イースタン・カンファレンス・セミファイナルのもうひとつのカード、ブルックリン・ネッツ対ミルウォーキー・バックスは、スターが集う激戦だ。第1シードと第5シードのマッチアップが魅力とサスペンスを生むには、想定外の何かが必要だった。そして、それは最悪のかたちで訪れた。レギュラーシーズンのMVP候補、フィラデルフィア・76ersのジョエル・エンビードに、右ひざ半月板の負傷でクエスチョンマークがついたのだ。
76ersの片腕を背中に縛り付けるのと同等だ。アンソニー・デイビスの負傷状態が日々不確実だったロサンゼルス・レイカーズの76ersバージョンである。頭をなでられてアトランタ・ホークスが夏に向かうことになるか、有利とみられる76ersが崖っぷちに追いやられるか、大きな違いとなり得る。
今季の直接対決3試合で、76ersはホークスに2勝している。いずれも4月末の試合だった。1月の対戦時は、ベン・シモンズが負傷欠場。安全衛生プロトコルで不在の選手も多かった。
3つの注目ポイント
1. エンビードの状態
彼が健康か、それに近ければ、76ersは攻守両面でより良いチームであり、より洗練されている。エンビードに制限がかけられるか、あるいは欠場することになれば、ホークスの3ポイントショットはその恩恵を受け、リムへのアタックを大きく補う。フロントコートのクリント・カペラとジョン・コリンズは、ファウルトラブルを避けられるかもしれない。ホークスとしては、シリーズ開始が早すぎるということはないだろう。
2. トレイ・ヤングは好調を維持できるか?
ヤングがその得点力やパス、エナジー、巧みさで相手に大損害を与えられることは、ニューヨーク・ニックスとそのファンがよく知っている。シモンズやダニー・グリーン、ジョージ・ヒル、マティース・サイブルと、76ersのバックコートは守備でニックスよりもヤングをスローダウンさせられるチームだ。だが、今季の直接対決2試合で、ヤングは手がつけられなかった。36分間平均で38.9得点、8.0アシストだ。さらに今は、守備を引きつけるボグダン・ボグダノビッチもいる。今季平均16.4得点、3P成功率43.8%の彼は、76ersとの直接対決3試合いずれも出場していない。
3. フリースローコンテストに勝つのは?
レギュラーシーズンで76ersは対戦相手よりフリースローで156得点上回った。ホークスはさらに上回るプラス198得点だ。直接対決では、66-49でホークスに軍配。つまり、直接対決3試合で76ers がホークスを上回った48得点は、FT以外から生まれたことになる。
興味深い数字
-6.2
今季、76ersはスターティングラインナップがそろうと30勝6敗という成績だった。敗れた試合のひとつは、ワシントン・ウィザーズとのファーストラウンド第4戦だが、エンビードが第2クォーターからプレイしていない。レギュラーシーズンでこのラインナップは相手を215点上回った。全ラインナップで(大差をつけて)最高の数字だ。100ポゼッションあたり平均14.0点差は、200分超プレイした30ラインナップのうち6位。ファーストラウンドの第4戦第1Qまでに、60分でウィザーズに61点差をつけている(100ポゼッションあたり45.6点差)。
ウィザーズとの第5戦、76ersはエンビード抜きで勝利した。4月のホークスとの2試合も、エンビード不在だったが良いプレイで勝った。だが、MVP候補だけが不在で、ほかの4名のスターターがコートにいた合計322分間(レギュラーシーズン275分、プレイオフ47分)で、76ersは100ポゼッションあたり6.2点下回っている。スターター5人がそろっている時との違いは、攻撃(100ポゼッションあたり10.8得点減)でも守備(100ポゼッションあたり12.2失点増)でも大きいのだ。
— John Schuhmann
予想
レギュラーシーズン終盤に行方が分からなかったイースト第1シードを手にしたことは、ここにきて76ersにとって大きくなっている。ホークスをけなすのではないが、ネッツやバックス相手にエンビードが欠場したり、万全でなければ、問題なっていただろう。現時点でホークスには期待がかけられておらず、それは彼らをより危険にするかもしれないし、より倒しやすくするかもしれない。
76ersはシーズン中にエンビード不在が長引いても成功してきた。シモンズを中心とし、ウィザーズとの第5戦では、ドック・リバース・ヘッドコーチがスモールボールを採用して勝利している。必要ないかもしれないが、ホームゲームが1試合多いことも大きい。第6戦で76ersが勝利と予想する。
原文:Series Preview: Sixers-Hawks could hinge on Joel Embiid's health by Steve Aschburner/NBA.com(抄訳)