八村塁がレイカーズのラインナップ問題を解決 レブロンやデイビスからも称賛

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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ロサンゼルス・レイカーズは適切なラインナップを見つけるのに苦しんできたと言っても過言ではない。今季は56試合で16の異なるスターターを試してきた。そして、ダービン・ハム・ヘッドコーチはようやく機能するラインナップを見つけたかもしれない。

2月3日(日本時間4日)からトーリアン・プリンスに代わり、スターティングラインナップ入りしているのが八村塁だ。以降、レイカーズは6試合で5勝している。敗れたのはデンバー・ナゲッツ戦で、スターターのディアンジェロ・ラッセルを欠いていた。

14日(同15日)のユタ・ジャズ戦で勝利を収め、八村は試合後に報道陣に「たくさん異なること、ラインナップを試してきた。でも、これは僕らがプレイオフでやっていたラインナップだ。それで僕らは勝っていた。シンプルなことだ」と話している。このジャズ戦ではレブロン・ジェームズが不在だったが、レイカーズは彼を必要としなかった。八村が自己最多の36得点をあげたのだ。「キング」ことジェームズからも賛辞が寄せられている。

八村はシーズンを通じて勝利に大きな影響を及ぼしてきた。彼がコートに立っている時のレイカーズは、対戦相手を128点上回っている。これはチーム最多の数字だ。

レイカーズが好調でオールスターブレイクに突入したのは、八村の直近のプレイによるところが少なくない。ここ3試合は平均24得点を記録している。ここでは、八村が今季の流れをいかに変えたかを見ていこう。

八村塁がレイカーズの攻撃の問題を修正

プリンスも今季は良いシーズンだ。3ポイントショット成功率は39%で、2月3日(同4日)まではすべての試合で先発出場していた。だが、プリンスはショットクリエイターではない。そしてレイカーズは彼の平均9.6得点以上を必要としていた。今回のラインナップ変更まで、レイカーズの攻撃はリーグ21位だったのだ。

八村はそのレイカーズの大きな起爆剤となった。ラインナップ変更以降、レイカーズの攻撃はリーグ2位だ。『Cleaning the Glass』によると、今季の八村、オースティン・リーブス、ラッセル、ジェームズ、そしてアンソニー・デイビスのラインナップは、対戦相手を100ポゼッションあたり10.3得点上回っている。

レイカーズはシンプルにすることで、八村とともに成功してきた。特にラッセルのプレイが向上した中で、彼らのショットや攻撃の力を考えれば、理論上はこれが理にかなうラインナップだ。それでウェスタン・カンファレンス・ファイナルまで勝ち進んでいる。ハムHCがそれに戻すまで時間をかけたのは少し奇妙だ。

Lakers Nation』によると、八村は「レブロン、AD(デイビス)、DLo(ラッセル)、AR(リーブス)とプレイしている。彼らはショットを打つのを簡単にしてくれるんだ。レイアップ、3P、ミッドレンジと、何でもイージーなんだよ」と話した。

「最初に言ったように、僕たちにはすでにケミストリーがある。お互いにプレイの仕方を知っている。だから、とにかくプレイオフに備えて築き続けていかなければいけない」

八村のアウトサイドからのショットが好調なのも、このラインナップの成功の一因となっている。先発出場したここ6試合で、フィールドゴール成功率63.8%、3P成功率40.9%を記録しているのだ。持続可能ではないかもしれないが、チームメイトたちが大きく相手の注意を引きつけるため、八村はしばしばワイドオープンとなる。5人全員が平均以上の攻撃の武器となり、守備が弱い相手選手の逃げ場をなくすのだ。

八村塁がレイカーズにもたらすサイズのアドバンテージ

6フィート8インチ(約203センチ)の八村が6フィート9インチ(約206センチ)のジェームズ、6フィート10インチ(約208センチ)のデイビスと一緒にプレイすることで、レイカーズはサイズも素晴らしくなる。八村は自分を守るウィングに対して強さでアドバンテージを得ることが多く、それを生かしてポストで相手を苦しめるのだ。

また、八村はスイッチを完全に機能させなくしている。ジャズ戦で新人ガードのキヤンテ・ジョージを苦しめ、抜き去り、ショットブロッカーのウォーカー・ケスラーを相手にフィニッシュした場面を見てほしい。

レイカーズは昨季、こうやって西地区決勝にたどり着いたのだ。サイズのアドバンテージを生かして相手を倒してきたのである。

八村はレイカーズがこのスタイルに向かうのに役立った。八村が先発出場するようになってから、レイカーズは41%がリム付近でのショットになっている。リーグトップのオーランド・マジックの38.2%を大きく上回る数字だ。インサイドで相手を押し込み、オープンな3Pにつながり、より多くのショットを決める。こういう攻撃力が、レイカーズ復活の鍵となってきたのだ。

守備も乗り切れるレイカーズ

プリンスは八村より守備が優れた選手だ。レイカーズはその守備が少し落ちている。だが、十分に価値のあるトレードオフだ。彼らは昨季のプレイオフで、高いレベルで守備ができることを証明した。

八村も良い守備をしている。サイズに恵まれ、レイカーズがよりスイッチできるようにした。八村とデイビスのコンビは素晴らしいリムプロテクションを見せている。

直近の八村は何度か厳しい相手も守ってきた。ザイオン・ウィリアムソンとブランドン・イングラムを守らなければいけなかった。デイビスからは賛辞も寄せられている。

Lakers Nationが伝えたように、デイビスは報道陣に「シーズンを通じて、彼は対戦相手の最高のウィング選手を守り、うまくやってきた。間違いなく彼は向上している」と話した。

「彼は十分守れるし、攻撃では今夜のようにやってくれる。彼に守れそうなマッチアップなら、いつも彼に任せて、背後で助けられるようにするよ」

八村はシーズン序盤、もっと多くの出場時間が与えられるべきだった。ハムHCはようやく、最も昨日するラインナップで彼にチャンスを与えたのだ。そして彼は見事に応えてみせた。そのおかげで、レイカーズは昨季のような、プレイオフで危険な存在となるチームになっているのだ。

原文:Rui Hachimura has fixed the Lakers' starting lineup issues, earning praise from LeBron James & Anthony Davis(抄訳)
翻訳:坂東実藍

Stephen Noh

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。