シーズン再開に臨む22人のNBAスターたち

Sekou Smith/NBA.com

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NBAシーズン再開が近づき、各チームがオーランド入りするなかで、多くのクエスチョンマークがある。

リスタートへの準備を整え、試合にふさわしい状態で臨めるのはどの選手なのか? この前例のない環境で、バスケットボール界のビッグスターたちはどのような反応を示すのか? そして、バスケットボール最大の「リアリティショー」を生き残るだけのエネルギーとスタミナを持つチームはどこなのか?

再開に参加する全22チームは、すぐにその答えを見つけなければならない。各チームは8試合の「シーディングゲーム」(順位決定戦)をこなしてレギュラーシーズンを終え、それからポストシーズンが始まる。

だが、その過程において確実なこともいくつかある。

認めるかどうかにかかわらず、オーランドに集まるスターたちには序列がある。スターの力ということになれば、すべてが平等ということはないのだ。NBAのベストプレイヤーたちが集まるなかでも、ほかのスターよりも輝くスターたちがいるのが現実だ。

再開シーズンで競う22人のベストプレイヤーたちを見てみよう。

22. ザイオン・ウィリアムソン(ニューオーリンズ・ペリカンズ)

今季の新人王はメンフィス・グリズリーズのジャ・モラントが勝ち取るだろう。そして彼はそれにふさわしい。再開シーズンでも最も才能のある、最も優れた選手のひとりであることは疑いない。

だが、中断前の19試合で、ウィリアムソンはすぐにでもフィジカル面でNBA有数の厳しい対戦相手になる途上にあることを証明した。パンデミック中の肉体的な変化がその前兆であれば、20歳になったばかりの彼は、そのまだ決して長くはない彼の人生においても有数の状態にある。ペリカンズには再開シーズンで全力を尽くすだけのモチベーションが揃っており、ウィリアムソンはその先頭に立つだろう。

注目の数字:ウィリアムソンはペイント内から36分間換算で平均20.9得点を記録している。ペイント内からの得点が記録されるようになってからの24シーズンで、500分間以上プレイした選手では最多の数字である。

21. カイル・ラウリー(トロント・ラプターズ)

ベテランがキャリアの終盤に優勝すると、満足してしまいがちだ。だが、ラウリーはそれに甘んじることがなかった。それどころか、ラウリーは年齢を重ねるにつれ、さらに良くなっている。フリーエージェントでカワイ・レナードがロサンゼルス・クリッパーズに移籍しても、ラプターズは動じなかった。それは主に、ラウリーがその穴を埋めようとしたからだ。今季の3ポイントショット成功率は35.4%。その言動で王者をけん引している。

注目の数字:ラウリーはチャージングを30回誘っており、これはリーグ首位タイの数字だ。

20. デビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)

ウェスタン・カンファレンスのプレイオフ進出争いで、サンズは最も可能性が低いと見られているチームだが、ブッカーがサンズで大事な試合にどういうパフォーマンスをするのかを見たいと望んでいる人たちは、その願いを叶えることができる。この環境で競い合い、良いパフォーマンスを披露する機会があるだけでも、ブッカーやディアンドレ・エイトンにとっては貴重な経験だ。サンズは若い彼らふたりを中心に、プレイオフを競えるチームを作ろうとしているからだ。ブッカーはすでに、真のエリートスコアラーであることを示してきた。次は、それ以外の点で彼がレベルアップできたかが分かる。

注目の数字:ブッカーはパス100本あたり平均20.3アシストを記録している。パス750本以上の285選手の中では最多の数字だ。

19. クリス・ミドルトン(ミルウォーキー・バックス)

再開シーズンに参加する選手の中で、ミドルトンほどプレッシャーにさらされる選手はいるだろうか? リーグ最高のチームにおけるNo.2で、時間的制限こそあるものの(決定的な時間はヤニス・アデトクンボが担う)、ミドルトンはキャリア最高のバスケットボールが求められる独特な立場にある。彼には必要とされるスキルがあるが、それほどの重圧下でも普段通りに仕事をこなせるだろうか? この時期にふさわしい肉体だろうか? それらの答えが、バックスのシーズンと将来を決めるかもしれない。

注目の数字:ミドルトンはミドルレンジからのフィールドゴール成功率が52.3%。100本以上試投している79選手の中で2位の数字だ。

18. ルディ・ゴベア(ユタ・ジャズ)

