『NBA.com』によると、2020-21シーズンのブルックリン・ネッツは、カイリー・アービングとジェームズ・ハーデン、ケビン・デュラントがそろってコートに立ったとき、オフェンシブレーティングが119.6だった。100ポゼッションあたり119.6得点をあげたということだ。
これが注目に値するのは、とても素晴らしい数字だからだ。
オフェンシブレーティングがもっと高いトリオはほかにいるが、ネッツ全体のオフェンシブレーティングも117.3と昨季のリーグでナンバーワンだった。
さらに、117.3というオフェンシブレーティングは、NBAが統計収集を開始した1996-97シーズン以降で最高の数字だ。
言い換えれば、アービング、ハーデン、デュラントを中心に構成されたラインナップは、抑えるのがほぼ不可能だったということだ。守備(112.5)では相手チームを封じ込めたわけではないが、攻撃は100ポゼッションあたり平均7.2得点差と他を圧倒して優れていた。
ただ、アービング、ハーデン、デュラントがそろってプレイしたのは、レギュラーシーズンの8試合で合計202分間と多くない。
トレードでハーデンがネッツに加わったとき、アービングは個人的な事情で戦列を離れていた。「ビッグスリー」がデビューしたのはその後、ダブルオーバータイムの末に敗れたクリーブランド・キャバリアーズ戦だ。その後の12試合のうち6試合で3人はそろって出場したが、それからデュラントがハムストリングの負傷で離脱。デュラントが復帰する前の試合で、ハーデンがハムストリングを負傷し、18試合を欠場した。
プレイオフの前に3人が再びそろったのは、レギュラーシーズン閉幕まであと2試合で、ネッツがポストシーズンに向けて準備していたときだ。
これほどサンプルが少ないと、得られることは多くない。それでも、これらの試合では以下のようなプレイが見られた。
これらの場面で、ディフェンダーたちはお手上げ。アービング、ハーデン、デュラント、そして彼らと一緒にコートに立てたどの選手も、イージーバスケットで得点をあげた。
特に興味深いのは、そのために彼らが払っている犠牲だ。
リーグ最高級のスコアラーたち3人が一緒になることの可能性を想像するのは簡単だった。同時に、彼らが共存できるかという疑問が生じるのも当然だった。彼らは皆、それぞれのチームでナンバーワンのオプションだったからだ。
3人の中で最もプレイを変えたのが、ハーデンだ。一方、アービングとデュラントの役割は主に同じだった。得点をあげることだ。ハーデンは全員を関与させることにより集中し、機会をうかがって得点するスコアラーとなった。
その結果、ハーデンはアービング、デュラントとプレイした8試合で平均18.5得点、11.9アシストを記録した。以前からリーグ有数のパサーだったが、最後に平均20得点を下回ったのは、オクラホマシティ・サンダーでのラストシーズン(2011-12シーズン)だ。
3人とも出場したレギュラーシーズン8試合でのスタッツ | ||||
選手 | 平均得点 | FG成功-FG試投数 | 平均リバウンド | 平均アシスト |
アービング | 25.8 | 10.3-18.4 | 4.6 | 4 |
ハーデン | 18.5 | 5.4-11.4 | 7.6 | 11.9 |
デュラント | 28.3 | 9.9-20.9 | 8.8 | 5.3 |
『Sports Illustrated』のマイケル・シャピロ記者による最近のインタビューで、ハーデンはこの点に言及している。ヒューストン・ロケッツからネッツに移籍したことについて、ハーデンは「本当に調整することがなかった」と話した。
「今でも自分のプレイぶりは変わらない。でも、それほどシュートしなくてよくなった」。
「正直、本当に僕にとって最高のスタイルだ。ケビンとカイリーはいつもバスケットを狙いにいける。それに、プレイメーカーになることで、どうシューターを絡めるか、ビッグマンにどうさせるか、オープンなショットをどう作るかを考えられるんだ。みんなを絡めて、それぞれが試合に影響できるようにすることに主に集中している」。
また、ハーデンは「全力なら僕らを倒せるところはない」と発言し、見出しを飾った。
その「全力なら」という点が重要だ。ミルウォーキー・バックスとのカンファレンス・セミファイナルでアービングとハーデンの双方が負傷で離脱し、プレイオフでそれを痛感させられた。だが、2021-22シーズンを迎える上で、ネッツの優勝オッズが最も良くても不思議はない。
少ないサンプルではあるものの、ひとつの目を見張るような数字からすべては始まる。それが、119.6だ。
原文:Stat Just Happened: The sky's the limit for Kyrie Irving, James Harden and Kevin Durant(抄訳)