身長201cmながら7年連続でリバウンド王に
マイケル・ジョーダンと1997-98シーズンのシカゴ・ブルズに迫ったドキュメンタリー作品『The Last Dance』(邦題『マイケル・ジョーダン: ラストダンス』/Netflix)のエピソード3は、球団史上2度目のスリーピート(3連覇)達成において重要な役割を担ったデニス・ロッドマンが中心の話だ。
ロッドマンといえば、NBA史上最高のリバウンダーという議論になると、必ず候補に挙げられる。
ただし、キャリア通算のリバウンド数だけを見ると、ロッドマンは特筆した成績を残したわけではない。1試合平均リバウンド数は歴代トップ10外で、通算リバウンド数でもトップ20に入っていない。
通算得点で歴代23位のパトリック・ユーイングが史上最高のスコアラーだったかどうかを考えることは少ないし、通算アシスト数が歴代23位だったマグジー・ボーグスが史上最高のパサーだったかを議論することもあまりない。これは通算リバウンド数が歴代23位のロッドマンにも、ユーイングとボーグスの例が当てはまるだろう。
しかし、リバウンドに関して言えば、時代背景にも依存する。例えば、現代のNBAでは、1試合のリバウンド数は合計106本前後で、1959-60シーズンより40本も少なく、1960年代より30本も少ないのだ。
つまり、優れたリバウンダーかどうかは、1試合でどれだけ記録したかだけに依存するものではない。そこで、筆者が個人的に思うNBA史上最高のリバウンダー5名を挙げたい。
▶ Netflixで「マイケル・ジョーダン: ラストダンス」を視聴する
アンドレ・ドラモンド
オールスターに2度選出され、リバウンド王に4度も輝いているものの、ドラモンドをクリーブランド・キャバリアーズにトレードしたデトロイト・ピストンズが獲得した見返りは、ブランドン・ナイト、ジョン・ヘンソン、2023年のドラフト2巡目指名権のみだった。
これは、リバウンダーとしてのドラモンドの能力云々より、現代のリーグの方向性による問題だろう。ドラモンドは、間違いなく現役選手の中で最も生産的なリバウンダーだ。
リバウンドの重要性や、リバウンドが時代遅れのスキルかどうかについては様々な意見があるだろう。ドラモンドの能力に関して間違いないのは、インサイドを支配できるということだ。特にオフェンス時の活躍は大きく、今季もセカンドチャンスからの得点でリーグ1位の数字を残している。
もしかすると、20年もしくは30年後になって、改めてドラモンドの能力が正当に評価されるかもしれない。
モーゼス・マローン
近年のNBAで最も破壊的なオフェンシブリバウンダーこそ、モーゼス・マローンだ。オフェンシブリバウンドがスタッツとして認定されたのは1973-74シーズンからで、歴代1位(6731)のマローンは、同2位のロバート・パリッシュ(4598)に2000本以上もの差をつけている。
また、8シーズンでオフェンシブリバウンド1位の数字を残し、1試合でのNBA記録(21)を保持。キャリア平均5本以上のオフェンシブリバウンドを記録しているのは、マローンのみだ。
荒々しいプレイが多かった1970年代と80年代、インサイドでマローンを止められる選手はいなかった。決して華のある選手ではなかったかもしれないが、シーズンMVPを3度も受賞している偉大な存在で、MVPに選出された1981-82シーズンは平均6.9オフェンシブリバウンドというスタッツを残した。当時はセカンドチャンスからの得点がカウントされていなかったが、同年に記録した平均31.1得点の半分以上がセカンドチャンスからの得点だった。
ビル・ラッセル
1959年のNBAファイナルでは、3試合続けて30リバウンド超えを果たした。また、NBAファイナルでの試合で、たった1クォーターで19リバウンドという数字を残したこともあった。
1試合49リバウンドを達成した試合では、それまでの1試合リバウンド記録(39)を保持したニール・ジョンストンの前で新記録を生み出し、その3年後には1試合51リバウンドというスタッツを残した。
ラッセルがキャリアハイのリバウンドを記録したのは1963-64シーズンで、同年の平均24.7リバウンドは、NBA史上最高の数字だ。
デニス・ロッドマン
7年連続リバウンド王は史上最長の記録で、201cmの彼は、それをシャキール・オニール、デイビッド・ロビンソン、アキーム・オラジュワン、ディケンベ・ムトンボ、パトリック・ユーイングがいた時代にやってのけた。
7年続けてリバウンド王を獲得した時期、ロッドマンはランキング2位の選手に最低でも3.5リバウンド以上の差をつけている。
ロッドマンが年間最優秀守備選手賞を受賞した1989-90シーズンの平均リバウンドは9.7で、同年のトップ10外だった。それまで平均リバウンドが二桁に到達したことがなかった選手が、その2年後には平均18.7リバウンドを記録した。
NBA史上、1試合平均18リバウンド以上を記録したケースは46例ある。そして、そのうちの2例は直近46年でのもので、どちらもデニス・ロッドマンが記録したものだ。
ウィルト・チェンバレン
リバウンド王に輝くこと10回、1試合最多リバウンド記録(55)を保持し、1試合平均リバウンドで歴代1位(22.9)という数字を残した。
通算リバウンド数は、2万3924本。この記録に最も近い数字を残している現役選手は、リバウンド王に5度輝いているドワイト・ハワードだが、それでも1万リバウンド以上の差がある。
リバウンドに関してだけ言えば、チェンバレンに敵う選手はいない。
原文:The Last Dance: Is Dennis Rodman the best rebounder in NBA history? by Micah Adams/NBA Canada(抄訳)