NBAで最初の新型コロナウイルス感染者だったことは、リーグ最高のリムプロテクターであり、リーグ最高のポストディフェンダーとしての彼の普段の仕事とは無関係だ。ジャズの守備の屋台骨として、試合を変えることができるゴベアの力は、再開シーズンを左右する。彼が長い中断から通常通りに戻っているのなら、ジャズにはウェストの強豪たちと競っていくチャンスがあるだろう。そうでなければ、ボーヤン・ボグダノビッチが手首の手術で不在となり、すでに厳しい立場にあるジャズは、プレイオフ進出が不可能に近くなる。クイン・スナイダー・ヘッドコーチのシステムにおいて、2度の最優秀守備選手賞に輝いたゴベアは必要不可欠だ。

注目の数字:FG試投500本以上の137選手の中で、ゴベアはエフェクティブFG成功率(69.8%)、トゥルーシューティング成功率(70.0%)、フリースローレート(FG100本中72.5本試投)が最多の数字だ。

17. ベン・シモンズ(フィラデルフィア・76ers)

才能は疑いない。シモンズは彼のポジション、彼のサイズにしてはすさまじい肉体を持っている。だが、中断前に腰のケガでスローダウンしたことが、再開に向けてどれだけ健康なのか疑問を残す。ブレット・ブラウンHCは、シモンズを「ゆっくりと」戻していくと話した。おそらくそれは最も賢明だ。だが、シーディングゲームとプレイオフの間の時間が少ないことを考えれば、76ersには早くシモンズの力が必要だ。

注目の数字:シモンズは3Pのアシスト数がリーグ最多の221。彼がコートにいる間に、チームメイトたちが決めた3P452本のうち、49%がシモンズのアシストによるものだ。

16. パスカル・シアカム(トロント・ラプターズ)

今季のシアカムは初のオールスター選出で堅実に向上を続けてきた。昨季のラプターズの優勝における彼の仕事は、単なる一時的なものではなかった。それが、彼の「ニューノーマル」(新しい日常)だ。リーグ有数の多才なディフェンダーにもなり、攻撃でも有能なNo.1の選択肢である。チームがレナードの保護下にあった昨季は、誰もそう確信していなかった。だが、シアカムは本物だ。そして、ラプターズに再びイースタン・カンファレンスを制覇するチャンスがあるという大きな理由となっている。

注目の数字:『Second Spectrum』によると、シアカムはショットクロック最初の6秒でエフェクティブFG成功率が67.4%。6秒以降は47.4%。最初の6秒でFG試投が100本以上の71選手の中では、最も大きな下げ幅だ。

15. バム・アデバヨ(マイアミ・ヒート)

アデバヨが期待の若手からリーグ有数の若手ビッグマン、オールスター選手へと変貌を遂げたことは、ジミー・バトラーの加入1年目であるヒートがイーストでプレイオフ進出に割って入れた理由のひとつだ。アデバヨは、前センターのハッサン・ホワイトサイドが決してやらなかったこと、そしてそれ以上のことをやっている。最高の相手と対戦する彼を見れば、いかに彼が競争心を燃やし、ヒートを次のレベルへと引き上げる助けになっているかが分かるだろう。

注目の数字:過去2シーズンそれぞれで40試合以上出場した234選手の中で、アデバヨは平均出場時間の上げ幅(23.3分から34.4分)が5位。平均得点(8.9得点から16.2得点)の上げ幅が11位、平均リバウンド(7.3リバウンドから10.5リバウンド)の上げ幅が2位、平均アシスト(2.2アシストから5.1アシスト)の上げ幅が3位だ。

14. ラッセル・ウェストブルック(ヒューストン・ロケッツ)

リーグ最多得点コンビのひとりとして、ウェストブルックはよき友人であるジェームズ・ハーデンと一緒にプレイする役割をこなせるのか、疑いの目を向けていた者たちを黙らせた。彼は自分の強みの生かし方を知っており、ハーデンがアタックモードにあるときに効率的にプレイする方法を理解している。彼のエネルギーは再開シーズンにおいて重要だ。

注目の数字:ウェストブルックは1試合平均20.5回のドライブでリーグ首位を記録している。ペイント内からの得点は1試合平均15.2得点で2位。記録が残る24シーズンで、40試合以上出場した選手のうち、ペイント内得点で平均15得点超をマークしているのは5人だけだ。そして、6フィート3インチ(約191cm)のウェストブルックは、その5人で最も身長が低い。

13. ジミー・バトラー(マイアミ・ヒート)

