【チーム分析】テイタム率いるリーグ首位のセルティックスが見せるチーム力

大西玲央 Reo Onishi

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12月2日(現地1日)、ボストン・セルティックスのジェイソン・テイタムがNBA 2022-23シーズンの10月と11月の月間最優秀選手に、そしてジョー・マズーラ代理ヘッドコーチが同月間最優秀コーチに選出されたことが発表された。

現在18勝4敗のセルティックスはリーグトップの成績を誇る。シーズン前にイメイ・ウドカHCがチームポリシー違反で活動停止処分となり急遽マズーラが代理HCになるなど、チームの集中力を断ち切ってしまってもおかしくないような出来事があっただけに、スロースタートを予想する声も多かった。そんな声を消し去るような活躍を見せている。

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今回はセルティックスの好スタートに注目してみよう。

今季は開幕から好調なテイタム

先述の通り、テイタムは今季最初の月間最優秀選手に選出されている。平均31.6得点(リーグ2位)、7.8リバウンド、4.5アシストの活躍で、セルティックスの快進撃をリードする存在だ。

昨季はチームをNBAファイナルまで導いているだけに、その活躍に驚きはないかもしれないが、例年と違うのは開幕から好調であることだ。過去のシーズンを振り返ると、2021-22シーズンの10月と11月は21試合で平均24.3得点であり、シーズンが進むにつれその活躍度を上昇させ、3月には13試合で平均32.8得点を記録している。

12月スタートとなった2020-21シーズンも、12月と1月で合計13試合プレイしたテイタムは平均26.8得点からスタートし、4月の15試合で平均29.7得点とピークがシーズン後半にやってきていた。

ファイナルで悔しい想いをし、開幕から高いレベルでプレイしたいとシーズン前に語っていたテイタムは、約束通り開幕ダッシュに成功したわけだが、この活躍が続くかどうかがセルティックスにとって重要なポイントとなる。

テイタム不在でも崩れない層の厚さ

MVP級の活躍を見せているだけに、テイタムがコート上にいるときにチームに与える影響は大きい。テイタムが出場している時間帯ののチームの通算得失点差はプラス198で、リーグトップの数字だ。

しかし、ここまでのセルティックスの強さは、テイタムがベンチに下がってもオフェンスが高いレベルで遂行され、大崩れされないところにある。

テイタムが出場している時間帯のオフェンシブレーティング(OffRtg、100ポゼッション平均での得点)は123.8、ディフェンシブレーティング(DefRtg、100ポゼッション平均での失点)は111.0、そしてネットレーティングは12.7(NetRtg、100ポゼッション平均での得失点差)。逆に出場していない時間帯はOffRtgが111.8、DefRtgが112.7、NetRtgが-0.9だ。

数字は落ちているものの、懸念されるほど大きな落差ではない。OffRtgは111.8はリーグ全体で見れば、15位のポートランド・ブレイザーズの111.9と16位のフィラデルフィア・76ersの111.4の間に位置する。

ほかのMVP候補の数字と比較するとさらにわかりやすいだろう。ステフィン・カリーが出場時のゴールデンステイト・ウォリアーズはOffRtgが121.3、DefRtgが112.1、NetRtgが9.8であるのに対して、不出場時はそれぞれ94.7、112.4、-17.7と、オフェンス力が大きく低下しているのがわかる。

デンバー・ナゲッツのニコラ・ヨキッチなんかもその差が顕著だ。ヨキッチ出場時のナゲッツはOffRtgが125.5、DefRtgが111.4、NetRtgが14.1であるのに対して、不出場時はそれぞれ101.3、114.1、-12.7とまるで別チームになる。

チームはスター選手を中心に回るように組み立てられることがほとんどなので、その選手が出ていなければ数字が落ちるのは当然のことだ。しかし、セルティックスはエースのテイタムが不在でも相手としっかり渡り合えるほどのチーム力を持って、リーグトップを走っているのだ。

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大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。