【東地区決勝展望】ミルウォーキー・バックス対アトランタ・ホークス

Steve Aschburner/NBA.com

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このポストシーズンでイースタン・カンファレンスを制覇するのに、ミルウォーキー・バックスが上り坂を心配する必要はなくなった。宿敵のマイアミ・ヒートやブルックリン・ネッツ、フィラデルフィア・76ersと対戦して勝ち進むのは、バックスにとって難儀な仕事となるはずだった。特にネッツや76ers相手には、ホームコートアドバンテージもなかった。だが、アトランタ・ホークスがカンファレンス・セミファイナル第7戦で76ersを下したのだ。

そうして、ファイナルに勝ち進もうと名乗りを上げたのはホークスになった。第5シードだが、トレイ・ヤングやジョン・コリンズ、ケビン・ハーターをはじめとするホークスの面々は、ニューヨーク・ニックスやイースト第1シードの76ersを倒し、バックスから注目され、敬意を払われている。

76ersのトバイアス・ハリスが「若くてハングリーなチーム」と評したホークスは、2015年以来となるカンファレンス・ファイナル進出となった。対するバックスは、3シーズンで2度目のカンファレンス・ファイナルだ。2018年、19年と失意のうちにプレイオフを去ったバックスは、今度こそと願っている。

確かなのは、イーストからファイナルに進むチームは久しぶりの舞台になるということだ。バックスが最後にファイナルを戦ったのは1974年。ホークスは1961年で、拠点がまだセントルイスだった頃のことだ。

3つの注目ポイント

1. ポイントガードのマッチアップ

電撃的に素早く捕まえにくいヤングに対処するために、バックスは大きくギアを入れなければいけない。ネッツには、ヤングのように激しいペースでプレイする選手がいなかった。バックスはチームとしてペースがトップクラスのチームだが、個に関してはポイントガードのドリュー・ホリデーにより重圧がかかるだろう。ホリデーを支えなければいけないロビン・ロペスやヤニス・アデトクンボらビッグマンも同様だ。ネッツとのシリーズでホリデーはフィールドゴール成功率36%、3ポイントショット成功率26%とショットの精彩を欠いた。さらに守備が攻撃に影響すれば、アデトクンボに代わるバックスのトップクラスのプレイメーカーはより苦しむこととなる。

2. リングの香りをかぐアデトクンボ

MVPを2回受賞したアデトクンボにとって、リーグ史に残る偉大な選手のひとりとなるための次のステップであるファイナルに進む最高のチャンスなのは明白だ。ここで敗退すれば、容赦なく批判を浴びるだろう。上位シードのバックスが有利なだけになおさらだ。今季のホークス戦で、アデトクンボは平均24.3得点、11.0リバウンド、4.7アシスト、FG成功率64.3%を記録している。だが、ネッツとのシリーズ序盤戦よりも賢くプレイする必要があるだろう。例えば、3P試投を控えたり、(難しいかもしれないが)フリースローを強化して、ホークスファンや審判団から注目されないようにすべきだ。

3. ミルウォーキーでボグダノビッチ

1月に両チームが対戦した際、ボグダン・ボグダノビッチは負傷していた。そのため、今週の第1戦と第2戦で彼は今季初めてファイサーブ・フォーラムでプレイすることになる。ボグダノビッチは、昨年のオフシーズンにバックス入団の可能性があった選手だ。制限付きフリーエージェントで、バックスがサクラメント・キングスとのサイン&トレードを目指していた。だが、厳密にいえばタンパリングだと処分を科され、バックスは将来の2巡目指名権とボグダノビッチ獲得のチャンスを失ったのだ。

ボグダノビッチは25試合を欠場したが、平均16.4得点、3P成功率43.8%を記録した。76ersとの第7戦では足の痛みで4得点だったが、それまでは今プレイオフで平均14.6得点をあげている。そしてボグダノビッチを獲得できていたら、バックスはヒューストン・ロケッツからPJ・タッカーを獲得していただろうか? そんな背景から、ミルウォーキーの地で戦うボグダノビッチには見る価値がある。

興味深い数字

11.9

プレイオフのこれまでのラウンドで、バックスはレギュラーシーズンよりも100ポゼッションあたりの相手の得点を11.9得点少なく抑えてきた。ファーストラウンドではヒートをレギュラーシーズンより15.2得点少ない95.4得点にとどめる最高の守備を見せている。レギュラーシーズンで攻撃が1位だったネッツとのシリーズでは、7試合全体の得点数で上回られたものの、レギュラーシーズンのネッツより9.9得点少ない107.3得点に抑えた。ネッツの主力に負傷者がいたのは確かだが、NBA史上最も効率の良い得点を記録した時のネッツもそれは同じだ。

守備で重要な4つの要素(4ファクター/エフェクティブFG成功率、FT試投率、ターンオーバー率、オフェンシブリバウンド率)のすべてで、バックスはトップ5に入っている。また、ディフェンシブリバウンド率と対戦相手のFT試投率(FG100本あたり19.3本)はリーグ首位だ。ファーストラウンドでは、ジミー・バトラーのFT試投が100ポゼッションあたり34.4本だった(FG64本中FT22本)。前述の19.3本を大きく上回るものの、レギュラーシーズンの56.5本よりはかなり少なかった。カンファレンス・セミファイナルでホークスが勝利した最後の2試合(第5戦と第7戦)でFT試投が19本と11本だったヤングのFT試投率を同じように抑えられれば、バックスにとっては良い状態となる。

— John Schuhmann

予想

ヤングは今ポストシーズンでブレイクしたスターになった。ホークスと対戦するチームのゲームプランにおいて最優先となる選手だ。ホークスは3月にロイド・ピアースからネイト・マクミランに指揮官が代わって以降、14勝20敗から27勝11敗、さらにプレイオフで8勝4敗と見事に変わった。

だが、経験ではバックスが有利だ。彼らにはアデトクンボというシリーズ最大のスターがいる。そして、もしプレイグラウンドで選手を選ぶとすれば、トップクラスの4人のうち3人がいるようなチームがバックスである。ケビン・デュラントには手を焼いたバックスだが、なんとか生き残った。そして今後はホームコートアドバンテージもある。第5戦でバックスが勝利と予想する。

原文:Series Preview: Bucks' breakthrough up against ahead-of-schedule Hawks by Steve Aschburner/NBA.com(抄訳)


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