シカゴ・ブルズ、ミネソタ・ティンバーウルブズ、フィラデルフィア・76ersにおけるバトラーの成功、そして波乱万丈の過去については、好きなことを言えばいい。だが、FAでヒートに加入したバトラーの選択が、昨夏の移籍で最も大きな影響を及ぼしたという有力な見方がある。バトラーはヒートを別のレベルに引き上げた。彼の加入は、アデバヨやケンドリック・ナン、ダンカン・ロビンソン、タイラー・ヒーローといった若手たちの躍進と完璧にフィットした。バトラーの攻守両面における懸命な仕事は、労働者たるヒートに完璧な鋭さを与えたのだ。

注目の数字:バトラーはFTレートがFG100本中67.9本。FG試投が300本以上の229選手の中で2位。昨季から40.4本上昇している。

12. ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)

オールスターブレイク後は、それまでの平均22.4得点から9試合で29.9得点。テイタムのこの好調は、セルティックスが求めていたゲームチェンジャーだった。テイタム、ジェイレン・ブラウン、ケンバ・ウォーカー、ゴードン・ヘイワードという4人の主力は、全員が健康で好調なら、リーグ有数の力を持つ。そのなかでもテイタムは一番の存在かもしれない。レブロン・ジェームズがインスタグラムでテイタムのことを「完全な問題」と称賛しただけのことはある。

注目の数字:テイタムはクラッチタイム(5点差以内で迎えた第4クォーターないしオーバータイムの最後の5分間)におけるエフェクティブFG成功率が61.1%。50本以上のクラッチショットを試投した28選手の中で2位の数字だ。

11. デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)

再開フォーマットや環境に対するリラードのためらいを、再開後に彼が競争的でなくなる兆しと混同してはいけない。ブレイザーズがプレイオフ進出を競うのであれば、リラードの勝負強さが必要だ。ほかの多くのスターたちと同じように、パンデミックはリラードに肉体を治すために必要な時間をもたらした。彼が準備を整えることを疑う者はいない。最も大切な瞬間に備えている。

注目の数字:ピック&ロールにおけるボールポゼッションは1試合平均13.5回でリーグ2位。5回以上を記録する49選手のうち、ボール保持者としてポゼッションあたり1.14得点は最多だ。

10. クリス・ポール(オクラホマシティ・サンダー)

NBPA(選手会)の会長としての大きな責任から、今季有数のサプライズチームで大きな影響を及ぼしたのがポールだという事実は見過ごされがちだ。シーディングゲームで良いプレイができれば、サンダーには順位を上げる大きなチャンスがある。クラッチタイムの得点(144)でリーグ最多、第4Qのプラスマイナス・レーティング(+169)が4位という選手がいることは、サンダーがプレイオフを勝ち進めるかどうかにおいて重要だ。

注目の数字:クラッチゲーム(42)とクラッチタイムにおけるプレイ時間(160分)、得点(144)、FG(46)、スティール(10)でリーグトップ。クラッチタイムのFTは46本中43本成功(93%)で、25本以上試投の32選手の中では最多の数字だ。

9. ポール・ジョージ(ロサンゼルス・クリッパーズ)

クリッパーズのファンが夢に見る優勝を実現する上で、ジョージが健康であることは重要だ。カワイ。レナードとジョージ、ふたりのスーパースターは攻守両面で優秀で、それぞれが、攻撃でも守備でも、いつでも最高のプレイヤーになることができる。ケミストリーがあり、役割が定まって、ドック・リバースHCはチーム最大のスターたちから何を得られるかをしっかりと分かっている。

注目の数字:ジョージはコーナーからの3Pが57本中32本成功(56.1%)。50本以上試投の108選手の中で最多の数字だ。

8. ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)

シーズン停止中に見事な肉体に絞り上げたヨキッチだが、新型コロナウイルスの検査で陽性となったことが状況を難しくさせている。母国セルビアからオーランドに向かう移動に関して問題があるとも報じられている。だが、ナゲッツの攻撃の中心としてヨキッチが最高の状態なら、マイケル・マローンHC率いるナゲッツにはプレイオフで勝ち進んでいくためのチャンスがある。もしもヨキッチがスキルに合ったコンディションなら、ほかのチームたちは気を付けたほうがいいだろう。

注目の数字:ペイント内の非制限区域外からのショット成功率は60.5%で、100本以上試投の95選手の中で最高の数字だ。

7. ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers)

新型コロナウイルスがすべてを中断させたとき、肩の負傷による5試合の欠場から戻っていたエンビードにとって、中断はこれ以上ないタイミングで訪れた。健康を取り戻し、より良い状態となったことで、エンビードはリフレッシュし、リーグ最高のビッグマンとしての評判に見合う活躍をしようと集中している。本来のポテンシャルを発揮すれば、フィジカルで彼に対抗できる選手はいないだろう。だが、常に「もしも」はある。

