ギルジャス・アレクサンダーが守備を悩ませるのはなぜか 対応困難なサンダーのピック&ロール

Scott Rafferty

坂東実藍 Miran Bando

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今季のオクラホマシティ・サンダーはさらなる前進が期待されていたが、これほどではなかった。

2023-2024シーズンが折り返し地点に差しかかる中、リーグで2番目に若いチームであるにもかかわらず、サンダーはウェスタン・カンファレンスの第1シードを競っている。オフェンシブエフィシエンシーディフェンシブエフィシエンシーもリーグトップ10と、攻守両面で優れたチームだ。

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サンダーの成功をけん引しているのが、昨季スター選手としての地位を確立し、現在はMVP候補とも言われるシェイ・ギルジャス・アレクサンダー。攻撃では様々な方法で相手チームを苦しめる。ただ、最高の仕事をするのは、ピック&ロールのボールハンドラーである時だ。ドライブもミッドレンジからのショットも素晴らしいが、特にギルジャス・アレクサンダーを守るのを難しくさせていることがひとつある。

ここでは、そのプレイを分析していこう。

守備を悩ませるシェイ・ギルジャス・アレクサンダーのピック&ロール

🎥 プレイ

✏️ 分析

コート上のサンダーの選手は、ギルジャス・アレクサンダーとジョシュ・ギディー、ルーゲンツ・ドート、ジェイレン・ウィリアムズ、チェット・ホルムグレンだ。

ギルジャス・アレクサンダーがボールを運び、ウィリアムズとホルムグレンが両サイドのコーナーに位置してフロアを広げる。ギディーはダンカースポット。ドートがギルジャス・アレクサンダーのスクリーンに向かう。

ドートはギルジャス・アレクサンダーのディフェンダーと接触せずスリップする。

Thunder No. 1
(NBA)

ギルジャス・アレクサンダーのドライブの脅威を知るだけに、ドートのディフェンダーだったニューヨーク・ニックスのジュリアス・ランドルはドロップ。さらにジョシュ・ハートがついていくことで、ギルジャス・アレクサンダーがバスケットに向かうのを阻む。だが、その代償として、3ポイントラインに向かったドートがフリーとなった。

今季のドートは3ポイントショット成功率が自己最高だ。ここ3年と比べて試投数は減ったが、成功率41.5%を記録している。

Thunder No. 2
(NBA)

そのドートのワイドオープンからの3Pを恐れ、ニックスはハートとアイザイア・ハーテンシュタインが同時に対応に向かう。

それによって、今度はホルムグレンがワイドオープンとなった。

Thunder No. 3
(NBA)

ニックスはジェイレン・ブランソンがコンテストしようとするが、6フィート2インチ(約188センチ)のガードが7フィート1インチ(約216センチ)のセンターを阻もうとしてやれることは多くない。

Thunder No. 4
(NBA)

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🤔 重要性

ガードとガードのピック&ロールは、サンダーに限ったことではない。だが、彼らは他チームとは少し異なるやり方をしている。

例えば、ルカ・ドンチッチとレブロン・ジェームズは、相手のスイッチを誘おうとガードにスクリーンを求め、狙ったミスマッチにさせることがしばしばだ。

ギルジャス・アレクサンダーも同じかもしれないが、彼はそういったピック&ロールの攻撃でもう少しスピードを出すことを好む。そうすると守るのが非常に厄介になる理由を示す良い例が、前述のプレイなのだ。

まず何より、ホルムグレンを3Pラインに陣取らせることで、相手チームの最高のリムプロテクターをバスケットから遠ざけることができる。ホルムグレンが優れたシューターでなければ別だが、彼はキャッチ&シュートの3P成功率が42.7%という選手だ。

ホルムグレンは、センターのポジションですでに有数の3Pシューターなのである。

Knicks vs. Thunder 1
(NBA)

さらに、ギディーもダンカースポットに陣取ることで、シューターとしての限界をカバーできる。そしてニックス守備の最後の砦を、この時のコート上で最も小さく、NBAキャリア通算34ブロックというブランソンにしたのだ。

Knicks vs. Thunder 2
(NBA)

ランドルがドロップしていなかった場合、ブランソンがギルジャス・アレクサンダーを止めるのに、望みはテイクチャージしかなかっただろう。ブランソンはテイクチャージが得意な選手だ。しかし、ギルジャス・アレクサンダーはほとんどオフェンシブファウルを犯さない。

ギルジャス・アレクサンダーは今季、ドライブがリーグ最多の837回で、ターンオーバーは26。ターンオーバー率が最低だ。オフェンシブファウルも最少の8という数字にとどまっている。

ディフェンダーのどちらかが少しでもためらえば、ギルジャス・アレクサンダーは得点をあげられる。

そしてギルジャス・アレクサンダーは守備を読むことにも非常に優れている。相手ディフェンダーがスクリーンを予想していると気づけば、それを使うことすらしないだろう。

ここでのジョナサン・クミンガのフットワークに注目してみよう。

クミンガはドートのスクリーンに対してファイトオーバーすべく、より良いポジションにしようと体勢を変えた。だが、ギルジャス・アレクサンダーはスクリーンを使わないことで、クミンガに素早く45度ほど向きを変える修正をさせたのだ。

たいしたことではないように見えるかもしれないが、ギルジャス・アレクサンダーはほんのわずかなことで大きな成果をあげる。このガード同士のピック&ロールは、ギルジャス・アレクサンダーが最も得意なことをするために必要なスペースを空けるやり方だ。そして相手守備がギルジャス・アレクサンダーを止められたとしても、大抵はその代償として別の選手がオープンになるのである。

原文:This funky Shai Gilgeous-Alexander pick-and-roll explains why the Thunder's star is such a headache to defend(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Scott Rafferty is an experienced NBA journalist who first started writing for The Sporting News in 2017. There are few things he appreciates more than a Nikola Jokic no-look pass, Klay Thompson heat check or Giannis Antetokounmpo eurostep. He's a member of the NBA Global team.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。