新しいヘッドコーチで2020-21シーズンのNBAに臨むのは9チームだ。
そのうち、7チームの指揮官はすでに決まっており、まだヘッドコーチを探しているのは、ビリー・ドノバンに別れを告げたオクラホマシティ・サンダーと、プレイオフのカンファレンス・セミファイナル敗退でマイク・ダントーニが辞任したヒューストン・ロケッツだけだ。
新ヘッドコーチを見つけた7チームの新しい指揮官たちと、どんな経験をもたらすかを見てみよう。
ブルックリン・ネッツ
退任: ケニー・アトキンソン
就任: スティーブ・ナッシュ
ネッツは新型コロナウイルスのパンデミックで2019-20シーズンが停止する数試合前にアトキンソンに別れを告げた。ジャック・ボーン体制でシーズンを終えたチームが次に雇ったのがナッシュだ。4年契約と報じられている。
『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者によると、元オールスター選手のアマレ・スタウダマイアーがナッシュのコーチングスタッフ入りするようだ。
Stoudemire and Nash formed the league's lethal pick-and-roll duo for years in Phoenix -- one Kevin Durant and Kyrie Irving are sure to duplicate. Stoudemire will focus on player development in Brooklyn, sources said. https://t.co/t1eXm2TuSZ
— Shams Charania (@ShamsCharania) October 23, 2020
NBAで指揮を執るのは初となるナッシュだが、現役時代はダラス・マーベリックス、フェニックス・サンズ、ロサンゼルス・レイカーズで18シーズンにわたってプレイし、MVPを2回受賞。オールNBAに7回選出されている。歴代最高のポイントガードのひとりと広く評価される人物だ。
ナッシュはカイリー・アービング、ケビン・デュラントの両選手とも交流がある。
ニューヨーク・ニックス
退任: デイビッド・フィズデイル
就任: トム・シボドー
ニックスはシボドーにとって6シーズンで3つ目となるチームだ。
シカゴ・ブルズ、ミネソタ・ティンバーウルブズを経て、シボドーが率いるのは、7シーズン連続でプレイオフを逃しているニックスとなった。その流れを止めるべく、ニックスはオフシーズンに多くの変更を断行している。シボドーがヘッドコーチとなり、その彼と親交のあるレオン・ローズが社長となった。
シボドーは守備的な姿勢で知られるコーチだ。ヘッドコーチとしては通算352勝246敗。白星の数は歴代51位だ。2019-20シーズン開幕から22試合で解任されたフィズデイル、その後暫定ヘッドコーチを務めたマイク・ミラーの後任となる。
シカゴ・ブルズ
退任: ジム・ボイレン
就任: ビリー・ドノバン
今年の最優秀コーチ賞の投票で3位となったドノバンは、オクラホマシティ・サンダーと合意して別れを告げた。ブルズの仕事は「突然やって来た」とはいえ、新天地を見つけるのに時間がかからなかったかたちだ。
今季のブルズは22勝43敗だったが、ザック・ラビーン、ラウリ・マルカネン、コービー・ホワイト、ウェンデル・カーターJr.といった若いタレントが多い。加えてNBAドラフト2020では4位指名権を持つ。
ドノバンはフロリダ大学で指揮を執り、2015年からサンダーを率いていた。
ニューオーリンズ・ペリカンズ
退任: アルビン・ジェントリー
就任: スタン・バンガンディ
シーディングゲームズで2勝6敗と再開シーズンが不本意な出来に終わり、5シーズンのうち4シーズンでプレイオフを逃したペリカンズは、ジェントリーを解任した。
バンガンディは2017-18シーズンから指揮を執っていないが、通算523勝で歴代31位とNBAでも有数の成績を誇る。全盛期は2000年代終盤のオーランド・マジックを球団史上2度目のファイナルに導いた。
当時のバンガンディは先進的で、ドワイト・ハワードを中心とした4アウトオフェンスを構築した。当時のリーグで最も支配的だったセンターだ。
バンガンディにとってペリカンズには多くの役者が揃っている。若いチームだが、ザイオン・ウィリアムソンにブランドン・イングラムと2人の最高級の有望株がおり、ドリュー・ホリデーやJJ・レディックといった実績のあるベテランもいる。
インディアナ・ペイサーズ
退任: ネイト・マクミラン
就任: ネイト・ビョークレン
このオフシーズン最大のサプライズのひとつだ。ペイサーズは延長契約合意からまもなく、マクミランに別れを告げた。
マクミランの後任となったのは、この2シーズンはトロント・ラプターズでニック・ナースのアシスタントコーチを務めていたビョークレンだ。
ビョークレンはNBAとDリーグ(現Gリーグ)の双方でアシスタントコーチとして優勝した唯一の人物だ。Dリーグではヘッドコーチを務めた経験があるが、NBAでは初となる。
ロサンゼルス・クリッパーズ
退任: ドック・リバース
就任: タロン・ルー
2015-16シーズン、クリーブランド・キャバリアーズは球団史上初の優勝に導くことを期待し、ルーをアシスタントコーチからヘッドコーチに昇格させた。
リバースに別れを告げたクリッパーズは、まったく同じことを願っている。
ウェスタン・カンファレンス・セミファイナルでデンバー・ナゲッツに3勝1敗から逆転負けするというショッキングなかたちで2019-20シーズンを終えたクリッパーズは、リバースの後任にルーを据えた。クリッパーズは、カワイ・レナードとポール・ジョージのコンビを武器に優勝候補の一角として新シーズンに臨む。
ルーにはレブロン・ジェームズ、カイリー・アービング、ケビン・ラブといったオールNBAクラスのタレントたちを率いた経験がある。
フィラデルフィア・76ers
退任: ブレット・ブラウン
就任: ドック・リバース
「Trust the process(向上の過程を信じろ)」という時代から76ersを率いてきたブラウンの後任となったのはリバースだ。
リバースには様々な異なる選手を指導してきた経験がある。ラジョン・ロンドやクリス・ポールといった強いポイントガードや、レイ・アレン、ポール・ピアース、レナード、ジョージといったウィングたち、そしてケビン・ガーネット、ブレイク・グリフィン、ディアンドレ・ジョーダンのようなビッグマンたちだ。
76ersは大きな期待を背にシーズンに臨んだが、プレイオフではカンファレンス・ファーストラウンドでスウィープされた。リバースはその76ersの復権を目指す。
リバースは通算943勝とNBA歴代11位の成績を残している。
原文:Stan Van Gundy, Steve Nash and Tyronn Lue headline list of new head coaches entering the 2020-21 NBA season by Scott Rafferty/NBA Canada