注目の数字:『Second Spectrum』によると、エンビードはポストアップが1試合平均9.7でリーグ最多。『Synergy play-type』によれば、ポストアップからのポゼッションあたり1.12得点は、1試合平均ポストアップが2.5以上の21選手の中で最多の数字だ。

6. ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)

中断までのドンチッチはMVP級の見事なシーズンだった。トリプルダブルの回数(14)はリーグ最多。得点で6位、アシストで4位につけている。おそらく、それ以上に印象的なのは、ドンチッチがリーグで最もリバウンドの多いガードということだ。再開シーズンは、NBAでわずか2年目ながら、最高のオールラウンダーとも言われる力を示す新たな機会だ。

注目の数字:1試合平均20得点&8リバウンド&8アシスト超を記録している唯一の選手。トリプルダブル14回はリーグ最多。

5. ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)

リーグ最多得点コンビとなっているハーデンとラッセル・ウェストブルックは、ウェストのファイナルを目指すロサンゼルスの2チームの計画を狂わせようと再開シーズンに臨むだろう。停止中にハーデンは真剣に体を鍛えることに取り組んできた。体を絞った彼の画像は、ソーシャルメディアで反響を呼んだ。ポストシーズンに消耗するハーデンの歴史は、今回は問題にならないはずだ。

注目の数字:ハーデンは19試合で40得点超を記録。2位に8試合の差をつけている。この19試合でロケッツは17勝2敗を記録した。

4. アンソニー・デイビス(ロサンゼルス・レイカーズ)

今季、MVPと最優秀守備選手の双方を狙えるふたりのうちの片方がデイビスだ(もうひとりはアデトクンボ)。優勝を目指すレイカーズを背負うデイビスとレブロン・ジェームズは、再開シーズンに何が懸かっているのかをしっかり分かっている。多くの専門家がレイカーズを優勝候補とする理由は、デイビスとジェームズほど支配的、あるいはダイナミックなコンビはほかのチームにいないからだ。デイビスはまだ、本当の意味でポストシーズンにブレイクするパフォーマンスを生み出していない。今回がその機会となるかもしれない。

注目の数字:デイビスが守った相手のFG成功率は38.5%。それらのショットで成功が期待された確率(46.7%)との差は、FG300本以上を守備した271選手の中で2番目に大きい。

3. カワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)

シーズン停止前にクリッパーズがレナードのコンディション維持に関してどんな予防策を取っていようとも、再開後は問題にならないだろう。レナードとポール・ジョージが攻守両面で最高のレベルを発揮できれば、タレントを擁し、層も厚いクリッパーズは、昨夏からバスケットボール界が声高に叫んできたレイカーズとの天王山への道が切り開けるはずだ。

注目の数字:レナードはポゼッションの16.4%でアシストを記録。大きな差をつけて自身最多の数字だ。

2. レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)

優勝か、失敗かだ。再開シーズンにおいて、リーグで最も影響力を持つ選手を待つものは、そう定義するしかない。17年目のシーズンでMVP級のパフォーマンスを見せ、異なる3チーム目をタイトルに導こうと、レガシー(遺産)を求めているジェームズにとって、この前例のないシナリオの予期しない影響は大きい。アシストでリーグトップに立つジェームズは、かつてないほどハードに戦ってきた。だからこそ、再開シーズンでは最高を期待するべきだ。

注目の数字:1試合平均10.6アシストは自己最多でリーグトップ。『Second Spectrum』によると、自身のアシストからの得点が1試合平均26.5、パス・アヘッド・パス("pass-ahead" passes)4.6、スキップパス1.5もリーグ最多。

1. ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)

シーズンが停止したとき、昨季のMVPは見事なシーズンを送っていた。たとえMVP投票でトップでなかったとしても、2位を下回ることはなかっただろう。次々に支配的なパフォーマンスを見せ、バックスをリーグ最高成績に導いたのは、まだ成長途上にあることの証拠だ。彼にはまだ大きな成長の余地がある。再開シーズンは、アデトクンボが再び大暴れする場となるはずだ。

注目の数字:アデトクンボは1試合平均8.2ファウルを相手から引き出している。これはリーグトップの数字で、500分以上プレイした選手の中では唯一の数字だ。また、アデトクンボが出場している時間帯のチームの被ファウル数の半分以上を彼が記録している。

原文:The Top 22 players inside the NBA 'bubble' in Orlando by Sekou Smith/NBA.com(抄訳)​


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