白熱する順位争い プレイイン・トーナメント進出をかけた戦い

大西玲央 Reo Onishi

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レギュラーシーズンが終盤に差しかかり、各チームの順位争いが激化している。上位チームが団子状態になっているのもあるが、今回注目したいのは東西各カンファレンスの7~10位のチームが参加し、プレイオフ進出枠である第7~8シードの座を争うプレイイン・トーナメントに向けた争いだ。

プレイイン・トーナメントでは、レギュラーシーズンの全日程終了後に、7位対8位が対戦し、勝者がプレイオフ第7シードを獲得する。敗者は9位対10位の勝者とプレイオフ第8シードを懸けて戦う。

これまでだと、レギュラーシーズン最後の1、2週間といえば、多くのチームがすでにプレイオフ進出を確定させ、主力を休ませる消化試合が増えることが通例だった。しかし昨季から本格的に導入されたこのシステムの影響もあり、ここ2シーズンはシーズン最終日まで順位の入れ替わりが注目されている。

それでは順位表をチェックしてみよう(現地3月31日の日程終了時点)。

イースタン・カンファレンス

順位 チーム 成績 ゲーム差 残試合
5 ブルズ 45-32 - 5
6 ラプターズ 44-32 0.5 6
7 キャバリアーズ 42-35 3 5
8 ネッツ 40-37 5 5
9 ホーネッツ 40-37 5 5
10 ホークス 40-37 5 5

東は5~10位までが5ゲーム差で、それぞれ残り5、6試合ということもあり、どのチームがプレイイン・トーナメント行きとなってもおかしくない状況なのだ。11位のニューヨーク・ニックスと12位のワシントン・ウィザーズは、日本時間4月1日にアトランタ・ホークスが勝利したことでプレイオフ逸失が決まった。

特にほかのチームが気にしているのが、ブルックリン・ネッツとトロント・ラプターズの順位だろう。

開幕前から優勝候補の一角として予想されていたネッツだが、新型コロナウイルスのワクチン未接種であるカイリー・アービングのホーム戦不出場、ケビン・デュラントの負傷、ジェームズ・ハーデンのトレードなどが重なり、大きく順位を落としている。

しかしニューヨーク市が新型コロナウイルスに対する方針を変えたことで、ワクチン未接種の選手でも出場可能となり、ようやくアービングとデュラントが常に揃っている状態で戦えるようになった。実質上位チームの強さを誇るチームが下位チームの順位にいるという、不気味な存在となっているのだ。

そしてラプターズはオールスター休暇以降12勝7敗と好調で、順位を駆け上がっている。そしてさらに他チームがおそらく気にしているのは、ラプターズの本拠地がカナダのトロントにあることだ。

カナダはワクチン未接種者は入国することができない。そのため、ラプターズのホーム戦では相手チームで出場できない選手が出てくる可能性があるのだ。例えばラプターズが7位、ネッツが8位でプレイイン・トーナメントに進出した場合、アービングは出場できないことなる。

マイアミ・ヒートとミルウォーキー・バックスは全選手がワクチンを接種していることをESPNが報じている。しかしボストン・セルティックスとフィラデルフィア・76ersは全選手が接種しているかの明言を避けており、もしラプターズとプレイオフで対戦することとなったら、トロントでの試合で欠場者が出る可能性もある。

ウェスタン・カンファレンス

順位 チーム 成績 ゲーム差 残試合
5 ジャズ 46-31 - 5
6 ナゲッツ 46-31 0 5
7 ティンバーウルブズ 43-34 3 5
8 クリッパーズ 37-40 9 5
9 ペリカンズ 33-43 12.5 6
10 スパーズ 31-45 14.5 6
11 レイカーズ 31-45 14.5 6

西で特に注目なのが10位争いだ。1勝の差がプレイイン・トーナメント進出の可否を分ける可能性が高く、残り試合の重要性はさらに高まる。

9位のニューオーリンズ・ペリカンズ、10位のサンアントニオ・スパーズ、11位のロサンゼルス・レイカーズはそれぞれ6試合を残しており、プレイオフ上位の順位争いを繰り広げている強敵たちとの試合が続く。

9~11位 残りの対戦相手

  9位 ペリカンズ 10位 スパーズ 11位 レイカーズ
1 レイカーズ ブレイザーズ ペリカンズ
2 クリッパーズ ブレイザーズ ナゲッツ
3 キングス ナゲッツ サンズ
4 ブレイザーズ ウルブズ ウォリアーズ
5 グリズリーズ ウォリアーズ サンダー
6 ウォリアーズ マーベリックス ナゲッツ

レイカーズはネッツ同様、レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスが揃えば一気に強豪になれるチームなのだが、今季はお互いのケガなどもあって、なかなかふたりが揃わない状況が続いている。直近の10試合は2勝8敗と負けが込んでおり、プレイイン・トーナメント進出すら危ぶまれ始めている。

次戦が9位ペリカンズとの直接対決であり、デイビスの復帰も噂されているため、両チームにとって重要な一戦となりそうだ。

逆にスパーズはここ10試合で6勝4敗と好調だ。先日ついにレイカーズを追い越して10位に浮上したことで、10位争いがさらに白熱する形となっている。

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大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。