【プレイオフ西地区準決勝シリーズ展望】サンズ対ナゲッツ

Michael C. Wright, NBA.com

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ポストシーズンになると競争が激化することは周知のとおりだ。だが、レギュラーシーズンのシリーズから、ハングリーで若い両チームの対戦は非常に激しくなると予想される。

2勝1敗で直接対決を制したのはデンバー・ナゲッツだ。ただ、忘れてはいけないのが、これらの試合の結果は平均で5点差だったということ。ナゲッツが勝利した1月の2試合は、オーバータイムとダブルオーバータイムにもつれ込む接戦だった。

フェニックス・サンズがダブルオーバータイムの末に112-120で敗れた1月23日(日本時間24日)の試合は、デビン・ブッカーが出場していなかった。当時のナゲッツはMVP候補のニコラ・ヨキッチとジャマール・マレーに大きく頼っていたが、その後マレーは4月に左ひざ前十字靭帯断裂でシーズン絶望となっている。

ヨキッチはレギュラーシーズンのサンズ戦で平均トリプルダブルに近い数字を残した。だが、マレー不在なら、マイケル・ポーターJr.に代わりとなることが求められる。ポートランド・トレイルブレイザーズとのファーストラウンドで、ポーターJr.は平均18.8得点をマークした。なお、ナゲッツはPJ・ドジャー(内転筋)とウィル・バートン(ハムストリング)も6月7日(同8日)のシリーズ初戦に間に合わないかもしれない。

ナゲッツのマイケル・マローン・ヘッドコーチは「プレイオフを戦うほかのチームも、どこも多くの選手が離脱している」と話した。

「マレーはこれで24試合欠場だが、昨年のバブル(昨季のプレイオフが開催されたオーランドの隔離空間)でベストプレイヤーのひとりだった彼を欠いて我々がしてきたことを見てくれ。我々は2人のスターターがいないんだ。ベンチから最初に出てくるドジャーもいない」。

「だからこそ、我々のグループは回復力があるということだ。精神的にタフで、自分とチームメイトたちを信じているんだよ。素晴らしい感覚だ。今後も同じ決意が必要となる。1人か2人が戻れるのを願う。だが、そうならなくても、これは大きなチャンスだ。だから、このグループが好きなんだ。誰が出場できるかにかかわらず、シンプルに自分の仕事をする準備ができているからだ」。

3つの注目ポイント

1. ビッグマンのバトル

サンズのセンター、ディアンドレ・エイトンはファーストラウンドで徐々に攻撃力が落ちている。最初の3試合は平均22得点だったが、最後の3試合は平均10得点だった。ただ、今回のシリーズでエイトンに求められるのは、レギュラーシーズンの直接対決でフィールドゴール成功率56.6%、平均26.4得点、10.8リバウンド、8.3アシストを記録したヨキッチに対する守備だ。サンズは今シリーズまでのディフェンシブレーティング(100ポゼッションあたりの平均失点)が102.6で、ペイント内から平均44.7得点を許している。

おそらくファシリテーターとして最も危険なヨキッチだが、エイトンも最適のタイミングでディフェンダーとして最高潮にあるようだ。高さがあり、多才で、ガードにスイッチしても自身を保てる。攻撃でも、スクリーナーやローラーとしての能力で、クリス・ポールやデビン・ブッカーの好機を演出することができる。ヨキッチはMVP候補だが、エイトンも負けてはいないということだ。思っている以上に拮抗したマッチアップだろう。

2. サンズのバックコートに対するナゲッツの対応

マレーとバートンの不在がナゲッツにとって最も大きいのがこの点だ。新人ファクンド・カンパッソとオースティン・リバースがポールとブッカーを守る責任を負うが、それはリーグ最高級のガードにとっても簡単な仕事ではない。ポールは右肩を痛めてのプレイだが、司令塔として生み出す能力に大きな支障とはならなかった。ファーストラウンドでターンオーバーは9にとどまる一方で46アシストを記録している。また、ブッカーはロサンゼルス・レイカーズとの最終戦でプレイオフ自己最多の47得点をあげた。マローンHCは、主に不利なのはバックコートのマッチアップと見ているはずだ。

3. ブリッジズ対ポーターJr.

サンズの守備でストッパーを担うのはブリッジズだ。ペリメーターにおける相手のベストプレイヤーを守る役割を主に担うのは彼となる。よって、このシリーズで彼が主に守るのは、ポーターJr.だ。

レイカーズとのシリーズ最後の3試合で、ブリッジズは6スティール、3ブロックを記録し、攻撃では10得点超をマークしている。一方のポーターJr.は、ファーストラウンド第5戦と第6戦で2試合連続で26得点をあげた。ここ5試合のうち4試合で3P成功率50%を超えており、ブレイザーズとの最終戦では第1Qだけで3P6本成功の22得点を記録している。

予想

これほど多くの負傷者を出しながら、シーズンを通じてすべてをうまくまとめてきたマローンHCとナゲッツは、高い評価に値する。マローンHCは、マーカス・ハワードのような2ウェイ契約選手を使いながらポストシーズンで勝ち残っているのはナゲッツだけだと口にした。

だが、このシリーズは、ナゲッツがしばらく前から乗り越えてきたタレント不足にようやく気付かせるような対戦だ。ブレイザーズの脆弱な守備を崩すことはできた。だが、今度はレギュラーシーズンで6位のサンズの守備が相手だ。

昨年のバブルから、サンズはベテランのリーダーシップと経験、若さとハングリーさが正しくミックスされており、調和をとりながら懸命に戦っている。第6戦でサンズが勝利と予想する。

原文:Series Preview: Will Nuggets' injuries finally catch up vs. Suns? by Michael C. Wright/NBA.com(抄訳)


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