クリスマスデーの試合は、NBA最大級のスター選手たちからさらなる力を引き出すようだ。
12月25日(日本時間26日)のクリスマスゲームでさらに歴史に名を残すかもしれない12選手を取り上げた。
1.ヤニス・アデトクンボ
ミルウォーキー・バックスはシーズン立ち上がりに「成長痛」もあったが、すぐに融合している。チームをけん引し、恩恵も受けているのが、ヤニス・アデトクンボだ。11月も見事な成績だったが、12月は平均フリースロー試投(10.2→14.0)、平均アシスト(5.1→6.9)とさらに数字を伸ばした。
その結果、バックスはイースタン・カンファレンスのトップ争いに戻っている。2021年王者は首位ボストン・セルティックスと0.5ゲーム差。その原動力となっているのがアデトクンボだ。
クリスマスゲーム戦績:3勝2敗
クリスマスゲーム平均スタッツ:25.2得点、12.4リバウンド、4.4アシスト
バックスにとって、ニューヨーク・ニックスとの今年のクリスマスゲームは再戦のようなものだ。アデトクンボが初めてクリスマスゲームを戦ったのが、2018年のマディソン・スクエア・ガーデンでの一戦だった。当時24歳だった彼は30得点、14リバウンド、4スティール、2ブロックを記録し、チームを勝利に導いている。このシーズンのアデトクンボは初のMVPを受賞した。
2.デビン・ブッカー
シューティングガードからポイントガードへの転向は、統計的には成功している。9年目のブッカーは平均アシスト(8.2)でリーグ6位、ポテンシャルアシスト(14.8)で同7位だ。さらに、得点も自己委最多の平均27.9得点でリーグ9位につけている。
だが、ブッカーを擁するサンズは深刻な不振にある。負傷や攻守両面での安定感のなさから、ここまでは15勝14敗という成績だ。
クリスマスゲーム戦績:0勝2敗
クリスマスゲーム平均スタッツ:7.5得点、1.5リバウンド、1.5アシスト
出場するようになったのが比較的最近のブッカーは、まだクリスマスゲームで勝ったことがない。今年はダラス・マーベリックスと対戦。昨季は4試合のうち3試合が4点差以内のスコアだった。
3.ジミー・バトラー
12月のマイアミ・ヒートとバトラーは、何が本当で何がそうでないかを見極めるのが難しくなっている。オールスター選出7回のバトラーは平均21.5得点。フィールドゴール成功率は46.2%で、ヒートがNBAファイナルに進出した2019-2020シーズン以来となる低い数字だ。
バトラーとヒートに関して本当なのは、ジャージーに刻まれる「ヒート・カルチャー」。今年は2020年以来となるクリスマスゲームで、バトラーの古巣フィラデルフィア・76ers。2019年のトレード以降、バトラーはヒートを2度のNBAファイナルに導いている。
クリスマスゲーム戦績:5勝3敗
クリスマスゲーム平均スタッツ:16.9得点、5.1リバウンド、4.1アシスト
バトラーとヒートはギアを上げるタイミングを知っている。バトラーの得点は決まるために話題となる。古巣の元チームメイトと対戦する全米中継の一戦でそれを見過ごすことはできない。
4.ステフィン・カリー
カリーがクリスマスゲームで20得点超をあげたのは、9回目の出場となる2021年のフェニックス・サンズ戦だった(33得点)。その時もショットは良くなく、それ以前のクリスマスゲームではもっと輝けなかった。
カリーは現王者デンバー・ナゲッツがほぼ無敵であることを証明した敵地でのクリスマスゲームに臨む。11月8日(同9日)の対戦ではわずか3点差で敗れた。ウェスタン・カンファレンスの11位につけ、プレイイン・トーナメント出場圏にも入っていないゴールデンステイト・ウォリアーズが挽回するには、その結果をひっくり返さなければならない。
クリスマスゲーム戦績:4勝5敗
クリスマスゲーム平均スタッツ:15.3得点、4.9リバウンド、6.7アシスト
ウォリアーズに有利な兆候はある。ドレイモンド・グリーンが無期限出場停止になったが、チームは4連勝で応じた。オーバータイムの末のセルティックス戦勝利など、カリーはかつてのような姿を見せている。
5.アンソニー・デイビス
