【西地区決勝展望】サンズ対クリッパーズ

Michael C. Wright, NBA.com

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この2チームのレギュラーシーズンのシリーズは、あまり深読みする必要がない。

確かに、今季レギュラーシーズンの直接対決は2勝1敗でロサンゼルス・クリッパーズがフェニックス・サンズを上回っている。だが、4月の最後の対戦時と比べ、両チームの立ち位置は大きく異なっているのだ。

彼らはともに、ピークを迎えつつある。

しっかり休んだサンズは、ポストシーズンに入って試合のたびに自信を深め、勢いに乗っているようだ。一方、クリッパーズはカワイ・レナードが右ひざの捻挫でカンファレンス・セミファイナル(対ユタ・ジャズ)の第5戦と第6戦を欠場しながらも勝ち進んだ。レナード不在のなか、ポール・ジョージ、テレンス・マン、レジー・ジャクソン、パトリック・ベバリーが、チーム得点王抜きでもクリッパーズはやれると証明している。ジャズとの第6戦では、それぞれが見事なパフォーマンスを見せ、クリッパーズが25点のビハインドをはね返し、球団史上初となるカンファレンス・ファイナル進出を果たしたのだ。

サンズは1週間試合をしていない。だが、モンティ・ウィリアムズ・ヘッドコーチは、その間をいかにして最も活用するか、助言を求めたと話している。

ウィリアムズHCは「こういう日々を管理しようとしている」と述べた。

「この状況を経験した多くのコーチたちと話したんだ。これだけ長い間隔にどう取り組んだかとか、そういう情報を得るためにね。我々はできるだけ試合勘を保とうとしている」。

相手を待ちながら、サンズは先週の練習で徐々に激しさを増していったということだ。

一方のクリッパーズは、6月18日(日本時間19日)にジャズと激闘を繰り広げ、シリーズを制してから中1日でカンファレンス・ファイナルに臨む。

3つの注目ポイント

1. スター選手たちの出場可否

クリス・ポールは16日(同17日)にNBAの安全衛生プロトコルに入り、19日(同20日)にサンズが状態をアップデートする予定だ。長期の欠場にはならない見込みだが、こういう対戦ではすべての試合が非常に重要となる。一方、レナードはカンファレンス・セミファイナル第4戦でひざを痛め、第5戦と第6戦を欠場した。クリッパーズは、レナードの離脱期間を無期限としている。つまり、このシリーズで復帰できるのか、復帰できるならいつになるのかは、分からないということだ。

ジャズとの第5戦を前に、クリッパーズのタロン・ルーHCは、レナードの復帰のめどは立っていないと話した。初めてカンファレンス・ファイナルを戦うチームにとっては痛手だ。最後に出場した2試合で、レナードは31得点超をあげており、フィールドゴール成功率は53.5%だった。イースタン・カンファレンス・セミファイナル第6戦でケビン・デュラントに抜かれるまで、レナードはNBAトップの得点をあげていたのだ。それでも、ジョージ、マン、ジャクソン、ベバリーが十分な活躍でジャズとのシリーズを締めくくったことで、レナード不在でもクリッパーズは大丈夫かもしれないと思わせた。

2. ウイングの重要度

サンズで注目されるのはガード陣だが、今シリーズではウイングが重要となる。彼らはジェイ・クラウダーとミケル・ブリッジズの相手を苦しめる守備、そしてタイミング良い得点を頼るだろう。ブリッジズは、レナードが欠場した場合、ジョージを守る責任を託されるはずだ。マーカス・モリスSr.とマンは、攻守両面で目立つだろう。特にレナードが欠場すればなおさらだ。

