NBAファイナル2022第1戦から第3戦をスタッツで振り返る

Brian Martin, NBA.com

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NBAファイナル2022は3試合を終え、現在までのところ、ボストン・セルティックスがゴールデンステイト・ウォリアーズを2勝1敗とリードし、NBAタイトル獲得まで残り2勝となっている。今回は、両チームのここまで3試合のスタッツを詳しく見ていこう。

通常スタッツ(Traditional Stats)

NBAファイナル2022 第3戦までのトラディショナルスタッツ
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ファイナルのここまでの3試合でのプレイ時間は144分間で、そのうちセルティックスがリードしていた時間は69分間(47.9%)と、ウォリアーズの66分間(45.8%)を上回っている。また、同点の時間帯は9分間(6.3%)で、リードチェンジは合計20回、同点は12回あったが、そのほとんどはウォリアーズのホームで行われた最初の2試合で起きた。セルティックスにとって12年ぶりとなるホームのボストンでの第3戦では、セルティックスが48分中47分間をリードし、リードチェンジはわずか3回だった。

セルティックスがリバウンド数でウォリアーズを17本上回っているのは、第3戦でウォリアーズ31本に対してセルティックスが47本、オフェンシブリバウンドでウォリアーズ6本に対しセルティックスが15本を獲得したことに起因する。

ウォリアーズのケボン・ルーニーがシリーズ全体の総リバウンド数(23)とオフェンシブリバウンド数(10)で首位であるのに対し、ジェイレン・ブラウンとアル・ホーフォードがそれぞれ22リバウンドを記録するなど、優秀なリバウンダーを7人擁するセルティックスはチーム全体で仕事をしている。

ブラウンは、リバウンドチャンスの73%でリバウンドを確保しており、これは7リバウンド以上を記録する選手の中では、チームメイトのペイトン・プリチャード(83%)に次いで2番目に高い確率になっている。
ボールがリムの下を通過してから完全にリバウンドされるまでの間にボールに最も近くにいれば、その選手にはリバウンドチャンスがあるとされる。

これらの通常スタッツを見ると、ウォリアーズの大きなアドバンテージはスティール(+11)だといえる。セルティックスがリバウンドで優位だったときの傾向と同様に、ウォリアーズがスティールで優位となったのは、第2戦で勝利したときに15スティールを記録したことが大きい。この数字は、2017年のファイナルの第2戦でクリーブランド・キャバリアーズがウォリアーズに敗れた際に15スティールを記録して以来の、ファイナルでの最多記録となる。

フィールドゴール

NBAファイナル2022 第3戦までのシューティングスタッツ
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3試合を通してセルティックスとウォリアーズを分けたのは、フィールドゴール成功数2(セルティックス116に対してウォリアーズ114)と、フリースロー成功数5(セルティックス43に対してウォリアーズ38)の差で、どちらもセルティックスに軍配が上がった。

3ポイントショット成功数は49本で互角だが、セルティックスの方が高い確率で3Pを決めている。2015年以降のウォリアーズの6度のファイナルを振り返ると、ウォリアーズが3P成功率40%以上を相手チームに許したのは、このファイナル以前ではたった1シリーズーー2016年のウェスタン・カンファレンス準決勝でポートランド・トレイルブレーザーズが3P成功率42.8%を記録したときだけだ。

セルティックスはここまで、ウォリアーズより(7本多い試投数で)5本多くフリースローを決めている。ここで注目すべき重要な数字はゴールへのドライブ数で、セルティックスが総ドライブ数で155対114とリードし、ドライブによって獲得したフリースローの成功数でも15対10と優位に立っていることだ。セルティックスはドライブにより、ウォリアーズの2倍のファウルを獲得している。

その他のスタッツ

NBAファイナル2022 第3戦までのその他スタッツ
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3試合を通して勝敗に関係しているのはペイント内の得点で、この戦いを制したチームが各試合で勝利している。第1戦ではセルティックスが34得点対26得点で優勢で、第2戦ではウォリアーズが40得点対24得点でリード、第3戦ではセルティックスが52得点対26得点と大きくリードしている。

セルティックスのディフェンシブレーティング(100ポゼッション平均での失点、低い方が守備力がある)は、レギュラーシーズンで106.2、ポストシーズンでは105.1というリーグトップクラスだ。その息のつけないディフェンスを前にして、ウォリアーズは、相手のディフェンスがセットされる前にトランジッションのチャンスを活かして楽に得点する必要がある。しかし、速攻がうまくいっても勝利は保証されるわけではない。ウォリアーズは第3戦のファストブレイクポイントでセルティックスを18-4で上回ったにもかかわらず、それでも16点差で敗れている。

プレイオフ期間中、特にファイナルにおいて、セルティックス(15.4%)とウォリアーズ(15.1%)は同じような割合でターンオーバーをしている。第1戦では、セルティックスがウォリアーズをターンオーバーからの得点で11点上回り(21-10)、12点差で勝利を収めた。第2戦では、ウォリアーズがセルティックスのミスに乗じて、ターンオーバーからの得点で18点差をつけて(33-15)、19点差で勝利した。第3戦ではこの傾向は当てはまらず、ウォリアーズがターンオーバーからの得点で19-17とリードしたが、100-116で敗れた。

アドバンスドスタッツ(Advanced Stats)

NBAファイナル2022 第3戦までのアドバンスドスタッツ
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ファイナル3試合を通したセルティックスのオフェンシブレーティング(100ポゼッション平均での得点、高い方が得点力がある)は113.3で、ブルックリン・ネッツを相手にファーストラウンドをスイープした際に記録した119.2に匹敵する可能性は低いものの、過去2ラウンドでミルウォーキー・バックス(108.8)とマイアミ・ヒート(110.7)に対してそれぞれ記録したものより優れている。一方、ウォリアーズは110.5で、ダラス・マーベリックス(120.3)とデンバー・ナゲッツ(121.9)を相手に見せたパフォーマンスにはかなり劣るが、メンフィス・グリズリーズ(108.3)の試合よりはわずかに良い。

エフェクティブ・フィールドゴール成功率(eFG%|3ポイントが1点多いことを加味したFG成功率)とトゥルーシューティング成功率(TS%|3PとFTも加味した成功率)が近い点は、このシリーズがいかに拮抗しているかを物語っている。しかし、意外にも接戦ではないスタッツがアシスト率だ。セルティックスはウォリアーズよりもはるかに高い割合で、パスを活用して得点機会を作っている。

レギュラーシーズンでは、ウォリアーズはFG成功数の3分の2以上(正確には66.9%)がアシストによるもので、アシスト率でNBAをリードしていた。一方、セルティックスは60.9%で14位だった。ポストシーズン(ファイナル以前)では、ウォリアーズが依然アシスト率でトップ(66.9%)である一方で、セルティックスは2位(65.5%)まで上昇していた。しかし、ファイナルが始まってからは、ウォリアーズのアシスト率は62.3%に下がり、セルティックスは73.3%と別次元にいる。

ウォリアーズのアシスト率の落ち込みの一因は、通常なら自由自在にパスを繰り出すウォリアーズのオフェンスを乱すことに成功しているセルティックスのディフェンスの賜物に違いない。しかし数字を見ると、ウォリアーズのパスの回数は、レギュラーシーズン(1試合平均310.3回でNBA2位)からファイナル以前のプレイオフ(1試合平均281.6回で16チーム中5位)と減少しており、現在はファイナル3試合で1試合平均267回と、セルティックスより23回少なくなっている。

原文:Stats breakdown: First 3 games of the 2022 NBA Finals
翻訳:YOKO B Twitter:@yoko_okc

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