スペンサー・ディンウィディー、GリーグからNBA、そしてオールスターへ

Michael C. Wright, NBA.com

スペンサー・ディンウィディー、GリーグからNBA、そしてオールスターへ image

12月16日(日本時間17日)、NBA TVがTwitterに投稿した58秒の動画が話題になった。

NBA全試合配信! 無料トライアルも実施中

ペネトレイトからのレイアップ、トバイアス・ハリス越しのワンハンドダンク。ブルックリン・ネッツのスペンサー・ディンウィディーは、フィラデルフィア・76ers戦でクロスオーバー、ユーロステップからのリバースレイアップ、そして3ポイントショットを成功させ、24得点、6アシストを決めて109-89での勝利に貢献した。

これらのハイライトは、GリーグからNBAに這い上がったディンウィディーの努力を要約したもので、彼は今、NBAのオールスターに選ばれる可能性を秘めている。大学時代にひざを痛め、2チームから解雇された経験がある。言うまでもなく、彼は球団の決定権を持つ人物に実力をアピールしつつ、海外リーグでのプレイも考えた。

ディンウィディーは、『NBA.com』に「この世の中には、『そんなことは無理だ』と言う人たちばかり」と語った。

「簡単なビジネスではないし、お金や、そのほかにも受けられる恩恵があるのと同時に、失敗も晒される。周りからは、十分な力を持っていないと言われ続ける」。

「ウォルマートに来る人から、『世界でワーストのレジ係』と言われることはない。不満を抱えている人の対応はしないといけないかもしれないけれど、数百万人から批判されることはない。少しばかりクレイジーにならないといけない。気持ちの強さがなければ、このリーグ、このエンターテイメントの世界では、自分が壊れてしまいかねない。そういうケースは常に目にする。自分にはしっかりした土台があって幸運だし、まだ壊れてもいない」。

根気強い姿勢により、ディンウィディーはGリーグからネッツと3年3400万ドル(約37億1900万円)の契約を結ぶまでに成り上がった。

 

Gリーグからネッツまでの歩み

コロラド大の3年だった2014年にキャリアを左右しかねない前十字靭帯断裂という重傷を負ったディンウィディーだが、同年のNBAドラフトにアーリーエントリーし、デトロイト・ピストンズから全体38位で指名された。2014年10月29日(同30日)にNBAデビューの機会を掴むと、2015年2月20日(同21日)のシカゴ・ブルズ戦で初めて先発に抜擢され、12得点、9アシストを記録した。

ピストンズは、ディンウィディーが所属した2年の間に数回Gリーグのグランドラピッズ・ドライブに送ったが、2016年6月17日(同18日)にブルズにトレードした。しかしブルズは、ディンウィディーを2度も解雇。2回目の解雇は、2016年のプレシーズンが終わってからだった。

それから9日後、ディンウィディーはGリーグのウィンディシティー・ブルズと契約した。

「Gリーグ時代は、2通りを経験した。NBAから派遣される場合と、ブルズから解雇された後にGリーグでプレイした場合とね」と、ディンウィディーは当時を振り返る。

「それらのシチュエーションでの扱いは異なる。派遣された場合はNBA選手のように扱われるけれど、Gリーグ契約だと、本当にGリーグの選手になる。大変だったね」。

ブルズから解雇された当初は、同じ球団の一員でいたくはなかった。だが彼は、Gリーグでの9試合で平均19.4得点、8.1アシスト、3.7リバウンドを記録した。

2016年から18年までウィンディシティー・ブルズのヘッドコーチを務め、現在はブルズのアシスタントコーチのネイト・レンザーは「スペンサーは、ブルズでチャンスを掴めたと思っていたら、上手くいかなかった。それなのに、どうして傘下のGリーグチームに行かないといけない、という状態だった」と言う。

「彼には、『私の中で君はNBA選手。とにかく、この道を歩まないといけない』と伝えた」。

「彼には、こう伝えた。『これは、チームを引っ張るチャンスだ。1試合30得点を決められる力があるのは知っている。ただ、チームを引っ張れるかどうかが大事。NBAに定着するために必要なことをやれるか?』とね」。

指示通りにチームを引っ張ったディンウィディーは、2016年12月にネッツとベテラン最低保障額での3年契約にサインした。

 

「大事なのはチャンスに恵まれること」

それから数年が経ち、現在は右肩の負傷で離脱中のカイリー・アービングに代わってチームを牽引している。

先発ポイントガードとして出場するようになり、数週間前には週間最優秀選手賞にも選出された。

ディンウィディーは「自分の技術を磨かないといけない。このレベルになると、実力者が多いし、海外リーグのトップ100に入る選手もNBAでやっていけるだろ? でも大事なのは、チャンスに恵まれることと、チームにフィットするかどうか」と話す。

「もしこのチームでチャンスをもらえていなかったら、今のようにはなっていない。だから、あらゆる物事が重ならないといけない。でもそうなったら、チャンスが現れる」。

原文:Spencer Dinwiddie's rise from G League player to potential All-Star by Michael C. Wright/NBA.com(抄訳)

Michael C. Wright, NBA.com

Michael C. Wright, NBA.com Photo

NBA.com