レナードがいなければ、クリッパーズで最も優れたペリメーターのディフェンダーはジョージだ。つまり、デビン・ブッカーを守る役割を託されるのは彼だろう。デンバー・ナゲッツをスウィープしたシリーズで、ブッカーは平均25.3得点、7.8リバウンド、4.5アシストを記録している。つまり、その彼を守るのは簡単な役割ではない。加えて、ジョージは攻撃面でも大きな責任を負う。カンファレンス・セミファイナル第5戦と第6戦の彼の活躍を見れば分かるだろう。ジョージがブッカーを守ることでエネルギーを消耗し、攻撃面で生産性を落とすのか否か、注目に値する。

3. ディアンドレ・エイトンが厄介な存在に

プレイオフ最初の2ラウンドで、アンソニー・デイビス(ロサンゼルス・レイカーズ)と今季のMVPニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)を守ってきたことで自信を深めたエイトンは、適切なタイミングで調子を上げているようだ。目を引くような数字ではないが、プレイオフの1試合平均15.2得点、10.6リバウンドという数字は、レギュラーシーズン(14.4得点、10.5リバウンド)以上だ。スクリーナー、ローラーとしてのエイトンの能力は、サンズの攻撃においてペリメーター選手のためにフロアを広げる。

守備でも、サンズがポストシーズンでディフェンシブレーティング(104.7/100ポゼッションあたりの平均失点)が1位なのは、エイトンの存在が大きい。ペイント内からの対戦相手の得点で、サンズはプレイオフ10位。一方のクリッパーズは1位だ。だが、エイトンの存在でクリッパーズはスローダウンするはずだ。そしてクリッパーズはエイトンを守るのに苦しむかもしれない。イビツァ・ズバッツとデマーカス・カズンズは、安定してエイトンを守れるほど運動能力がない。

興味深い数字

127.7

カンファレンス・セミファイナルのクリッパーズは、攻撃が過去25年で2番目の効率だった。レギュラーシーズンで守備が3位だったジャズとの6試合で、100ポゼッションあたり127.7得点という数字を残した。最初の2試合を落としたクリッパーズだったが、その後の4試合では100ポゼッションあたり133.7得点という目覚ましい数字を記録した。第6戦の後半は3ポイントショット19本中14本を成功させている。

一方、サンズの守備はプレイオフ2位。レイカーズやナゲッツとのシリーズでは、相手の100ポゼッションあたりの得点をレギュラーシーズンと比べて7.2得点、8.7得点少なく抑えた。制限区域内からの被FG成功率(60.4%)と被3P成功率(32.1%)はいずれも2位だ。

レギュラーシーズンのクリッパーズは、サンズとの対戦で4位の攻撃だった。3試合のうち2試合で、100ポゼッションあたり120得点超を記録している(いずれもレナード出場)。サンズ相手に2試合以上出場した選手の中で、ジョージは平均32.3得点と3位。エフェクティブフィールドゴール成功率69.5%(3ポイントショットの効率を加味したFG成功率)は、サンズ戦で25本以上シュートを試投した75選手の中で5位の数字だ。また、3P成功17本も、サンズ戦でほかのどの選手より多い。

— John Schuhmann

予想

チームをここに導き、今後の数年にわたる文化をフェニックスで確立したウィリアムズHCには敬意を表したい。新型コロナウイルスから負傷まで、レギュラーシーズンとポストシーズンに生じたあらゆる困難を通じて、サンズは目を閉じなかった。ウィリアムズHCの力、ポールとクラウダーのリーダーシップ、彼ら全員が確立した責任を負う文化の証だ。サンズのほうが、スター選手ひとりが不在でもやり繰りできるとみられる。

ジャズとの第6戦で後半のクリッパーズはまさに魔法を見せてくれた。だが、サンズはクリッパーズよりも層が厚い。シリーズ中にいくつかのマッチアップが問題となるかもしれない。素晴らしいファイトを見せてきたが、クリッパーズの歩みはここで終わりそうだ。第7戦でサンズが勝利と予想する。

原文:Series Preview: Suns, Clippers each peaking heading into conference finals by Michael C. Wright/NBA.com(抄訳)


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