いかにしてレイカーズはレブロン・ジェームズとの契約に至ったのか?

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この地球上に、アービン“マジック”ジョンソンほど自信に満ちた人間はいないかもしれない。

ロサンゼルス・レイカーズのバスケットボール運営部門代表に就任してから16か月、ジョンソンは差し迫るフリーエージェントの時期にもいら立つことはなかった。

NBAで5回の優勝を誇るジョンソンは先月、「私が何回ファイナルを戦ったと思う?」と語っていた。

「私が心配すると思うかい? 私はファイナルでラリー・バードと戦ったんだよ。ファイナルを9回戦ったんだ。大学ではNCAAで優勝している。私は、マジック・ジョンソンだ」。

数分後、ジョンソンは報道陣に、レイカーズがこの先2年のうちにFAのスター選手を獲得できなければ辞任すると誓った。だが、彼は2週間で最大のビッグスターを獲得したのだ。

7月9日(日本時間10日)、レイカーズは公式にレブロン・ジェームズと契約したことを発表した。

フロントとして新人だったジョンソンとロブ・ペリンカGMは、就任からわずか1年ちょっとでいかにして世界最高の選手を獲得するに至ったのだろうか。次々に賢く動くことで、徐々にレイカーズを魅力的な移籍先として築いていったのだ。

2017年2月、ジョンソンとペリンカGMは、そのシーズンで26勝56敗とリーグで下から3番目の成績に終わるチームを引き継いだ。しかも、サラリーキャップの空きは小さく、その後のドラフトでの唯一の指名権も、全体3位まででなければフィラデルフィア・76ersに渡すことになっていた。

それを念頭に、ジョンソンはすぐに一手を打った。

ルー・ウィリアムズとのトレードで、ヒューストン・ロケッツから28位指名権(とコーリー・ブリュワー)を獲得。さらに、前述の指名権が全体2位となり、ジョンソンとペリンカGMはキャップスペースを空け、さらなる指名権を加えた。ディアンジェロ・ラッセルを失ったが、ティモフェイ・モズゴフ(とその高額契約)もブルックリン・ネッツに放出。27位指名権とブルック・ロペスを手に入れた。

数日後、彼らとレイカーズのスカウト陣は見事なドラフトを実現する。

ロンゾ・ボール、カイル・クーズマ、ジョシュ・ハートを指名したのだ。クーズマとハートはジョンソンが手に入れた指名権で選んだ選手たちである。彼らは新人としてすぐにインパクトを残し、レイカーズがリーグ有数の先行きが明るいチームだと信じさせるだけの理由をもたらした。

次はFAだった。今年の夏以降に備え、ジョンソンとフロントは、キャップスペース(サラリーキャップの余裕)を保持する代わりに、複数年契約を結ぶことを避けた。

ケンテイビアス・コールドウェル・ポープと1年契約を結び、長期的にコストがかからない形でより競争力のあるチームとした。彼とロペスはチームの移行期に貴重なスキルをもたらし、3人の新人とブランドン・イングラムの成長がさらに大きな役割を担っていく。

レイカーズの若きタレントたちは、レギュラーシーズンでの白星を前年から9つ増やした。順位はさておき、プレイはシンプルにぐっと良くなり、守備のレーティング(100ポゼッションあたりの平均失点)は前年のNBA最下位から12位まで改善された。

だが、フロントには夏を迎える前にさらに大きな取引があったのだ。

トレードでジョーダン・クラークソンとラリー・ナンスJr.をクリーブランド・キャバリアーズに放出し、すぐにFAとなる2選手(アイザイア・トーマスとチャニング・フライ)を獲得することで、さらにキャップスペースを空けたのだ。加えて、レイカーズはドラフト1巡目指名権についても交渉した。

キャップスペースを大きく空け、新人契約の才能ある若手のタレントたちを核とし、レイカーズのフロントはジェームズの獲得を目指した。8年連続でファイナルを戦い、プレイオフを通じて1試合平均34.0得点とチームをけん引した当代きってのスターだ。

レイカーズが前シーズンのオールスター選手をFAで獲得したのは、6年ぶりのことだ。今、レイカーズのバスケットボールは新たな時代を迎えた。ジェームズがレイカーズの選手なったのだ。

 

The King has arrived 👑 #LakeShow + @kingjames

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ジョンソンたちは(キャバリアーズの指名権を使って)モリッツ・バグナー、Svi Mykhailiuk、アイザック・ボンガを指名した。さらにフリーエージェントのラジョン・ロンド、ランス・スティーブンソン、ジャベール・マギーを獲得し、コールドウェル・ポープと再契約した。これらの結果も重要だ。だが、すべてはジェームズ獲得を軸に動いてきた。

『ESPN』が報じたように、FA交渉が解禁された夜、ジョンソンはブレントウッドにあるジェームズの家を個人的に訪れ、レイカーズを売り込んだ。

どのチームも選ぶことができたジェームズにとって、コート内外を問わずしてレイカーズが適切なチームである理由はたくさんある。

あの夜、彼の家を訪れたのは、ジェームズがバスケットボールとビジネス分野で求めている成功をまさに体現してきた人物であり、その人物が今回の契約の助けになったことは間違いない。

この16か月で次々に手を打ち、スポーツだけにとどまらない大きな名声を武器に、その人物はキャップスペースがなかった25勝のチームを、地球上で最も偉大な選手の獲得を競える存在へと変えたのである。

それこそがアービン・ジョンソンJr.による"マジック”(魔法)だったのだ。

原文: The Kingsroad: Magic Johnson and the Lakers' Path to LeBron James by Joey Ramirez/ Lakers.com(抄訳)


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