NBAでこれほど経験し、成功を収めてきた選手にしては、デイビスはあまりクリスマスゲームに出ていない。ケガもその一因だった。ただ、出場した時は期待を裏切らない。直近では2000年のマーベリックス戦で28得点をあげ、クリスマスゲームを制している。
今季のロサンゼルス・レイカーズにとって、デイビスがインサイドで試合に関わるかどうかはリトマス試験紙のようだ。オールスター選出8回のデイビスが3P試投なしだった試合で、レイカーズは9勝4敗という成績。だが、デイビスが3Pを打った試合の戦績は6勝8敗だ。
クリスマスゲーム戦績:1勝2敗
クリスマスゲーム平均スタッツ:27.0得点、9.7リバウンド、4.0アシスト
今年のクリスマスゲームで対戦するセルティックスは、100ポゼッションあたりのペイント内からの失点が最も少ない。制限区域内での相手のFG成功率も最低だ。ペイント内からの得点がリーグ4位のデイビスは、その守備を崩せるか。
6.ルカ・ドンチッチ
クリスマスといえばドンチッチ、というようになっている。昨年はレブロン・ジェームズ擁するレイカーズと対戦し、32得点、9リバウンド、9アシストを記録してマーベリックスを勝利に導いた。
ドンチッチは今季も同じように活躍してきた。チームも好発進を切った。だが、カイリー・アービングの負傷で勢いを失った。そこを補おうとドンチッチはさらになる負担を背負い、12月は数字を伸ばしている。
クリスマスゲーム戦績:1勝1敗
クリスマスゲーム平均スタッツ:29.5得点、6.5リバウンド、8.0アシスト
今年対戦するのは、西地区の中位で苦しんでいるサンズ。ドンチッチとブッカーは以前の対戦で終盤に感情的に対立し、試合後のインタビューでも言い合っている。
7.ケビン・デュラント
デュラントが出場するクリスマスゲームを待つのに3年は長すぎる。当時はアービングがチームメイトだった。今季はそのアービングが在籍するマーベリックスとの対戦だ。
サンズの一員としてマーベリックスと唯一対戦した前回の試合で、デュラントは期待を裏切らなかった。トレードから3戦目となる試合で、デュラントは37得点をあげ、4点差での興奮の勝利をもたらす決定的な得点をあげている。
クリスマスゲーム戦績:5勝5敗
クリスマスゲーム平均スタッツ:29.9得点、7.4リバウンド、4.9アシスト
デュラントのクリスマスゲームでの自己最多は、2010年のナゲッツ戦で記録した44得点。だが、最も記憶に残るクリスマスゲームは、ジェームズやクリーブランド・キャバリアーズと対戦した2016年かもしれない。当時ウォリアーズ加入したばかりだったデュラントは、31得点、13リバウンドだったジェームズに対し、36得点、15リバウンドを記録し、チームを109-108の勝利に導いている。
8.ジョエル・エンビード
ジェームズ・ハーデンが退団し、76ersは若返りを図っている。昨季MVPのエンビードは得点王争いでトップに立ち、新たなチームナンバー2となったタイリース・マクシーは、76ersを真の優勝候補の一角に踏みとどめている。
クリスマスゲームでのエンビードはとにかく見事だ。2018年以降に3試合連続で30得点超をあげている。今年はエンビードにとってクリスマスゲームで初対戦となるヒートとの一戦だ。
クリスマスゲーム戦績:3勝1敗
クリスマスゲーム平均スタッツ:31.3得点、12.8リバウンド、2.3アシスト
今のエンビードにとってエキサイティングなのはマクシーだ。パスの41%はマクシーからのもので、そこから47.4%のショットにつなげている。昨季のハーデンとのコンビネーションと比較できる数字だ。エンビードとマクシーのコンビ対バトラーとバム・アデバヨのコンビは見逃せない。
9.レブロン・ジェームズ
クリスマスの王様だろうか。ジェームズはクリスマスゲームにおける通算最多得点でコービー・ブライアント、オスカー・ロバートソンを上回っている(460得点)。前回ジェームズが出場しなかったクリスマスゲームは2006年のことだ。
39回目の誕生日まで1週間を切ってなお、ジェームズはスローダウンしていない。ショットは全般的に2017-2018シーズン以来の数字。3P成功率はヒート時代の2012-2013シーズンに続く数字だ。そして平均スティールも2014-2015シーズン以来となっている。
