キャリア序盤から落ち着きと将来性を見せる八村塁

Jackson Filyo/WashingtonWizards.com

キャリア序盤から落ち着きと将来性を見せる八村塁 image

ワシントン・ウィザーズのルーキーである八村塁は、11月8日(日本時間9日)にキャリア8試合目をプレイし、ウィザーズ選手としては2010年のジョン・ウォール以来最速で通算100得点に到達した。100得点を獲得したその8試合で、八村は地元と海外メディア、ワシントンDCのファン、そして1万キロ以上離れている国から浴びせられるスポットライトよりも輝くことに成功している。

NBA全試合配信! 無料トライアルも実施中

ウィザーズのスコット・ブルックスHC(ヘッドコーチ)は「(塁は)まさにNBAというものを体現している」と語る。

「必死に努力し、大きな夢を持てば、機会が訪れる。彼のスキルを考えれば、どんどん成長していくだろう。塁は私がこれまでコーチしてきた優れた選手たちと同じレベルにいる。仲間からリスペクトされており、対戦相手も彼が本物であることを理解しているんだ」。

6月にウィザーズが全体9位で指名したことで、八村は日本人として初めてNBAドラフトの1巡目で指名される選手となった。ゴンザガ大学では3年間で合計93勝9敗(勝率83%)という成績に貢献。ウィザーズでの8試合で平均13.6得点、フィールドゴール成功率49.0%、6.1リバウンドを記録している。

コート外では、『〇〇マイル離れたところから観にきました』と書かれたサインを持って叫んでいるファンに囲まれたり、NBAのスーパースターと並ぶほどの囲み取材を受けるなど、カオス状態だ。それでも、このルーキーは平静を保ち、コート上でもしっかりとパフォーマンスで応える。

ウィザーズのガード、ブラッドリー・ビールは先週のクリーブランド・キャバリアーズとの試合後に「彼はとても落ち着いている」と話した。

「高すぎず、低すぎず。外から見ていてもそれはわかると思う。1年目の選手にしてはとても落ち着いているんだ。彼の成長は目覚ましいものがある」。

おそらく八村の最初の8試合で最も注目すべきポイントは、ベテランのやるような難しいプレイを、落ち着いて当たり前のようにやっていることだろう。シーズン序盤の活躍ですでに、ディフェンシブリバウンドから生まれるトランジションでのボールハンドリング、巧妙なパス、そしてバスケットから15フィート(4.57メートル)以内のポジションで危険な状況から抜け出すための数々のムーブを見せている。それに加え、ミッドレンジから高確率でシュートを決められ(10~19フィートで打った27本のショットの成功率が59.2%)、ヒューストン・ロケッツ戦では放った3本の3ポイントショットを全て決めるなどレンジの広さの可能性も見せ、その多様なオフェンススキルが形成されていっているのが見て取れる。その多様性を使って、試合毎に、試合の状況毎に対応することができ、相手のディフェンスの弱みを突けるのだ。

もちろん苦戦することもある。先週のインディアナ・ペイサーズ戦では5本すべてのフィールドゴールを外している。ルーキーにとって、そういう試合も成長過程の一部だ。それが何試合も続かないようにできるかどうかを、フロントやコーチは若手に求めている。

八村は続くキャブズ戦で13本中10本のフィールドゴール成功(76.9%)で21得点を記録。今シーズンのベストゲームと言える活躍を見せ、正にそれをやってのけた。最初の11本中10本を決め、さらに7リバウンドも記録した。今シーズン20得点以上を記録したのはこれで2回目、15得点以上は4回目だ。

ブルックスHCは「彼をとても評価するよ」と述べる。

「あの若さで彼はとても賢く、成熟しているものの、まだ初めて対戦する選手、初めて対戦するチーム、初めてプレイするアリーナと色々と経験している段階だ。まだ時間はかかるだろうが、彼はそれらとNBA1年目の選手に要求されることを全て受け入れて処理できているんだ」。

大局的な成長は経験とともにやってくる。それまでは、しっかりとエナジー保ち、自身の様々なスキルを磨いていくことができるかで、成長できているかが計られることとなる。そんななかで、八村はここまで3試合で3アシスト以上を記録しており、ボールハンドラーとしても優れており、プレイメイクができることも証明している。

キャブズ戦の前半に見せた活躍が、八村の多様なスキルを特に表していた。まず左手のドリブルからミッドレンジのプルアップジャンパーを決めると、続いてディフェンスで相手を止めたあとにブラッドリー・ビールとトーマス・ブライアントからパスが渡り、右手でリバースレイアップを決めた。約1分後、ディフェンシブリバウンドを獲得した八村は自らボールを運び、ふたりのキャブズ選手の上からゴール下で得点。そして前半残り30秒を切った状況で、トーマス・ブライアントのミスショットからのオフェンシブリバウンドを掴み、20フィート(約6メートル)からのプルアップを決めたのだ。

シーズンが終われば、八村の好調な開幕ダッシュは、自身のキャリア全体と比較すれば最小限のものとなるだろう。これからは何試合も経験していくこととなるのだ。しかし第一印象は一度しか作れないものだ。そういう意味では、ウィザーズファンが期待していた以上の活躍を八村は見せている。

原文:Hachimura shows poise and promise to start career by Jackson Filyo/WashingtonWizards.com

Jackson Filyo/WashingtonWizards.com