得点を記録するなど派手な要素が多いことから、見過ごされがちなガーランドではあるが、『Cleveland.com』の報道によれば、チーム内にはセクストンと比較してガーランドのほうがより良い選手であると見ている関係者がすでに数人いるようだ。実際に、ガーランドが特に活躍した4月のチームスタッツを見てみると、彼がコートにいるときのほうがチームの得点効率は大きく上昇していた。

どちらも185cmのアンダーサイズなスコアリングガードであるため、このままふたりのコンビで突き進むべきなのか、今後キャバリアーズが見極めなければならない時期がやってくる。

そうなったとき、アメリカ代表の選抜チームに選ばれるなど、評価を高めているガーランドがチームのスターになる可能性は十分にある。そうなれば自ずと数字も伸びていくだろう。例え今季もセクストンとのコンビ継続となったとしても、ルーキー延長契約を勝ち取るためにも、ガーランドのモチベーションは高いはずだ。

RJ・バレット(ニューヨーク・ニックス)

イースタン・カンファレンス4位という大躍進を遂げたニックスを押し上げたキーマンのひとりがバレットだ。昨季は72試合全てに先発出場し、平均34.9分出場(ルーキーイヤーは30.4)、17.6得点(同14.3)、5.8リバウンド(同5.0)、3.0アシスト(同2.6)、3P成功率40.1%(同32.0%)、FT成功率74.6%(同61.4%)と、ルーキーイヤーからあらゆる面で数字を伸ばしている。

ルーキーイヤーは全く3Pショットが入らない時期が続くなど、正確性に欠けるところがあったが、昨季は自信を持ってプレイしているのが目に見えてわかるレベルだった。さらにトム・シボドー・ヘッドコーチの下でディフェンス力も伸びている。

プレイオフでこそ苦戦していたものの、キャリアの早い段階で経験できたことは大きなプラスとなる。昨季のニックスの躍進は周囲を驚かせたが、今季はチームとして同等以上の結果を残さなければならないという状況でのプレイとなる。

バレットがさらなる成長を見せられるかどうかは、ニックスがイーストの強豪として定着できるかに大きく関わってくる。


ほかにもアトランタ・ホークスで安定した活躍を続けており、今後プレイタイムが伸びてきそうなキャム・ジョンソン、オールディフェンシブ2ndチームに選出され、東京オリンピックではオーストラリアの銅メダル獲得に大きく貢献したフィラデルフィア・76ersのマティース・サイブル、若手の揃うチームで得点力が発揮されそうなヒューストン・ロケッツのケビン・ポーターJr.、ベテラン選手の移籍でプレイタイムが確実に伸びそうなニューオーリンズ・ペリカンズのニキール・アレクサンダー・ウォーカー、ドラフト外ながらも攻守で大きな成長を見せ続けているオクラホマシティ・サンダーのルーゲンツ・ドートなど、今季は期待できるリーグ3年目選手が多い。

八村とともに、どの選手がスター選手へのステップアップを見せられるか、今後のリーグの将来を担っていく世代の成長に注目だ。


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大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。