クリスマスゲーム戦績:10勝7敗
クリスマスゲーム平均スタッツ:27.1得点、7.6リバウンド、7.0アシスト
通算得点でリーグ歴代最多のジェームズに、あと何年、何試合、何回のクリスマスゲームが残されているかを数字で示すのは愚かなことだろう。ただ、限りはある。だからこそ、彼を擁するレイカーズとセルティックスの対戦は見逃せないクリスマスゲームだ。
10.ニコラ・ヨキッチ
ヨキッチがいかに偉大なのかを適切に示すことはできない。現王者における議論の余地なきスターは、早くのケガの影響や、再構築したベンチローテーションの順応を乗り越える上で、チームをけん引してきた。そういった障害があっても、ナゲッツは西地区のトップ3を保っているのだ。ナゲッツにとっては素晴らしい兆候だろう。そして、ヨキッチがいかに周囲の全員の力を高められるかを示している。
ヨキッチ個人も冴えを見せている。必要だったからということもあるが、ショット試投は1試合平均19.0本と自己最多。たとえ並外れた効率を代償にしてでもそれを厭わないという姿勢は、輝かしいばかりのキャリアにおける見事な新しい一歩だ。ヨキッチのターンオーバーが大きく減っている事実も考えれば、ヨキッチとナゲッツがあらゆる選手とチームにとっての目標になる理由も簡単に分かる。
クリスマスゲーム戦績:1勝2敗
クリスマスゲーム平均スタッツ:29.3得点、11.3リバウンド、9.7アシスト
ヨキッチとナゲッツは西地区のチームとの試合でできるだけ勝ちたいと望んでいるだろう。彼らのホームコートアドバンテージは、プレイオフで貴重となる。カリーやウォリアーズを迎えるクリスマスゲームでのデンバーの雰囲気は、それを思い起こさせるだろう。
11.デイミアン・リラード
クリスマスデーに「デイム・タイム」が時を刻んだのは、2018年の1回のみ。リラードとポートランド・トレイルブレイザーズが最後にプレイオフ・ファーストラウンドを突破したシーズンだ。それから5年、リラードはバックスの選手になり、チームは東地区の2位につけている。
劇的な変化に、リラードは適応する時間が必要だった。トゥルーシューティング成功率は11月から12月で60.4%から65.7%に上がっている。また、11月のバックスはリラード出場時のネットレーティングが3点しか増えていなかった。12月は100ポゼッションあたりで26.2点も増している。
クリスマスゲーム戦績:0勝1敗
クリスマスゲーム平均スタッツ:20得点、5リバウンド、4アシスト
リラードは重要な局面で活躍する傾向にある(クラッチスコアは2位)。その彼がMSGでの注目のクリスマスゲームに臨む。興奮が約束されている一戦だ。
12.ジェイソン・テイタム
クリスマスゲームを何度も戦うのは、チームにとっては成功に対する報いだ。テイタムは新人時代の2017年からその恩恵を受けてきた。当時はドラフト全体3位指名でセルティックスに加入。チームは前年にサプライズのカンファレンス・ファイナル進出を果たしていたところだ。テイタムは最初から期待というものを知っていたのである。
そして、以降も水準は下がっていない。特にテイタムの個人パフォーマンスはどんどんレベルアップしている。オールスター選出4回のテイタムは今季、若干数字が落ちている。だが、チームは東地区の首位だ。
クリスマスゲーム戦績:3勝3敗
クリスマスゲーム平均スタッツ:23.3得点、7.7リバウンド、3.0アシスト
テイタムはキャリアを通じて毎年クリスマスゲームを戦ってきた。そして最も有望だったのが、バックス相手に41得点をあげた昨年の前回の試合だ。セルティックスとレイカーズのライバル関係が新たになったことで、ロサンゼルスでのレイカーズ戦で同じような活躍を見せるかもしれない。
原文:Stephen Curry, LeBron James among 12 stars to watch on Christmas Day by Matthew Petersen/NBA.com(抄訳)
翻訳:坂東実藍