一番乗りでプレイオフ進出を決めたサンズ、レギュラーシーズンの強さをプレイオフにも持ち込めるか?

大西玲央 Reo Onishi

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リーグ最速でプレイオフ進出を決めたフェニックス・サンズ

3月9日(日本時間10日)、リーグ首位のフェニックス・サンズがマイアミ・ヒートに勝利したことで、今季一番乗りでプレイオフ進出を確定させた。レギュラーシーズン成績53勝13敗を誇るサンズは、唯一すでに50勝を突破しているチームで、リーグ2位のメンフィス・グリズリーズとのゲーム差は8.5と大きくリードしている。

サンズのシーズン最多勝記録は2004-05シーズンと1992-93シーズンに記録した62勝であり、今のペースでいけば十分に更新可能だ。

当然のことだが、プレイオフが確定したということは、残りの16試合を全て負けたとしても、サンズはウェスタン・カンファレンスの6位以上が保証されているということだ。プレイイン争い(7位~10位)が激化しているなかで、サンズの独走がいかに突出しているのかがわかる。

しかし必ずしもレギュラーシーズンでの圧倒的な強さが、優勝に繋がるわけではないのがNBAだ。あとを追う29チームにもまだ十分なチャンスが残されている。

2010年以降を見てみると、リーグ最速でプレイオフ出場を決めたチームが優勝したケースは2度しかない。2016-17シーズンのゴールデンステイト・ウォリアーズと、2012-13シーズンのマイアミ・ヒートのみだ。

リーグ最速でプレイオフ進出を決めたチーム

シーズン チーム 確定時の成績 優勝 準優勝
2021-22 サンズ 53勝13敗    
2020-21 ジャズ 44勝16敗 バックス サンズ
2019-20 バックス 48勝8敗 レイカーズ ヒート
2018-19 バックス 48勝14敗 ラプターズ ウォリアーズ
2017-18 ラプターズ 47勝17敗 ウォリアーズ キャバリアーズ
2016-17 ウォリアーズ 49勝9敗 ウォリアーズ キャバリアーズ
2015-16 ウォリアーズ 53勝5敗 キャバリアーズ ウォリアーズ
2014-15 ホークス 48勝12敗 ウォリアーズ キャバリアーズ
2013-14 ペイサーズ 46勝15敗 スパーズ ヒート
2012-13 ヒート 46勝14敗 ヒート スパーズ
2011-12 ※ ブルズ 40勝10敗 ヒート サンダー
2010-11 ブルズ 45勝18敗 マーベリックス ヒート
2009-10 キャバリアーズ 50勝15敗 レイカーズ セルティックス

※ロックアウトによる短縮シーズン

2016-17シーズンのウォリアーズは、前シーズンに73勝9敗というNBA記録を打ち立てたチームに、さらにケビン・デュラントが加入した超強力ラインナップを誇ったチームだ。67勝15敗(勝率 .817)という成績で他チームを寄せ付けないままレギュラーシーズンを終え、プレイオフでも16勝1敗という圧倒的な強さで優勝を手にしている。

2012-13シーズンのヒートは、レブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュのビッグ3の活躍でレギュラーシーズンを66勝16敗で終えた。サンアントニオ・スパーズとのNBAファイナルでは、2勝3敗で迎えた第6戦の第4クォーター残り5秒でレイ・アレンが同点3ポイントショットを決め、延長の末に勝利。さらに第7戦も勝利し、連覇を達成している。

その他のシーズンを見てみると、最速でプレイオフ進出を決めたチームで、NBAファイナルまで駒を進めることができたのは2015-16シーズンのウォリアーズのみ。ここ4シーズンに限れば、カンファレンス・ファイナルに進めたのでさえ2019年のバックスのみで、その他のチームはいずれもカンファレンス・セミファイナルで姿を消している。

それだけレギュラーシーズンを通して強さを維持し、プレイオフでも勝ち抜くのは難しいことなのだ。

今季のサンズはシーズン序盤に18連勝、オールスター休暇前後に20試合で19勝を記録している。一方、連敗は最長で2だ。オールスターゲーム後に、クリス・ポールが離脱することで停滞が懸念されたものの、ここまで5勝3敗と大きな崩れは見せていない。

ポールがいないことが、彼が復帰するまでにチームの総合力をより強化することに繋がる可能性もある。このままレギュラーシーズンを独走し、プレイオフを見事に勝ち切ることで、サンズが歴史的なチームの仲間入りを果たすことができるのか、今後も注目だ。

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大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。