NBAにおける現在最高のポイントガードといえば、トップの座は競争なしで決まりだ。その座にいるのはステフィン・カリーであり、ゴールデンステイト・ウォリアーズがサクラメント・キングスを下したウェスタン・カンファレンスのプレイオフ・ファーストラウンド第7戦での素晴らしいパフォーマンスは、その地位をさらに堅固なものとした。
優勝4回を誇るカリーは、4月30日(日本時間5月1日)のキングスとの第7戦で、フィールドゴール38本中20本成功の50得点を記録。チームを120-100の勝利に導いた。第7戦における50得点はNBAプレイオフ史上初の快挙だ。この怪物級のパフォーマンスに、『ESPN』のスティーブン・A・スミス記者は、同時代ではなく、バスケットボール界のレジェンドとカリーを比較した。
スミス記者は試合後の番組『NBA Countdown』で、「文字どおり、『歴代最高のポイントガードかどうかを議論すべきだ』」と話している。
「ショット能力でこれほど多くのことに影響し、インパクトを与えるのは見たことがないからね。でも、驚いてはいない」
もちろん、カリーを歴代最高ポイントガードのナンバーワンにするということは、1996年の引退までに非常に高い水準を設定した男をその座から外すということだ。マジック・ジョンソンである。カリー対ジョンソンという論争に関して、数字からはどんなことが分かるだろうか。
(スタッツはすべて現地2023年4月30日時点)
マジック・ジョンソン対ステフィン・カリー:レギュラーシーズンのスタッツ
カリーはジョンソンよりも得点力で脅威だ。彼のショット能力、リムでフィニッシュする力、ボールを持っていない時の動きは、最高の守備陣をも打破できる。
アシストとリバウンドに関しては、ジョンソンにアドバンテージがある。そのサイズとスキルセットから、彼は通算トリプルダブル回数(138)で歴代3位につけているのだ。上回るのはラッセル・ウェストブルック(198)とオスカー・ロバートソン(181)のみ。シーズン平均トリプルダブルを成し遂げたことがあるのは彼らだけだ。
マジック | 1試合平均 | カリー |
19.5 | 得点 | 24.6 |
7.2 | リバウンド | 4.7 |
11.2 | アシスト | 6.5 |
1.9 | スティール | 1.6 |
0.4 | ブロック | 0.2 |
3.9 | ターンオーバー | 3.1 |
36.7 | 出場時間 | 34.4 |
52.0 | FG成功率 | 47.5 |
30.3 | 3P成功率 | 42.8 |
84.8 | FT成功率 | 90.9 |
マジック | 通算 | カリー |
906 | 出場試合 | 882 |
17,707 | 得点 | 21,712 |
6,559 | リバウンド | 4,179 |
10,141 | アシスト | 5,740 |
1,724 | スティール | 1,419 |
374 | ブロック | 207 |
3,506 | ターンオーバー | 2,777 |
33,245 | 出場時間 | 30,302 |
マジック・ジョンソン対ステフィン・カリー:レギュラーシーズンのアドバンスドスタッツ
アドバンスドスタッツになると、ジョンソンとカリーの間には大きな差がある。だが、カリーは30代半ばに差し掛かったところで、まだあと数年全盛期が残されており、その差は縮まるかもしれない。
マジック | アドバンスドスタッツ | カリー |
24.1 | Player Efficiency Rating | 23.8 |
80.0 | Value Over Replacement | 65.6 |
7.5 | Box Plus/Minus | 6.6 |
155.8 | Win Shares | 128.0 |
61.0 | True Shooting % | 62.7 |
22.3 | Usage % | 28.8 |
- Player Efficiency Rating:プレイヤーエフィシェンシーレーティング、出場時間、得点、リバウンド、アシストなど様々な個人スタッツを基に計算される選手の活躍度。リーグ平均は15.0。
- Value Over Replacement:バリュー・オーバー・リプレイスメント、交代要員レベルの選手と比較して100ポゼッション平均で何得点貢献したかを測る数値。
- Box Plus/Minus:ボックスプラスマイナス、ボックススコアを基にコート上で選手がどれだけ貢献しているかを測る数値。リーグ平均は0.0。
- Win Shares:ウィンシェア、チームの功績を選手単位に分配する数値。選手たちの合計値がそのチームの1シーズンの勝利数とほぼ同じになる。
- True Shooting %:トゥルーシューティング成功率、3ポイントショットとフリースローも加味したシュート成功率。
- Usage %:ユーセージ率、ポゼッションを完了した割合。
マジック・ジョンソン対ステフィン・カリー:プレイオフのスタッツ
当然だが、カリーとジョンソンはポストシーズンのパフォーマンスがこのポジションで歴代有数の選手たちだ。
プレイオフにおけるカリーの得点力は増し、ショットはFG成功率45%、3ポイントショット成功率40%、フリースロー成功率90%に近い数字。一方、ジョンソンはアシストとリバウンドの数字が上がる。
マジック | プレイオフ1試合平均 | カリー |
19.5 | 得点 | 26.8 |
7.7 | リバウンド | 5.3 |
12.3 | アシスト | 6.2 |
1.9 | スティール | 1.5 |
0.3 | ブロック | 0.3 |
3.7 | ターンオーバー | 3.4 |
39.7 | 出場時間 | 37.4 |
50.6 | FG成功率 | 45.3 |
24.1 | 3P成功率 | 39.9 |
83.8 | FT成功率 | 89.1 |
マジック | プレイオフ通算 | カリー |
190 | 出場試合 | 140 |
3,701 | 得点 | 3,756 |
1,465 | リバウンド | 745 |
2,346 | アシスト | 861 |
358 | スティール | 215 |
64 | ブロック | 41 |
696 | ターンオーバー | 469 |
7,538 | 出場時間 | 5,235 |
マジック・ジョンソン対ステフィン・カリー:プレイオフのアドバンスドスタッツ
プレイオフのアドバンスドスタッツでは、レギュラーシーズンのアドバンスドスタッツと比べ、少し両者の差が縮まる。PERでカリーはジョンソンと並び、Box Plus/Minusもそれほど離れていない。
マジック | アドバンスドスタッツ | カリー |
23.0 | Player Efficiency Rating | 23.0 |
18.3 | Value Over Replacement | 11.7 |
7.6 | Box Plus/Minus | 6.9 |
32.6 | Win Shares | 20.9 |
59.5 | True Shooting % | 60.9 |
21.2 | Usage % | 29.7 |
マジック・ジョンソン対ステフィン・カリー:タイトルやアウォード
ここは、ほぼすべてのカテゴリーでジョンソンがリードしている。だが、ウォリアーズが本拠地チェイス・センターでカリーのジャージーを掲げ、背番号を永久欠番化する時までに、カリーがジョンソンの数字に並ぶ、あるいはそれを上回ることがあっても、決して衝撃的ではない。
オールNBAとオールスターへの選出回数は、容易に二桁を達成するはずだ。そしてウォリアーズが周囲に適切な人材を配置している限り、カリーはさらなる優勝を競える立場にあるだろう。
マジック | タイトル | カリー |
5 | 優勝 | 4 |
3 | MVP | 2 |
3 | ファイナルMVP | 1 |
10 | オールNBA選出 | 8 |
12 | オールスター選出 | 9 |
0 | 得点王 | 2 |
4 | アシスト王 | 0 |
2 | スティール王 | 1 |